神道に欠かせない榊(さかき)とは?榊の供え方や購入時の注意点などについて徹底解説!

はじめに

古くから神事に欠かせない榊(さかき)。どうして「神事には榊」なのでしょう。改めてその理由を聞かれると、戸惑う人も多いのではないでしょうか。
神社で祀(まつ)られるのはもちろんのこと、職場や家庭の神棚にも供えられる縁起の良い植物です。榊の種類や名前の由来のほか、神事と榊の関係、お供えの仕方や選び方など、知っておくと便利な榊の豆知識をわかりやすく解説します。

榊(さかき)とはどんな植物?

神道に欠かせない榊(さかき)とは?榊の供え方や購入時の注意点などについて徹底解説!
鮮やかな緑色の美しい葉をもつ榊は、常緑樹の小高木で、小さな白い花を咲かせます。日本では、比較的東日本では育ちにくく、本州石川県以西、四国、九州に分布しています。
榊には、人の心や神様が宿りやすく、古来より神道において重要なアイテムで、神聖な植物と考えられてきました。
木へんに神と書く「榊」ですが、これは中国由来の漢字ではなく、日本で生まれた国字です。

榊の名前の由来

榊(さかき)の語源についてはさまざまな説があります。
「神様と人間の境界にある木」の意味で、「境木(さかいき)」という言葉から転じたとする説、葉が落ちることがなく常に緑の葉があるので「栄える木」とする説、あるいは、神聖な木を意味する「賢木」が転じたとする説などがあります。
榊はもともと固有の植物名ではなく、神前に供える植物を「サカキ」と呼んでいて、のちに特定の木を指すようになったようです。したがって、榊が自生していない地域では別の植物を「サカキ」と呼ぶ場合があります。

榊には2種類ある

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榊には実は、「ホンサカキ(本榊)」と「ヒサカキ(非榊)」の2種類があります。それぞれ細かい違いがありますので、紹介していきます。

ホンサカキ

「ホンサカキ」は、関東より西の比較的暖かい地域に生育しています。樹高3~4メートルほどですが、ときには10メートルにもなります。左右対称に生える葉は濃い緑色で、表面が平らでつるつるしていて、光沢と厚みがあるのが特徴です。縁の部分は滑らかな曲線を描いていて、これを全縁(ぜんえん)と言います。6月ごろ小さな白い花が咲き、11月ごろに黒い実がつきます。
サカキ科サカキ属の植物ですが、ツバキ科で分類されることもあります。1年を通して落葉せず、枝や葉が玉串として使われます。

ヒサカキ

「ヒサカキ」は、樹高4~7メートルくらいになります。ホンサカキと比べると、葉がひと回り小さい楕円形で、縁にはノコギリのようなギザギザした刻み目が入っています。これを鋸歯縁(きょしえん)と言います。春になると葉の裏側に白い小花を咲かせたのち、秋には丸みを帯びた黒い実がなります。遠くまで届く独特の強い匂いがあり、ヒサカキの実は染料として使われることもありました。
サカキ科ヒサカキ属に分類されます。ホンサカキが生息しない関東以北の寒冷地方で代用されることが多いです。
ホンサカキ(本榊)と異なる植物であることを示すために「非榊」と呼ばれるほか、ホンサカキと比べて小ぶりな形から「姫榊」と言われることもあります。また、「シャシャキ」、「シャカキ」、「下草」、「ビシャコ」、「サカシバ」などの地方名で呼ぶこともあるようです。

ホンサカキとヒサカキの見分け方

ホンサカキとヒサカキは葉の形状に違いがあって、ざっくり言うと、葉がつるつるなのがホンサカキ、葉がギザギザなのがヒサカキです。
また、花の咲く時期も若干異なり、ヒサカキの花はホンサカキよりも早く、3~4月に咲きます。

ホンサカキとヒサカキ、神棚にはどちらを供えるべき?

ホンサカキとヒサカキは、両方とも神事に使うことができます。基本的にはホンサカキを使いますが、東北地方など寒冷地域ではヒサカキで代用することが多いです。

神事で榊が供えられる理由

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榊はなぜ、神事でお供えされるようになったのでしょうか?

玉串をお供えする儀式が正式な参拝

神社でおこなわれる神事には、「玉串奉奠(たまぐしほうてん)」という作法があります。玉串は、特殊な断ち方をして折った紙片の「紙垂(しで)」を榊に麻ひもでつけたもので、神事や祭典では欠かせません。
玉串に心を込めてお参りをするのが、神道では正式な参拝の作法とされており、玉串を神様にお供えする儀式のことをこう呼びます。体験したことがある人も多いのではないでしょうか。

神はとがった場所に降臨する

「榊」という漢字は象形文字のひとつで、左から大地を覆う木、神に捧げる台、雷を表しています。昔の人々は、先端のとがった植物が「依代(よりしろ)」といって神様が降りてくるものになり、その植物を介して神と交流できると考えていました。そのため、葉先がとがっていて比較的広く自生している榊が神事に使われました。
雷がとがった植物に落ちたことも、神がとがった場所に降臨するイメージと結びついたのもしれません。こうして、神様が宿る依代の意味をもつ榊を、神前にお供えするようになりました。

神事などでの榊の供え方

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神道で使われる榊は、神棚へのお供えや神事に使う玉串など、さまざまな場面で登場します。以下に、榊が使われる主な場面を3つご紹介します。このとき使うのは、ホンサカキでもヒサカキでもどちらでも構いません。

神棚に榊を供える

榊には「榊立て」と呼ばれる神具を用い、水や米、塩などとともに神棚に供えます。神棚の左右両端に1本ずつ榊を供えるのが通常ですが、地域によって本数が変わる場合もあります。気になるときは、地域に住む身近な人に本数を確認してください。
葉の表側が見えるようにお供えすることがポイントで、常に生き生きとした状態を維持することも大切です。
榊はとても水をよく吸うので、榊立ての水がなくなってしまわないように気をつけましょう。できれば、毎日新しい水に入れ替えると長持ちします。

神事で拝礼のために榊を玉串にして捧げる

前述したように、玉串とは、榊の枝に紙垂をつけた神への捧げものです。水や酒、米といったお供えものと同様の意味があると考えられています。
拝礼のために神に捧げる玉串は、祈る人の気持ちが込められた特別なものと言えます。神葬祭(神道のお葬式)だけでなく、七五三やお宮参りなどの儀式「玉串奉奠」でも用いられます。

地鎮祭や起工式で使う

榊は、地鎮祭や起工式の祭壇の左右に設置される真榊(まさかき)台にも用いられます。
真榊台は、2メートル以上の柱の先端に2本の榊を差し込み、緑・黄・赤・白・青の5色絹の幟(のぼり)をフックから垂らします。
この幟は、陰陽五行説における天地万物を構成する木・火・土・金・水の意味があります。向かって左側に剣を、右側には鏡と勾玉を掛けます。これらは日本神話に伝わる三種の神器が由来で、アマテラス(天照大神)がニニギノミコト(瓊瓊杵尊)に授けたとされており、それぞれ「八咫鏡(やたのかがみ)」、「天叢雲剣(あまのむらくものつるぎ)」、「八尺瓊勾玉(やさかのにのまがたま)」です。
なお、地鎮祭は、土地に宿った神を祝い鎮め、許しを得ることで、工事や建築の安全を祈願する儀式です。起工式は地鎮祭後、工事の安全とスムーズな進捗を祈る式を指します。

榊を交換する時期

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神棚などへのお供えの榊は、神道で縁起の良い日とされている、毎月1日と15日の2回、新しいものに取り換えるのが通常です。神に謝意を表し、国の安泰・繁栄を祈る毎月の「月次祭」は、1日と15日におこなわれるのが一般的で、神様による違いはほとんどありません。
月に2回が難しい場合は、毎月1日に交換します。きちんと管理できている榊は、1か月ほど元気な状態を維持できます。もしもその前に枯れてしまった場合は、日にとらわれずに早めに換えて、常に新鮮な状態を保ちましょう。
どうしても生の榊をお供えするのが難しい場合は、造花や、生の榊を薬品に漬け込んで長持ちするようにしたプリザーブドの榊でも構いません。水が必要ないので手入れも簡単です。生活スタイルに合ったものを選んでください。なお、プリザーブドの榊を用いるときは、年明けに交換します。

榊を交換する方法

「榊立て」など榊を活ける容器は、上に向かって細くなる形状が多いので、洗いにくく、雑菌が増えやすいと言われています。特に夏は、要注意。容器の中にたくさん水を入れると菌が増えやすくなるほか、水温が上昇して榊が弱る可能性があります。水を取り換えるときは、漂白剤などを使って容器を殺菌すると安心です。
また水を換えるとき、容器だけでなく、榊の手入れもおこなうと衛生的です。榊自体を洗ってあげましょう。束を1本1本ほぐし、流水でぬめりを落としてきれいにします。台所の中性洗剤をつけたペーパータオルでふいたあと、水で流すのも良いでしょう。

榊を長持ちさせる方法

榊は水を良く吸うので、毎日水替えが必要です。茎を斜めに切ると、水を吸い上げやすくなります。切れ味の悪いハサミを使うと、水を吸う道管が潰れることがあるので、良く切れるハサミを使いましょう。
また、榊は乾いた環境が苦手です。エアコンや暖房の風が直接当たりにくい場所に置いてください。葉が乾いてしなった状態にならないように、霧吹きで葉に水を吹きかけたり、榊に元気を与える市販の活力剤を利用したりするのもおすすめです。

お供えが終わったあとの榊の処分方法

榊は神棚に供えるものだけに、処分方法に迷うことがあります。
以前は、お焚き上げを神社に依頼する、土に埋める、河川や海に流すなどの方法が一般的でした。近年は榊のお焚き上げを受け付けない神社もあるほか、榊を河川や海に流すことに抵抗を感じる人も少なくありません。
したがって、榊の水気を拭いたあとにお清め塩を使い、白紙に包んでから燃えるゴミとして出すのが通例となりました。

榊を購入するときの注意点

神道に欠かせない榊(さかき)とは?榊の供え方や購入時の注意点などについて徹底解説!
榊を購入するときに注意するポイントは何でしょうか? 生花店、ホームセンターやスーパーマーケット、インタネット通販で購入する場合の注意点をそれぞれ挙げてみます。

生花店で榊を購入する場合の注意点

榊を購入する際、最も多いのは自宅近くの生花店かもしれません。近年は、大半が中国産と言われていますが、なかには国産品を販売する店もあります。価格は国産品で1対500円~700円程度、輸入品で1対350円~500円程度です。国産の榊は葉が肉厚でハリがあり、日持ちも良いと言われています。
産地表記がない店が多く見られますので、わからない場合には店員さんに聞くのが良いでしょう。比較的昔ながらの生花店のほうが榊を置いていることが多く、いま風のおしゃれな店では榊自体の取り扱いがない場合もあるので、注意してください。

ホームセンターやスーパーマーケットで榊を購入する場合の注意点

ホームセンターやスーパーマーケットも、店舗によっては榊を取り扱っています。生花売場がある店には置いてあることが多いです。販売しているのは中国産が多いですが、近年は国産榊を扱う店舗も増えてきました。価格は、街中の生花店と同程度もしくはやや安めの傾向があるようです。
ホームセンターやスーパーマーケットの店頭は無人の場合も多いため、購入する際は榊の状態をよく確認し、鮮度の良いものを購入するようにしましょう。

インターネット通販で榊を購入する場合の注意点

榊の生産者それぞれのウェブサイトのほか、楽天やアマゾンなど大手通販サイトでも榊は販売されています。価格は、500円代から1000円以上するものまでさまざまです。送料別途表記の場合も多いので、購入の際には、送料を含めて値段を比較検討する必要があります。
また、インターネットで注文する場合には、実際の商品を見て購入することができないので、産地情報がしっかり記されている会社を選ぶなど、自分なりに工夫しましょう。サイトによってはお試しプランがあるので、利用してみるのもおすすめです。通販の場合は、定期購入ができるサイトが多く、買い忘れがなくなるなどのメリットもあります。

自宅で榊を栽培できるか

基本的に関東以南で、庭やベランダなど栽培できる環境がある人に限られますが、チャレンジしてみるのも面白いかもしれません。ホンサカキは温暖な環境を好むため、関東圏で栽培に挑戦する場合にはヒサカキを選ぶように注意しましょう。

まとめ

神道において神聖な存在とされる榊は、神棚や玉串などに使われるのが一般的です。ホンサカキとヒサカキの2種類があり、地域によって手に入りやすい品種が違いますが、輸入品やプリザーブドタイプを含めてどの榊を使っても問題がないことがおわかりになったでしょうか? 手入れや水替えに気を配って、神棚には常にいきいきとした榊を飾るようにしましょう。