日本人は本当に無宗教なのか?データから見る日本人の宗教観

無宗教とは?

日本人は本当に無宗教なのか?データから見る日本人の宗教観
無宗教とは、キリスト教や仏教などの宗教を信じないと、積極的に主張する個人の思想を指します。
これらの人々はインターネットが普及した1990年代後半に急増し、現在では日本を含め全世界的に宗教離れが進んでいます。
そこで今回は、日本人と宗教の関係性や無宗教が増える大きな原因について、実際のデータを基にご紹介していきます

日本人の半数以上が無宗教

日本人は本当に無宗教なのか?データから見る日本人の宗教観
アメリカの調査機関によると、日本人の約半数に当たる7,200万人が無宗教となっており、この値は世界的に見ても高水準に区分されます。
また、無宗教の割合が高い国としては中国やアメリカも当てはまりますが、特に日本は超自然的な現象を信じる人が非常に少ないという調査結果も出ています。
超自然的な現象とは死後の世界や生まれ変わりのことであり、それらを信じる人が少ないということは日本人が現実主義であると言えます。

無宗教の規模は世界三位

世界の宗教別人口はキリスト教・イスラム教・無宗教の順であり、宗教離れが急速に進んでいることが分かります。
これらの原因は様々、現代科学や個人主義が発達し、多くの人々が宗教に頼らず、自分の意思で生きられる社会が確立されたことが、無宗教を広げている主な要因だとされています。

世界的に無宗教が増えている理由

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日本に限らず世界的に無宗教の普及が進んでいますが、その理由はどこにあるのでしょうか?
ここからは無宗教が支持される理由についてご紹介していきます。

教育と科学の進歩

近代以前は教育制度が成立しておらず、まともな教育を受けることができるのは、一部の上流階級に限られていました。
しかし、近代以降一般人でも教育の恩恵を享受できるようになると、宗教に対して懐疑的な思考を持ったり、実際に批判を行う人が登場するようになります。
また、科学の進歩によって社会全体の生産性が大きく向上したため、宗教やコミュニティに頼る必要がなくなったことも無宗教の増加に関係しています。

個人主義の発達

個人主義とは組織的な権威や支配を否定し、個人の権利と自由を尊重する思想のことですが、これは宗教と非常に相性が悪いと言われています。
なぜなら、キリスト教やイスラム教を筆頭に多くの宗教は聖職者に階級を与え、上の者が下の者を管理するという仕組みを採用しているためです。

階級や役職による管理が一般化すると、階級が低い人々は自らの自由意志で行動したり思考することが難しくなります。
そのため、近代の西欧を中心に個人主義が発達すると、宗教を元にした管理社会に大きな批判が生まれました。

しきたりや規律の存在

多くの宗教には厳しい規律が存在していますが、それらはコミュニティの維持や共存のために必要なものとして認識されてきました。
しかし、科学や社会が発達したことにより、現代では厳しい規律は単なる煩わしいものに変化しつつあります。
特に価値観が柔軟な若い世代からすると、しきたりや規律に大きな意味はなく、それによって自分たちの生活が制限されることに抵抗感を感じる人が多いです。

無宗教=無神論ではない点に注意

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無宗教について考える際には、無宗教=無神論ではないということを理解しなければいけません。
あくまでも無宗教とは特定の宗教を信仰していないだけであり、神の存在を信じているかどうかは別問題になります。
そのため、無宗教でも神の存在は信じるという人は大勢いますし、神道における八百万の神のような考え方を支持する人もいます。

日本人の生活に根付く神道

神道と聞くと、戦前の国家神道をイメージする人が多いですが、実は国家神道と本来の神道は様々な面で異なります。
しかし、現代日本は両方の神道から影響を受けているため、これらは切り離して考えることはできません。

国家神道

国家神道とは、明治政府が西洋列強に対抗するために構築した政治思想主義を指します。
この国家神道により、国民という定義や国民軍を中心とした市民社会という概念が普及し、社会の近代化に貢献したとされています。

一方、国家神道は富国強兵の拠り所にもなっていたので、天皇の過度な神格化など本来の神道から大きく逸れた思想も含んでいました。
また、昭和初期には当時のドイツやイタリアで主流となっていたファシズムに強い影響を受け、日本の全体主義化の大黒柱となっていきます。
第二次世界大戦後にはGHQによって国家神道は解体されましたが、現在でも信奉する人は少なくありません。

日本古来の神道

明治期以前における神道とは、八百万の神のように自然界に存在する万物を神聖視し、それらを崇拝する宗教です。
神道は日本が成立する以前から存在していますが、自然発生した土着宗教なので教祖や創始者がいないとされています。
信仰の対象は山や川、樹木など様々であり、食事に手を合わせたり、日常的に使用する道具を大切にすることで、自らに福がもたらされるという考え方が根底にあります。

アニミズム・不可知論を信じる人も

アニミズムとは霊魂を表すアニマという言葉に由来しており、森羅万象あらゆる物に霊魂が宿るという考え方です。
一方、不可知論は人の認識能力には限界があるため、高度な存在や事象については認識できないとする立場のことです。
アニミズムや不可知論は近代以前から存在しますが、現在では他の思想などと混じり合い、独自の進化を遂げています。

日本の行事は宗教的なものばかり?

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多くの日本人が一般的に行う行事の中には、宗教的な事柄が数多く含まれています。
ここからは日本の代表的な行事を3つ取り上げ、日本人が無意識に持っている潜在的な宗教観についてご紹介していきます。

除夜の鐘・初詣(仏教・神道)

大晦日に除夜の鐘を突くことによって煩悩を取り去るという考え方は、仏教思想に由来しています。
また、元旦に晴れ着を着て神社仏閣に参拝する行為は、年籠りという神道の儀式が元になっていますが、いずれも自分の利益を神や仏に祈るという意味合いがあります。
幕末以降は形骸化しており、現在では単なる季節行事となっていますが、実は宗教的な要素が非常に強い行事です。

結婚式(キリスト教)

1960年代まで日本の結婚式は、質素で低予算な神前式や仏式の結婚式が主流でした。
しかし、高度成長期を迎えると西洋風の結婚式が人気となり、高額を費やして派手に行うことが一般化しました。
西洋風の結婚式が普及した理由については、高度成長期に流行した一億総中流という考え方と、個人の関係性を尊重する西洋風の結婚式が一致したためと言われています。

葬儀(仏教)

日本の葬儀の約94%は仏式で執り行われており、神葬祭やキリスト教式の葬儀は全体の1%にも満たないです。
どのような理由で日本の葬儀が洋式化しなかったのかについては諸説ありますが、現在では葬儀という行事が突発的かつ実務的であるため、という説が一般的とされています。

まとめ

今回ご紹介したとおり、日本には欧米諸国のようなキリスト教的な枠組みや、イスラム諸国のような強固な宗教的概念が存在しません。
そのため、日本人は良くも悪くも他の文化に影響されやすく、色々な文化の取捨選択を幾度も繰り返してきました。
今後このような在り方や関係性が、どのように変化していくかは分からないですが、社会の安定や繁栄のために日本人独自の宗教観を大切にしていかなければいけません。