自分で作る年金「iDECO」とは?

~「iDECO」の始め方やメリット・デメリットについて解説~

はじめに

老後に向けた資金づくりに「iDeCo(イデコ)」を利用する方が増えています。
長寿化により「人生100年時代」ともいわれますが、老後生活が長くなるほど資金にも余裕が必要であり、公的年金だけでは不足するといった試算もあります。
iDeCoは将来の年金を少しずつ積み立てていく制度であり、税制上のメリットも多いためサラリーマンやOL、自営業者の方にも注目されています。
そこで今回は、iDeCoの特徴や加入条件、メリット・デメリットなどについて解説します。

iDeCoとは?

自分で作る年金「iDECO」とは?
現役世代の加入者が毎月一定額を掛け金として積み立て(拠出)、老後に受け取る個人型の確定拠出年金の愛称が「iDeCo(イデコ)」です。
iDECOに加入する・しないは自由であり、掛け金の運用や拠出タイミングも自分で選べる制度となっています。掛け金や運用益などには優遇税制もあるため、老後の資金づくりとして加入者は年々増加しているようです。
公的年金や退職金への不安から、自分で用意する年金としてiDeCoは注目されており、少額からでも始められるため、無理なくコツコツと資産形成できます。
さっそくiDeCoの加入条件や始め方、メリット・デメリットについて解説しますので、ぜひ参考にしてください。

iDeCoに加入する条件

基本的には60歳未満の誰もがiDeCoに加入でき、具体的な条件は以下のようになります。
●国民保険の第1号被保険者
自営業者、フリーランスなど(農業者年金の被保険者、国民年金保険料の免除を受けている人を除く)
●60歳未満の厚生年金保険の被保険者
・企業年金制度がない会社員
・iDeCo加入を認めている企業型確定拠出年金の加入者
・確定給付企業年金、厚生年金基金の加入者
・国家公務員・地方公務員の共済組合員、私学共済の加入者(私学共済の加入者のうち、iDeCo加入を認めていない企業型確定拠出年金の加入者は加入不可)
●専業主婦(主夫)

iDeCoはいくらから始められる?

毎月5,000円からスタートでき1,000円単位で上乗せ可能です。上限金額は加入者の職業によって以下のように決まっています。
●iDeCoOの職業別上限金額
・自営業、フリーランス:月額6万8,000円
・公務員:月額1万2,000円
・専業主婦(主夫):月額2万3,000円
・会社員(企業年金あり):月額1万2,000円または2万円
・会社員(企業年金なし):月額2万3,000円

会社員(企業年金あり)の場合、企業型確定拠出年金のみ加入の場合は月額上限が2万円になります。また、国民年金保険料の未納月は掛け金を拠出できません。

iDeCoの始め方

自分で作る年金「iDECO」とは?
まず運営管理機関となる銀行等を決め、専用口座を開設してiDeCoのスタートとなります。
運営管理機関には銀行や証券会社などがあり、口座開設までの流れは以下のようになっています。
①申込書などの取り寄せ
まず金融機関の窓口やネットから手続きに必要な資料を取り寄せます。金融機関によって商品内容が違うので、1社だけで決めず、数社を調べておくとよいでしょう。
会社員の場合はiDeCoに加入できない場合もあるので、勤め先の企業年金(企業型確定拠出年金を導入しているか)について確認してください。
②金融機関(運営管理機関)を決める
あらかじめ取り寄せた資料をもとに金融機関を1社決めます。
各金融機関では商品ラインナップや手数料も異なるため、慎重に吟味してください。
③運用商品を決め、加入申出書を提出
iDeCoの開始年齢によっては長期の運用になるため、手数料などを比較しながら運用商品を決めます。
投資未経験の方はリスク分散型をおすすめしますが、迷った場合は銀行窓口で相談しましょう。
運用商品が決まれば加入申出書に必要事項を記入して提出しますが、公務員や会社員は勤め先からもらう「事業所登録申請書 兼 第2号加入者に係る事業所の証明書」も必要です。
④国民年金基金連合会による審査
加入申出書提出後は、国民年金基金連合会による審査が行われます。
審査を通過すると金融機関から「口座開設のお知らせ」または「加入資格確認結果通知」が送付され、口座開設完了となります。
⑤掛け金の口座振替開始
iDeCoの掛け金(拠出金)は毎月26日が振替日となり、専用口座から引落しになります
。基本的には申込月の翌月から開始となりますが、加入申出書の提出タイミングによっては翌々月となり、初回に2回分(2か月分)の掛け金が引き落とされる場合もあります。
なお、26日が土日や祝日の場合は翌営業日が引落し日になります。

iDeCoのメリット

自分で作る年金「iDECO」とは?
iDeCoには税制面や手数料などが優遇されており、長期運用によってさらにメリットが大きくなります。
主なメリットを紹介しますので、参考にしてください。

税制優遇を受けれる

iDeCoは掛け金の全額を所得控除できます。つまり毎月1万円の掛け金を拠出すると、年間12万円の所得控除となり、課税所得を低く抑えられるので結果として所得税や住民税を安くできます。
税金面を考えると預貯金に回すよりiDeCoに使った方が得といえるでしょう。

また、iDeCoでは運用益の税金についても優遇措置されています。
年金として受け取る場合には「公的年金等控除」、一時金で受け取る場合は「退職所得控除」が使え、以下のような税制優遇となっています。
●公的年金等控除
年金として受け取る場合は「公的年金等控除」が適用され、65歳未満は60万円までが非課税、65歳以上になると110万円までが非課税となり、超過分は雑所得として課税対象になります。
●退職所得控除
iDeCoの運用益を一時金で受け取る場合、退職金と同じ扱いになるため「退職所得控除」を利用できます。
退職金の控除額は勤続年数によって変わり、iDeCoの場合は積立年数によって変動します。
【退職所得控除額の計算】
・積立年数20年以下:40万円×積立年数(80万円に満たない場合は80万円とする)
・積立年数20年以上:70万円×(積立年数-20年)+800万円
一時金が上記計算結果を超えない場合は非課税となります。

投資信託のコストが安い

iDeCoでは運用益が非課税となり、高い投資効果を期待できます。
基本的に投資信託の運用益は20.315%課税となりますが、非課税のiDeCoでは運用益の全額を投資に回せるので、加入が長期間になるほど投資効果(節税効果)が高くなります。

定期預金や保険商品を選べる

iDeCoの運用商品にはさまざまな種類があり、元本保証型の定期預金や保険商品も扱われています。
投資経験がなければ投資信託商品の選定は難しく「どんな商品がよいのか分かりにくい」ということもあるでしょう。
iDeCoでは複数の商品を選ぶこともできるので、スタート時には定期預金や保険商品の比率を高めにしておき、徐々に投資信託へ変更することも可能です。

転職・退職しても年金資産の持ち運びができる

iDeCoは転職先へ持ち運べるので、職場が変わってもそのまま継続利用できます。
企業年金の場合は退職時に清算されるので、職場が変わると一からスタートになりますが、iDeCoは転職によってリセットされることがなく、今まで拠出した年金をそのまま次の職場へ持ち運べます。
一度現金化して持ち運ぶことになりますが、転職先の職種によっては加入条件や掛け金(上限)も変わる可能性があるので、事前に問い合わせておくとよいでしょう。

iDeCoのデメリット

自分で作る年金「iDECO」とは?
税制面や手数料の優遇、転職先への持ち運びなどメリットの多いiDeCoですが、制度上デメリットを感じる部分もいくつかあります。デメリットとされる代表的なものは以下のとおりです。

原則60歳まで資産を引き出せない

iDeCoは老齢給付金として受け取ることを前提にしているため、原則として60歳までは現金化できません。
さらに60歳で現金化するためには10年以上の加入も必要であり、60歳になったときの加入期間が10年未満であれば、現金化は最高65歳まで引き延ばされることになります。
中途解約も原則不可のため、掛け金を下げたい場合は加入者掛金変更届を提出し、経済的な事情で掛け金を拠出できない場合は資格喪失届を提出して停止とします。(拠出済みの掛け金は継続運用できます)
一度加入すると途中離脱できない点は、自由度においてはデメリットといえますが、強制力があるため確実に老後資金を形成できます。つまり収入に見合った掛け金の設定が重要といえます。

元本割れのリスクがある

iDeCoの運用商品は投資信託がメインであるため、元本割れする可能性も十分にあります。
商品選びの際にはプロのアドバイスもありますが、決定するのは自分自身であり、損失も自己責任となります。
しかし、リスクを避けるため元本保証型商品を多く組み入れると、高い投資効果は期待できず、思っていたほどの老後資金を準備できない場合もあります。
また、損失リスクを回避できる反面、利息を手数料が上回るケースもあります。運用は投資の専門家によって行われますが、ある程度の投資知識は必要といえるでしょう。

受け取り時に税金がかかる場合がある

iDeCoのメリットの部分で退職時の控除について触れましたが、一定額を超過した場合は所得税がかかります。
60歳定年で退職金とiDeCoの年金を受け取る場合、別々に退職所得控除を適用するのではなく、合算した上で計算されます。
また、勤続年数と積立年数では長い方で計算するので、会社からの退職金が高額になる方は非課税枠を超えてしまう可能性が大きくなります。

各種手数料がかかる

iDeCoは利用開始から受取りまで各種手数料が発生します。
まず、金融機関で専用口座を開設する際には一律2,829円の事務手数料がかかります。
開設後には口座管理手数料も毎月発生し、安くて171円、高いところは629円に設定されています。
また、積立を行わない場合でも手数料は発生し、金融機関によって66円~524円とかなりの差があります。
年金形式で受け取る場合にも給付事務手数料(振込手数料)が発生し、各金融機関ともに1回あたり440円となっています。

おわりに

iDeCoは毎月少額の掛け金からスタートでき、無理なく老後資金をつくれます。
原則として途中解約はできず、投資商品である以上元本割れの可能性もありますが、分散投資と長期運用によりリスクも低く抑えられています。
老後人生が快適になるか、そうでないかは資金力にかかる面が大きいため、年金や退職金に不安がある方は早めのスタートをおすすめします。