遺体を預ける事ができる「遺体ホテル」とは?

~「遺体ホテル」の利用方法や費用の相場について解説~

はじめに

かつての日本には「看取り」の文化が根付いており、人生の終焉を自宅で迎え遺体も自宅に安置するのが一般的でした。
しかし、自宅で亡くなる人は全体の1割程度であり、ほとんどの人は老人ホームや病院などで亡くなる事から、日常生活と死を区別して考える傾向が強くなっています。
また、葬儀の簡略化が進んでいる事から、遺体ホテルは現代の葬儀スタイルや住宅事情にもマッチしており、都市部を中心に普及しつつあります。
そこで今回は、遺体ホテルの利用方法や費用の相場について解説していきます。

遺体ホテルとは?

遺体を預ける事ができる「遺体ホテル」とは?
遺体ホテルとは遺体の安置を専門としたホテルの総称であり、都市部を中心に建設が進んでいます。
遺体の安置という特殊性から外観や内装は落ち着いた雰囲気であり、一目で遺体ホテルと分かるような看板は設置されていません。
また、葬儀社や火葬場の霊安室とは異なり、湯灌設備や遺族の休憩室のような遺族が必要とする設備が整っているホテルも多いです。

遺体ホテルの需要は大きくなっている?

高齢者の増加にともない、葬儀場や火葬場の利用率が高まっている事から、人が多い都市部では火葬場などを予約する事が難しくなっています。
また、予約を取れたとしても実施するまでに3~4日程度の待機を必要とする場合もあるので、その間は遺体を自宅などで安置しなければいけません。ただ、賃貸物件によっては遺体の安置を禁止していたり、そもそも安置するほどのスペースがなく、遺体の安置場所に困ってしまう人も多いです。
このような状況を受けて、安置施設を備えた葬儀場や火葬場の建設も増えていますが、忌避施設に分類されるので用地の確保が難しく、近隣住民からの反対によって完成までに長い時間がかかってしまうケースも見られます。
そこで遺体の安置を専門とした遺体ホテルが登場した事によって、現在は都市部を中心に需要が大きくなりつつあります。

遺体ホテルと遺体安置施設の違い

遺体を預ける事ができる「遺体ホテル」とは?
昔は遺体を葬儀業者や火葬場の霊安室に安置する事が一般的でしたが、そのような施設では簡易的な設備しかなく、複数の遺体をまとめて一箇所に安置している場合が多かったので、遺族にとっては利便性に問題がありました。
そこで、ビジネスホテルのような既存の建物を改修する事によって、遺体をしっかりと保存しつつ遺族にとっても使いやすい施設として遺体ホテルという新しいビジネスモデルが登場しました。
また、遺体ホテルは安置室が独立しているので、他の遺族を気にする事なく遺体と面会する事ができますし、受付カウンターや待合ホールなど遺族の利便性を考えた設備が整っています。

遺体ホテルの平均費用

遺体ホテルの費用は設備やオプションによって異なりますが、相場としては1万円程度になります。
また、遺族や遠方からの参列者が宿泊できる遺体ホテルもありますが、寝具のレンタルやバスルームの利用は別料金として設定されている場合もあります。
ただ、葬儀社が運営する遺体ホテルの場合はパッケージ化されているので、家族葬のような小規模な葬儀であれば、葬儀や火葬も合わせて10万円程度で利用する事も可能です。

遺体ホテルのメリット

遺体を預ける事ができる「遺体ホテル」とは?
遺体ホテルには以下のようなメリットがあります。

遺体を衛生的に安置できる

遺体ホテルでは吸熱処理やドライアイスによって遺体を衛生的に安置します。
温度や湿度管理をしっかりと行えば、数日程度は遺体の腐敗や損傷を抑えてキレイなまま火葬する事が可能なので、火葬場の予約が中々取れない時には非常に役立ちます。

遺体の滞留を防止できる

火葬場の不足する都市部では遺体が滞留する場合が多く、火葬が行えない期間が長引くと遺族にとっては精神的な負担となります。
遺体ホテルであれば、数日程度は遺体の状態を良好に保ったまま安置する事ができるので、その間に葬儀社や火葬場を探すという使い方も可能です。

葬儀とセットで利用できる

葬儀社の運営する遺体ホテルであれば僧侶や料理の手配など、葬儀全般を任せる事ができます。
また、単独運営の遺体ホテルでも外部の葬儀社と提携している場合があるので、短時間で葬儀内容を決めて実施する事も可能です。

近隣に知られることなく遺体を安置できる

人によっては近隣住民に家族の不幸を知られたくない場合もありますが、遺体ホテルに安置すれば自宅に業者が出入りする事なく、静かに葬儀を行う事ができます。

遺体ホテルのデメリット

遺体を預ける事ができる「遺体ホテル」とは?
遺体ホテルは特殊な施設なので以下のようなデメリットもあります。

費用が高額になる場合もある

遺体ホテルの平均費用は1万円程度ですが、付帯設備を利用したり安置期間が長くなると費用もかさんでしまいます。
葬儀にあまりお金をかけたくない場合は一旦自宅に安置して、2日以上の安置が必要な場合は遺体ホテルを利用するといった形で使い分ける事をおすすめします。

周囲の理解を得られない可能性がある

遺体ホテルそのものが新たなビジネス形態であるため、高齢者世代や保守的な考えの人には反発される事もあります。
また、近隣住民の反対運動が起きていた遺体ホテルもあるので、人目をはばからず利用できない可能性も考えておきましょう。

まとめ

遺体ホテルは登場からまだ数年であり認知度は決して高くありません。
建設にあたっては近隣住民の反対もあるため葬祭場のような広域展開はまだ先かもしれませんが、稼働中の遺体ホテルは常時満室ともいえる状況になっています。
火葬場の老朽化や火葬炉の不足に加え、核家族化や住宅事情も様変わりした現代には必要な施設といえるでしょう。特に賃貸の集合住宅やマンション住まいの方は将来を見据え、遺体ホテルの利用を検討しておくべきかもしれません。