介護サービスの利用に必要な要介護認定とは?

~要介護認定の分類や認定を受けるまでの流れについて~

はじめに

日本は世界第2位の長寿国であり、平均寿命も年々伸びている事から、介護保険制度の重要性は一層高まっています。

しかし、介護保険制度を利用するためには要介護認定を受ける必要があるだけでなく、認定された介護レベルによっても利用できるサービスが異なります。そのため、専門的な知識がない人にとっては敷居が高く、自分や家族が介護保険制度を利用する事ができるのか把握していない人も多いです。

そこで今回は、介護保険制度を利用するために必要な要介護認定の申請手順や分類について分かりやすく解説していきます。

要介護認定とは

介護サービスの利用に必要な要介護認定とは?

日本では40歳以上になると介護保険制度への加入が義務化され、社会保険と同じように毎月保険料を支払わなければいけません。その代わりに、支援や介護が必要となった際に要介護認定を受ける事によって各種介護サービスを低負担で利用する事が可能となります。

また、必要となる支援や介護の度合いは人によって異なるため、要介護認定では自治体職員によるヒアリングやコンピューターによる判定などを行い、介護レベルを算出します。

要介護認定の分類

介護サービスの利用に必要な要介護認定とは?

要介護認定は介護レベルに応じて7段階に分類されており、それぞれの介護度は以下のような内容になっています。

要支援1

1人でも生活できるレベルだが、複雑な動作には支援が必要であり、生活習慣の改善や適切な支援によって要介護状態の予防が見込まれる。

要支援2

1人でも生活できるレベルだが、要支援1に比べ生活動作に衰えが出ている状態。生活習慣の改善や適切な支援によって要介護状態の予防が見込まれる。

要介護1

要支援2よりも運動機能が低下しており不安定な歩行となっている。思考力も低下し、食事や排せつなど部分的な介助が必要。

要介護2

要介護1よりもさらに思考力や理解力が低下し、問題行動がみられる状態。食事や排せつなど部分的な介助が必要。

要介護3

歩行や食事、入浴や排せつなど全面的な介助を必要とする状態。

要介護4

歩行や食事など全面的な介助を必要とすし、要介護3に比べさらに日常生活動作が低下している状態。

要介護5

日常生活全般のほか意思疎通も困難であり、介護なしでは生活できない状態。

要介護認定の流れ

介護サービスの利用に必要な要介護認定とは?

要介護認定の申請から結果の通知までは以下のような流れになっています。

①介護保険要介護認定申請書と介護保険被保険者証を提出

②訪問調査日の調整

③一次判定

④二次判定

⑤要介護認定結果の通知

申請から要介護認定の結果通知までは1カ月ほどかかり、要介護と認定された場合は介護保険被保険者証が届きます。 認定結果により要支援または要介護の7段階に区分されますが、自立した生活ができる状態であれば非該当の結果になります。

申請

要介護認定の申請は各自治体の担当窓口で行います。原則的に申請作業は本人が行いますが、何かしらの事情があって本人が直接申請できない場合は家族による代理申請も可能ですし、地域包括支援センターや居宅介護支援事業者を通した申請も制度上は可能です。

また、申請には「介護保険要介護認定申請書」などと合わせて、「主治医の意見書」も必要となってきます。もし、かかりつけ医や主治医がいない場合は各自治体が指定している病院の医師による診察を受けるようにしましょう。

認定調査

要介護認定の申請が受理された場合は、まず自治体職員やケアマネージャーが自宅を訪問し、介護レベルを判定するのに必要な「概況調査」「基本調査」「特記事項」といった調査を行います。

概況調査では現在利用している介護サービスを調査し、基本調査では身体機能など6項目に関する細かな調査やヒアリングを行います。また、概況調査や基本調査だけでは不十分な場合は、特記事項として追加の調査を行い、現状を明確にします。

そして、基本調査で調査する6項目については以下のような内容となっています。

身体機能

・起居機能

・麻痺の有無や関節等の動きの制限

・寝返りや起き上がりができるか

・立つ事、座る事ができるか ・資力に問題がないか

生活機能

・食事の状況

・排泄の状況

・乗り移りや移動時の動作

・洗顔、洗髪、歯磨きなどの生活動作

・衣服等の脱ぎ着

・外出頻度

認知機能

・意思伝達

・自分の名前を言う

・自分の生年月日や年齢を言う事ができる

・短期の記憶

・外出先から自宅に戻れない、場所の理解

精神・行動障害

・感情が不安定で泣いたり笑ったりする

・ものをとられたなど被害的になる

・昼夜の逆転

・ものを集める、無断で持ち帰る

・1人で外に出たがり目が離せない

社会性への機能

・金銭の管理

・買い物

・薬の服用

・簡単な調理

・集団生活が困難

過去14日間で受けた特別な治療

・透析

・点滴の管理

・経管栄養

要介護認定等基準時間の算出

基本調査では対象者の普段の生活や会話内容などについても聞かれるため、認定調査の際にはなるべく家族も同席するようにしましょう。また、要介護認定には主治医による意見書も必要となるので、年1回は病院で健康診断を受けるなどして、健康状態や判断力を確認してもらう事をおすすめします。

認定調査が終わった後は、調査結果や主治医の意見書をコンピューターで処理し、一次判定を行います。この際に介護に要する時間として「要介護認定基準時間」の推計値も算出しますが、これは実際に介護サービスを利用する時間ではなく、あくまで目安となる基準時間になります。

要介護認定基準時間の算出については以下の5項目にかかる時間を参考にします。

・直接生活介助(入浴や排せつ、食事等の介護)

・関節生活介助(洗濯、掃除などの家事に関する介護)

・問題行動関連行為(徘徊による探索、問題が起きた際の後始末にかかる行為)

・機能訓練関連行為(歩行、日常生活の訓練)

・医療関連行為(輸液の管理等の診療補助)

一次判定の次は介護認定審査会による二次判定が行われ、要介護認定の結果が通知される事になります。

結果通知

要介護認定の結果は認定調査が終了してから1カ月程度で通知されます。もし、要支援1~2に認定された場合は「介護予防サービス」を、要介護1~5に認定された場合は「介護保険サービス」の利用が可能となります。

仮に要介護認定の結果が非該当だったとしても、地域支援事業の利用は可能ですし、各自治体の担当窓口に相談するか介護保険審査会へ不服申立てを行う事によって、要介護認定の結果の見直しを要求する事ができます。

介護保険審査会とは各都道府県に設置されている第三者機関であり、医療や保険に関する審査や決済を行っています。中立の有識者によって構成されているため、公平・公正な立場から要介護認定の結果審査を行ってくれますが、原則的に不服申立ては結果の通知から3ヶ月以内でないといけないですし、申立てが却下される場合もあるので注意しましょう。

要介護認定の有効期限と更新方法

介護サービスの利用に必要な要介護認定とは?

要介護認定は生涯有効な訳ではなく、新規の認定では6カ月、認定を更新した場合は12カ月と有効期間が定められています。介護認定の効力は原則として認定申請日になり、本人の状態が安定している場合は2年間に延長される事もあります。

また、要介護認定の有効期間以降も介護サービスを利用する場合は有効期間満了日の前日から起算して60日以内に申請しておく必要があります。介護度に変化がなくても更新手続きは必要であり、更新の際は改めて訪問調査が行われる事になります。

介護度に大きな変化があった場合は「区分変更申請」する事が可能となり、認定されると有効期間内であっても介護区分が変更される事になります。

おわりに

要介護認定を受けるためには1カ月程度の時間が必要であり、実際に介護サービスを利用できるまでにはさらに数日間の期間を要します。

また、調査員等に正確な情報が伝わっていなければ、本来の介護度よりも低いレベルで判定される可能性もあります。自分や家族の状態をよく確かめ、介護が必要と思われた時は早めに行動するようにしましょう。