直葬とは?

~直葬のメリットや注意点について解説~

はじめに

近年急激に葬儀の形態が都市部を中心に大きく変化してきました。背景として社会構造の変化があります。高齢化が進展し、生涯独身の人の増加と共に単身高齢者世帯が増え、結果として身寄りのない人が増えています。そして、家族・親族関係の希薄化から付き合いの薄い親族の面倒をみる価値観や習慣が薄れています。また、経済的な理由で葬儀にお金を掛けたくない人も増えています。
そういった理由から、葬儀を小規模に行う家族葬、密葬や葬儀自体を行わない直葬が増えています。ここでは急激に増えている、葬儀を行わない直葬について詳しく紹介します。

直葬(ちょくそう)とは

直葬とは、病院や施設などの逝去先から通夜や葬儀告別式を行わず、火葬場へ直接搬送し、火葬のみを行う形式をいいます。逝去先から直接火葬場へ搬送するので直葬といいますが、もともとは葬儀業者間での専門用語でしたが、一般化されて使われるようになりました。
首都圏や関西圏の大都市部では全体の20~25パーセントが直葬を選んでいるというデータもあります。

直葬が増える背景

直葬が増える背景には次のような点が考えられます。

①少子化、生涯独身者の増加、高齢単身者の増加により、子供や家族がいない人が増えている。

子供や家族がいない人も増えています。また、家族、親子であっても絶縁関係にある場合や離婚はしていない配偶者であっても実質的に婚姻関係が破綻している場合は葬儀まで行いたくない場合があります。

②親族関係の希薄化、親戚づきあいをしない傾向の拡大

親族がいても冠婚葬祭も含めての親戚づきあいをしない傾向も増えています。そのため、冠婚葬祭のしきたりも関係ないと考える人も増えてきました。また、縁遠い親戚の面倒まで見ないという考え方も多くなっています。

③葬儀に費用を掛けたくない傾向の拡大

葬儀に費用を掛けたくない傾向では小規模な家族葬などの形態の拡大があります。しかし、葬儀を行えば規模を小さくしてもどうしても一定の費用は掛かってしまいます。そのため、葬儀を行わなければ費用がかからず、かつ手間もかからないという考えがあります。

直葬の流れ

法律上、亡くなった時刻(死亡診断書に記載)から24時間を経過しなければ、荼毘(火葬)を行うことは出来ません。よって亡くなった日の翌日以降に役所で死亡届の提出などの手続きを行い、火葬場の空き状況、遺族などの火葬執行者の都合によって日時が決定します。
直葬の場合の逝去から火葬までの流れは次にようになります。

①逝去
病院などでは医師による”死亡診断書”、警察が介入する場合は”火葬許可証”が発行されます。

②葬儀社への連絡
事前に直葬をする考えをまとめ、依頼する葬儀社の資料を検討し葬儀社を選択しておくことが必要です。決めておかないと慌ててしまい不本意な結果が生まれてしまう場合もあります。

③葬儀社による遺体の搬送
葬儀社と事前に打ち合わせをし、遺体をどこに安置するかを決めておきます。一定の規模の葬儀社では自社で安置するスペースを持っている場合もありますが、提携先の安置施設の場合もあります。火葬場の安置施設の場合もあります。

④葬儀社による納棺
多くの場合は葬儀社に納棺、搬送を一任します。

⑤火葬の予約
火葬場の予約は葬儀社がしてくれます。また、死亡届の提出も葬儀社が代行してくれます。

⑥火葬
火葬時間に合わせて、立ち会いする人は火葬場に集まり、最期のお別れをします。
希望であれば、寺院に依頼し読経を依頼することも可能です。ただし、僧侶へのお布施は必要となります。骨上げまで1~2時間程度待機します。

⑦骨上げ
火葬後に遺骨を骨壷に納めることを「骨上げ」と言います。骨上げは2人1組となり、お骨を同時に箸で挟んで骨壷に納めます。喪主から順番に、血縁の深い順に行います。骨は足側から拾い、最後に喉仏を納めるのが一般的です。

直葬にかかる費用

直葬の費用相場は10万円台から30万円です。
標準的な物品、サービスは次のようなものです。
・搬送 2回分(病院などから安置所、安置所から火葬場)
・安置施設使用料(3日分)
・ドライアイス(3日分)
・棺、骨壺、お別れ用の花束などの物品一式
・火葬料金
・運営スタッフ人件費
・火葬手続き代行費

直葬までの日数が伸びた場合、安置施設の利用料、ドライアイス量が加算される場合があります。
その他、搬送の車の種類(寝台車・霊柩車など)、死亡時の遺体の状況がひどい場合などは専門的な特殊処置を施す場合などは加算されます。

なお火葬自体の料金(首都圏公営斎場の平均相場)は15,000円(税込)程度です。地域により、火葬場の公営・民営により差があります。

直葬のメリット

直葬のメリットは次に挙げるものです。

(1) 費用を安く抑えられる。

葬儀を行えば、通夜、葬儀告別式を行うことになり、儀式を行う上で祭壇や葬儀式場、霊柩車やマイクロバスなども必要です。また、たとえ参列者が少なくても会葬者への料理などの振る舞いや会葬御礼、香典返しの品物を用意する必要があります。直葬はこのような用意が一切不要なので費用を抑えることが可能です。また、直葬では宗教者へのお布施も必要でなくなります。

(2) 手間がかからない。

葬儀の儀式を行わなければ煩雑な手間がかかりません。

(3) 短時間で終わる。

通夜、告別式を行えば通常は2日かかります。直葬ではおよそ半日で終えることができるため、時間的な負担も軽減することができます。

#4.直葬を行う際の注意点
直葬を行う際の注意点もあります。特に親族関係がある場合、知人友人がいる場合、寺院を中心としたお墓との関係などが重要です。

(1) 親族関係がある場合、知人友人がいる場合

直葬は、一般的な葬儀の大部分を省略する葬儀スタイルです。そのため、周囲からは苦言を呈されることもあり、親族関係がある場合、知人友人がいる場合は感情を無視されたと批判される場合もあります。

親族関係があれば、可能であれば事前に直葬をすることの合意を取っておくことが望ましいです。苦言を呈された場合は、自分たちの家族の実情や経済的事情を率直に説明します。
また、近しい知人友人の連絡先が分かる場合は直葬での立会いが可能であることを伝えるのも良いでしょう。葬儀でなくても最後のお別れの機会は大切なものではないでしょうか。
直葬後に不幸を知ってしまうことで、直葬に対してだけではなく、「どうして教えてくれなかったの」と事後報告に対して不満を持たれる場合もあります。

(2) 寺院とお墓との関係

①菩提寺があり故人をそのお寺のお墓に入れる場合
原則的には直葬は好ましくないのですが、お布施の額を少なくしてもらい直葬における火葬場での読経を依頼する方法もあります。また、お寺のお墓への納骨時のお布施を払うことで了解を得るようにします。また、戒名をどうするかも検討します。戒名を必要とする場合はやはりお布施が必要となります。葬儀から始まり納骨、回忌法要までも関係するので、菩提寺の場合は経済的事情が苦しいなど事情を率直に住職に話し理解を得る努力が必要でしょう。

②菩提寺とは関係なく新たに納骨する場合
家のお墓に入らず新たにお墓を求める場合は直葬も含めて葬儀までは自由に行えます。お墓に入る納骨の時からの関係となります。寺院墓地であれば寺院へのお墓の費用、納骨時のお布施、石材店への納骨費用が必要になります。また、新たに檀家になる必要があれば檀家の費用(入団料、年間のお布施など)が必要となります。納骨堂では全体的に費用が抑えられます。霊園墓地では僧侶を招いての納骨時の法要を省くことはできますが石材店への納骨費用は必要です。

(3) その他の注意点

①遺体の安置場所を考えておく必要がある。
亡くなられたあとすぐに火葬ができるわけではありません。死後24時間以内に火葬をすることは、法律で禁止されているためです。また、一般的に火葬場は空いているわけではなく待たされる期間があります。そのため、直葬では火葬まで遺体を安置する場所の確保が必要となります。その点も葬儀社と事前に連絡を取り確認しておく必要があります。

②家族がいない人の場合
家族がいない人も増えていますが、親せきや知人で本人と生前に付き合いのある人で面倒を看てきた人などは、本人から生前に親族関係や近しい人などの名前、連絡先などを聞いておくことが必要です。また、本人の死後の葬儀や納骨については、相続人がいればお墓などについて聞いておくことが必要です。相続人がいない場合は、死後の葬儀や納骨を行うことに関する死後事務委託契約と費用の処理などについても本人と話しておくことが必要となってきます。もしくは本人にこれらの処理に関して遺書を書いてもらうことが必要です。

③本人のお金の用意は?
本人が経済的に困窮している場合もあります。特に身寄りのない人の場合は重要です。基本的には病院に入院する場合でも介護施設に入所する場合でも身元保証人は必要です。これにだれがなるかが重要です。また、経済的に困窮している場合は生前に生活保護を受けていれば火葬費などの費用は保護費で支払われます。

おわりに

新型コロナウィルス感染症により、葬儀自体ができなくなっています。コロナ患者で亡くなった場合は、家族すら火葬にも立ち会えない場合があります。直葬よりさらに発展した形です。ゼロ葬と言われる分野です。
この事態は早く収まることを望みますがコロナ禍以前からある直葬の流れは縮小することはなく、より拡大していくことが予想されます。コロナはそれを加速させるものとなるでしょう。
高齢化で亡くなる人の年齢も90代・80代後半の人が増え、同年代の人が親戚、近親者でも少なくなり、参列する人が家族・親族関係に絞られてきています。
葬儀の簡素化の流れに加えて、家族や親族のいない人の増加や家族・親族関係の希薄化、経済的に葬儀にお金を掛けたくないなどが、直葬の背景にあるといえます。