介護離職をせずに在宅介護を続けるためには何が必要なの?

~在宅介護のよくある悩みや対策について~

はじめに

高齢社会の到来で親などの介護をするために現役世代が離職する介護離職が大きな社会問題となっています。

また介護離職によって労働人口が減少すれば、税収入や経済の面にも大きな打撃を与える事から官民一体となった介護離職への対策が求められています。

そこで今回は介護離職をしないために今からできる事について解説していきます。

介護離職するとどうなるの?

介護離職をせずに在宅介護を続けるためには何が必要なの?

介護離職をした場合の打撃では次のような点があります。

・キャリアの分断や喪失

これまで仕事で積み上げてきたキャリアが離職により分断されてしまいます。変化の早い現代では、復職時にそれまでのキャリアが通用しない可能性もあります。

・将来への不安増大

自分の生活がどうなるのか、将来が見えない事から不安が広がります。

・収入の喪失

仕事を辞める事で収入がなくなれば、その分生活は厳しくなります。親の年金や保険である程度カバーする事はできても、従来より苦しい生活を強いられる場合が多いです。

介護離職しないためにはどうすればいいの?

介護離職をせずに在宅介護を続けるためには何が必要なの?

介護離職しないで親などの介護を行うには介護保険制度の利用がポイントになります。 介護保険の利用では次のような点をしっかりと抑えておきましょう。

①介護保険制度を理解する

介護離職をしないためには介護保険制度のフル活用は欠かせません。内容をしっかり理解しておきます。

②介護の必要な人の介護認定を受ける

介護の必要な人本人の介護認定を受けます。要支援1・2、要介護1~5の7段階があります。自宅での家族の介護が課題となるのは要介護段階に入ってからです。

③ケアマネジャーに相談する

介護保険サービスを導入する場合は、要介護認定の申請を行い、その後担当のケアマネジャーがつきます。ケアマネジャーと相談しどのような介護サービスが受けられるかを判断します。

④在宅介護サービスにするか施設介護サービスにするかの判断

介護保険が適用できれば在宅介護サービスが利用できます。在宅介護サービスの範囲でどのようなサービスを受けるかを決めます。要介護者の自立度が低く介護状態が重い場合は施設介護を検討します。

ただし、特別養護老人ホーム入所は要介護度3以上であるのが条件となり、かつ希望者が多いため年単位の待機期間が生まれる可能性が地域によりあります。

また、介護度が低い場合でも有料老人ホームに入所する方法もあります。ただしこの場合は一時入居金が発生する場合もあり、月々まとまった介護施設の利用料がかかり本人の年金額でやれるかどうかの判断も必要となってきます。

在宅介護のメリット

介護離職をせずに在宅介護を続けるためには何が必要なの?

多くの場合、介護離職をしないで要介護者の介護を行うには、介護保険による在宅介護サービスを受ける方法が一般的です。 在宅介護サービスには、訪問介護や通所介護といった種類があります。どれも、在宅で家族の介護をする人にとって、とても頼りになる存在です。

自宅で介護をすることには、大きく以下のメリットがあります。

①高齢者が住み慣れた自宅で介護が受けられる

高齢者にとっては住環境の変化は大きなストレスとなります。一方で自宅なら本人が安心して介護を受けられだけでなく、家族にとっても目が届きやすいですし一人暮らしでも介護サービスを受けられます。

②訪問介護サービスやデイサービスなど、要介護の状態に合わせて自由に介護サービスを選べる

介護を専門団体に任せることができ、多様のサービスがあるので利用者の希望や実情に合わせた利用が可能です。

③費用が安く済む

老人ホームなどの介護施設に預けようとすると、どうしても入居する月額料金の金銭的負担が大きくなってしまいます。在宅介護では介護保険の利用者負担は限定されているため施設介護をする場合に比べれば費用を安く抑えることができます。

在宅介護のデメリット

介護離職をせずに在宅介護を続けるためには何が必要なの?

在宅介護をすることには、メリットだけでなく以下のようなデメリットもあります。

①家族にかかる負担が大きい

訪問介護などで介護を専門家にある程度任せる事ができても、介護者である家族にはさまざまな面で負担がかかります。介護サービスが利用できるのは一部の時間だけでその他の時間ではやはり家族が介護しなければなりません。そのため、精神的にも時間的にも負担がかかります。

②家族ではできることに限界がある

本人が認知症になると、記憶がはっきりしなくなったり、怒りやすくなったり突然暴れだすようになったり、徘徊したり、被害妄想で騒ぐなど、家族だけでは対応しきれない状況になってしまう場合があります。

③訪問介護でも人間関係などの問題が出てくる

在宅の訪問介護でヘルパーさん来てもらう場合でも利用者本人、および、同居家族などとの人間関係が生じます。うまく行ければ良いのですがうまくいかずにトラブルになる場合もあります。

④介護度が低いと利用できる介護サービスが限られること

認知症になっても自分で歩ける自立度があると要介護1程度にしか評価されません。自分で歩けるかどうかが大きな分かれ道です。

要介護1程度だとデイサービスなどの利用や訪問介護でも回数が制限されます。そのため、どうしても同居する家族がいないとサポートしきれない面が出てきます。

在宅介護のよくある悩み

介護離職をせずに在宅介護を続けるためには何が必要なの?

在宅介護には予想以上の負担がかかります。在宅介護を検討している人及び在宅介護をしている人はどのような悩みを持っているのでしょうか。

在宅介護を検討している人の悩み

・仕事を辞めずに在宅介護が可能かどうかの悩み

自分が仕事を辞めない場合他の家族の介護が可能かどうかの悩みがあります。また、家族ではなく訪問介護会社に依頼する場合には、どこまで介護が可能かの問題があり、介護の時間が短い、限定している場合は要介護者1人の時間が安心かどうかの悩みがあります。

・介護離職せざるをえない悩み

介護離職したら収入を失い生活が出来るかどうかの判断を迫られます。

在宅介護をしている人の悩み

訪問介護会社に依頼する場合には訪問介護の時間が短い、サービスが限定している場合などで介護が十分でない不安と悩みがあります。 また、訪問介護以外の時間は自分で介護しなければならず、介護全般に通じる下記のよう問題があります。

① 精神的な介護疲れ 在宅介護では、起床、食事、排泄の介助、夜中にもおむつの取り替えや体勢を変えてあげるなど、日中から夜間までやることがあり、訪問介護サービスのない時間は自分でやらなければなりません。 自分のやりたいことに割く時間が取りづらくなり、長期間になり終わりが見えないと精神的な疲れが増加します。 精神的なストレスから、要介護者に対してイライラを感じ感情をぶつけたり、暴力をふるってしまったりする場合もあります。認知症の介護となると、精神的負担はさらに大きくなり、こちらの伝えたいことが伝わらないと感じるストレスも大きくなります。

②身体的な介護疲れ

介護は身体的にもかなりの負担がかかります。要介護者の状況によっても違いますが、食事、着替え、トイレ、お風呂と日常生活のすべての行動について介助が必要な場合には身体的にも疲労します。夜間のおむつ換えなどがある場合は睡眠不足にもなります。お風呂などは要介護者の体を持ち上げたりし、腰や膝に大きな負担となります。女性が男性を介助する場合は要介護者の体格が自分よりも大きく身体の負担はさらに大きくなります。

②安否確認や緊急時の対応

訪問介護会社のサービスは時間的にも限定しています。訪問介護会社が来ていない時間などの安否確認が必要な場合があります。本人が電話に出なかったらどうするか、何か異常があった場合どのように対応したらよいかの悩みがあります。任せられる他の家族がいない人にとっては深刻です。

在宅介護の悩みへの対策

①介護の悩みや辛さを一人で抱え込まない

在宅介護をする際に心がけたいことは、介護の悩みや辛さを一人で抱え込まず、積極的に周囲に相談することです。短い時間でも良いので、友人に会って話しを聞いてもらうだけでも気分転換になるはずです。地方自治体の行う介護関係の相談窓口や地域包括センターの利用や在宅介護をしている人たちのコミュニティに参加してみるのも良いでしょう。同じような経験をしている人と話すと共感しあえる部分が多いので、自分の気持ちをわかってくれる人がいる、辛い思いをしているのは自分だけではないと感じる事によって、心の負担を大きく軽減する事ができます。

②施設介護の検討

在宅介護が無理になってきた場合は施設介護を検討しましょう。

在宅介護で利用出来るサービスの種類

介護離職をせずに在宅介護を続けるためには何が必要なの?

介護保険制度による在宅介護では多様なサービスがあります。その選択はケアマネジャーと相談してケアマネジャーがケアプランを立て行われます。代表的なサービスには下記のようなものがあります。

訪問介護

訪問介護とは、ホームヘルパー(訪問介護員)が介護を受ける方の家を訪れ、食事や入浴、トイレの介助をはじめとした身体介護や、買い物や調理、洗濯、掃除といった生活支援などを行うサービスです。在宅介護で中心となるサービスです。利用者の介護段階や希望によりケアプランが立てられます。 訪問介護に関連した在宅介護サービスでは、次のようなものがあります。

①訪問入浴介護

浴槽と湯沸かし器を積んだ移動入浴車で利用者の方の自宅を訪れ、浴槽を使って介護スタッフが入浴の介護を行うサービスです。

②訪問看護

看護師が利用する方の自宅を訪れ、医師の指示に基づいた医療的な処置や診療の補助をはじめ、健康チェックなど療養中の方に対する必要なケアなどを行うサービスです。

③訪問リハビリテーション

理学療法士や作業療法士、言語聴覚士が利用する方の自宅を訪れ、医師の指示に従い体の機能の維持や回復、あるいは自立支援を目的として必要なリハビリテーションを行うサービスです。

④夜間対応型訪問介護

利用する方の自宅を介護スタッフが定期的に巡回、あるいは利用する方の要請に応じて訪問し、食事や入浴の介助などの生活支援を行うサービスです。

デイサービス

デイサービスとは通所介護と言われ、利用する方が施設に日帰りで通い、そこでサービスを受けるタイプのものです。 デイサービスセンターなどの施設では、施設の介護スタッフが入浴や食事の提供といった生活支援や生活機能訓練を行うサービスがあります。自宅まで送迎者が来てくれるサービスが一般的です。

ショートステイ

一時的に介護施設に寝泊まりし、施設に入居した方と同じようなサービスを受けるタイプのものがあります。短期入所生活介護と呼ばれます。 ショートステイを利用する事で施設で専門的な介護を受けられるだけでなく、食事や入浴といった入居している方と同様の生活支援や機能訓練などが受けられます。介護をする方の負担を一時的に軽減したり、介護ができない事情が発生したときに対応して貰う事が可能です。

福祉用具のレンタルや購入

上記の人的サービスの提供以外にも、介護を必要とする方の自立した日常生活を助けるために福祉用具の貸与や販売などのサービスがあります。

①福祉用具レンタル

車椅子や電動ベッドなど利用する方に必要な介護用品を貸与するサービスです。要介護の度合いに応じて介護保険が適用される品目が決まっているため事前に確認が必要です。

②福祉用具購入

腰掛便座や入浴補助用具など利用する方が必要とし肌に触れるものは購入対象となります。利用者が一旦全額を支払い、その後申請をして保険の支給をう受ける償還払いが一般的です。

まとめ

勤めている人が介護離職することは大きな生活面での決断が必要です。共働き家庭で、他に家族で働いている場合は、収入は減りますが1人の収入でやれるかどうかの判断になります。1人しか働いていない場合は、経済的に親などの年金収入でやれるかどうかの判断になります。

基本的には介護離職しないでやれる方法は、在宅介護で訪問介護サービスなどを利用することで大丈夫かどうかの判断になります。要支援から要介護度が低い段階では可能でしょう。しかし要介護度が3以上の場合は施設介護も併せて検討することがあります。ただし、認知症が発症している場合は、介護者の負担が大きいため、介護保険制度にある施設介護のグループホームを検討するべきです。

その他、要介護度に応じて訪問介護ではどのようなサービスをどの程度利用できるかの判断が重要で、ケアマネジャーによるプランをよく検討することが重要です。 在宅介護のサービスでは介護が不十分で、かつ自分の介護離職を避けたい場合は施設介護の検討をオススメします。