副葬品とは?

~選び方と注意点について~

はじめに

故人の棺に納める品物を副葬品といいます。故人の愛用品、遺族や参列者の想いを込めた品物を副葬品にしますが、一般的にはどのようなものが副葬品になるのでしょうか。今回は副葬品のルーツや選び方、棺に入れてはいけない副葬品など、様々な観点から副葬品について解説します。

副葬品とは

現代の副葬品には宗教的な価値観と結びついているものもありますが、4万年前に絶滅したとされるネアンデルタール人の時代から副葬品はあったようです。当時の埋葬跡からは化石花粉も発掘されたため、死者へのお供えや副葬品として花が使われていたようであり、現代に繋がる副葬品のルーツともいえます。 副葬品の内容は時代とともに変化し、故人の権力や財力によって副葬品の内容も異なりますが、いずれも死後の世界で困ることがないようにとの想いが込められたものでした。 日本でも土葬が主流であった頃は副葬品の種類も多く、一般的にはお餅や団子、漬物など故人の好きだった食べ物を埋葬していたようです。他にもお茶やお酒、千羽鶴や折り鶴といった副葬品もあり、地域によっては近親者の爪や毛髪、藁人形などもあるようです。 現代でも代表的な副葬品といえば花ですが、土葬から火葬へと変わっているため、他の副葬品についても棺に納まるコンパクトなものを選ぶことになります。

副葬品の選び方

棺に納める副葬品はどんなものにしたらよいか迷うところですが、まず故人の好きだったものから選んでみてください。故人の好物であった食品類や飲み物、仕事や趣味での愛用品、またはお気に入りだった衣類でもよいでしょう。故人が好きだった景色の写真や記念写真、愛読書などを納めるケースもあるようです。故人が一緒に埋葬してくれと希望したものであれば副葬品として納め、そのまま残しておくと遺族の気持ちが辛くなってしまうものも副葬品として納めること場合があります。

一般的な副葬品

実際に副葬品として納められるものには以下のような例があります。 ●花、花束 代表的な副葬品であり、故人が好きだった花、または故人が育てていた花を束にして棺へ納めます。納棺または出棺時に供える花は「別れ花」といい、副葬品とは異なるため注意が必要です。

●食品、飲み物 食品や飲み物ではお酒や肴が多く、パック入りのお酒類やおつまみ用の干物や菓子類が副葬品としてよく納められています。他にもパンやカステラ、チョコレートや煎餅なども棺に入れられることが多いようです。

●手紙 生前送られた手紙の中で、故人が特に大切にしていた手紙も副葬品にすることが多いようです。また旅立つ故人へ向けられた家族や知人からの手紙もあり、寄せ書きされた色紙を棺に入れる場合もあります。

●写真 故人が旅行好きであった場合はお気に入りの旅行先で撮影した写真、また登山の趣味があった場合は好きな山を背景にした写真や登頂の記念写真を副葬品にします。本人1人を写したポートレート写真で気に入っていたもの、カメラが趣味であれば自慢にしていた1枚を副葬品にするのもよいでしょう。

●衣類や服飾品 故人が気に入ってよく着ていた洋服や帽子、マフラーやハンカチなども副葬品として棺に入れることがあります。

●千羽鶴(折り鶴)や御朱印帳 病気で亡くなられた方の場合、回復願いとして飾られていた千羽鶴や折り鶴も副葬品として納めますが、友人や知人の間で新たにつくられる場合もあるようです。社寺参拝によって功徳の高くなる御朱印帳も副葬品としてよく納められ、千羽鶴や折り鶴とともに極楽浄土で幸せに過ごせるようにとの願いが込められています。

●趣味や嗜好品類 故人が愛煙家であった場合、好きな銘柄のタバコを副葬品にすることもあります。火葬に問題のない素材であればパイプやシガレットケースも副葬品となり、故人の愛読書を納めることもあります。棺に入れてはいけない副葬品

副葬品として好ましくないものやタブーとされているものもあります。以下のようなものは棺に入れてはいけない副葬品となるので注意してください。

●メガネやガラス製品 故人の必需品であったからという理由で、メガネを副葬品にしようとする方がおられます。ごもっともな気持ちであり尊重したいところですが、金属など燃えない素材が使ってあるため棺に入れることはできません。ウッド素材のメガネでもレンズはガラスやプラスチック製であり、ツルの付け根部分には金属ネジが使われています。どうしても副葬品にしたい場合は火葬が終わった後、骨壺に入れるようにしてください。

●宝石、貴金属 宝石や貴金属の中にも燃えないものが多いため、副葬品にすることは避けた方がよいでしょう。指輪やネックレスなどのアクセサリーは故人の思い出として形見分けしておくことをおすすめします。

●お金 かつては三途の川の渡し賃として六文銭を棺に入れる風習がありました。仏教の考えでは、死者が無事に三途の川を渡り、あの世へ無事辿り着くには六文の渡し賃が必要であるとされています。現代ではお金(紙幣、硬貨)を破ることや損傷させることは犯罪であるため、副葬品として納めることはできません。棺に納めて火葬することは禁じられていますが、後で骨壺に入れておけば問題はないでしょう。

●ビニールや革製品 ビニール類を燃やすと有毒なダイオキシン発生の恐れがあり、遺骨に付着して変色させてしまう場合もあります。また革製品も燃えにくく、中には燃やすと有毒ガスを発生させる染料が使われていることもあるので、わずかな量であっても副葬品にしない方がよいでしょう。

●釣り竿やゴルフクラブ 金属やカーボン素材を使用している釣り竿やゴルフクラブも副葬品にすることはできません。特にカーボンは火葬炉の損傷に繋がる恐れがあるので注意しましょう。他にもテニスやバドミントンのラケット、剣道の竹刀や杖にもカーボン素材は使われています。故人の趣味であるため副葬品にしたいところですが、棺に入れてしまうと火葬炉の緊急停止に繋がりかねません。

●ライターやスプレー缶 100円ライターには液化石油ガスが使われており、スプレー缶にも可燃性のガスが使われています。どちらも燃やすと爆発の危険性があるので、副葬品にすることはできません。また電池にも爆発の危険性があるので注意してください。

●遺族や参列者の写っている写真 写真自体は副葬品としてよく納められるものですが、遺族や参列者など、まだ生きている人が写っている写真は避けるようにしてください。迷信ではありますが、あの世への道連れになってしまうなど縁起を気にされる方もおられます。副葬品としては故人が1人で写っている写真がよいでしょう。

●生花用の吸水スポンジ 副葬品や別れ花として生花(切り花)を納める場合、うっかり吸水スポンジを付けたままにしていることがあります。吸水スポンジも燃やすと遺骨に悪影響を及ぼしてしまうので、取り外しを忘れないようにしてください。

棺に入れてはいけない副葬品は色々ありますが、基本的には「燃えないもの」「燃えにくいもの(火葬の妨げになるもの)」「爆発や有毒ガス発生の恐れがあるもの」「縁起の悪いもの」はNGとなります。また火葬炉の性能によっても副葬品としての可・不可があるので、よく分からない場合は火葬場に問い合わせてみてください。最近では火葬場を管理する自治体や管理団体のホームページで、副葬品にできるもの・できないものを掲載しているので、ネット上でも確認できます。

5-1 事前に手続きや申請が必要な副葬品

副葬品の中には火葬前の手続きや申請を必要とするものがあります。以下のような副葬品は火葬場の職員などへ申し出ておいてください。

●ペースメーカー ペースメーカーは完全機密状態であり、リチウム電池も使用されているため火葬すると爆発の恐れがあります。事前に取り外せればよいのですが、死後に摘出することは刑法の死体損壊罪とも関連しているため、そのままの状態にしておくことが殆どです。ペースメーカーを装着したままの場合は、必ず火葬場の職員へ申し出るようにしてください。

●食品類 食品は一般的な副葬品として紹介していますが、大量の水分を含むスイカなどは燃焼の妨げになってしまいます。また紙パックの飲み物を副葬品にする場合も、あまり大きなものは避けるべきであり、どうしても棺に入れたい場合は少量を紙コップに移しておくようにしてください。おにぎりを副葬品にする方もおられるようですが、完全燃焼することはなく真っ黒に炭化したまま残ってしまいます。

●書籍やアルバム 故人の愛読書を副葬品にすることもありますが、あまり分厚い本だと燃えにくく、燃焼後には大量の灰も出るため収骨の妨げになってしまいます。アルバムも同様なので、副葬品として納めたい場合はページの切り離しも必要になるでしょう。火葬炉の許容範囲もあるので、厚みのある書籍などを入れたい場合も事前に火葬場職員へ申し出ておきましょう。

まとめ

副葬品には様々な想いが込められており、できれば制約などを気にすることなく、好きなものを納めてあげたいところです。しかし火葬が主流となった現在では、故人への気持ちを優先しすぎるとトラブルになりかねません。「副葬品にできるだろうか?」と迷ったときは葬儀業者や火葬場、または自治体などへ問い合わせておきましょう。