老後の生活資金 自宅に住みながら資金調達!「リバースモーゲージとリースバック/比較篇」

~リバースモーゲージとリースバックはどう違う?どんな人に向いているの?~

自宅を有効活用しながら老後の生活資金を確保出来るため、「リバースモーゲージ」と「リースバック」が注目されています。
いずれもまとまったお金を準備することができ、老後不安の解消に役立つ仕組みですが、具体的にどう違うのか、またどんな人に向いているのでしょうか。
今回のコラムではリバースモーゲージとリースバックを比較し、どちらがどのような人におすすめなのかを解説します。

老後資金は潤沢?それとも不足する?

老後資金は毎月5万円、または6万円以上が不足するとの試算がありますが、実際に必要な資金は人によって様々です。また老後に発生するライフイベントにも左右されるため、一律に「○○円が必要」「○○円が不足」と言い切れない部分もあります。
ではどのくらいの資金が必要となるのでしょうか?

目標代替率から老後資金を考えてみる

老後資金は早い段階から準備しておくべきですが、実際には50代以降など、定年退職が目前に迫ってから考え始めるケースが多いようです。
老後資金を試算する場合、一般的には毎月の生活費や遊興費、税金の支払いや家屋修繕費などを合算して「これだけ必要」という額を算出しています。しかし内容は人によって変わるため現実感が沸きにくく、最近は「目標代替率」という考え方が広まりつつあります。
目標代替率とは、現役時代の生活を基準として、その何割程度で老後生活が成り立つのかを考える指標であり、もともとは欧米を中心とした考え方です。

年収の多い人は老後の支出も多くなる

目標代替率の詳しい解説は割愛しますが、退職直前の年収が老後の生活水準を決定づけるという考え方であり、日本では退職直前の70%程度が目標代替率となっているようです。
目標代替率の考え方では年収の多い人ほど老後の支出も多くなるとしており、実際に、現役時代は裕福でも老後に困窮してしまうケースも多々あります。
老後に必要な生活資金がどれだけになるのか、あらためて試算する必要があり、万が一不足する場合は資金の調達手段も考えておかなければなりません。

老後の収入源は限られてしまうため、「リバースモーゲージ」や「リースバック」の利用も視野に入れておくとよいでしょう。

リバースモーゲージの特徴

リバースモーゲージは自宅を担保に融資を受け、死亡時まで自宅に住み続けるといった仕組みです。
毎月の支払いは利息分のみであり、元本は契約者(借入人)の死亡時に自宅を売却して支払うようになっています。
リバースモーゲージには銀行などの金融機関が扱うもの、国が扱うものの2種類があり、国のリバースモーゲージは社会福祉協議会が窓口になっています。
銀行系のリバースモーゲージは資金用途が比較的自由ですが、金利は一般的な住宅ローンより高めに設定されています。国の場合は低所得者の支援を目的としており、用途も生活資金に限られますが、銀行系に比べ金利は低くなっています。

銀行系と国のリバースモーゲージを比較

老後の生活資金 自宅に住みながら資金調達!「リバースモーゲージとリースバック/比較篇」
リバースモーゲージはローン商品ですが、高年齢でも融資を受けることができ、借入人の死亡時には配偶者へ契約を移すことも可能です。民間と国によって利用条件などは異なりますが、現状やライフスタイルに合わせて選択するとよいでしょう。
元本の返済には自宅を売却しますが、継ぎ手がいない場合には便利な仕組みといえます。最近は増加する空き家も社会問題となっているため、自宅に執着や未練がない場合もリバースモーゲージは利用価値があります。

リバースモーゲージにはデメリットもあり、「不動産価値の下落」「金利の上昇」「長寿リスク」の3つは特に重要です。
不動産価値は一定期間ごとに見直されるため、評価額の下落に連動して融資限度額が引き下げられることもあり、融資ストップとなる可能性もあります。不動産価値が下落すると将来の売却額も下がってしまうため、差額(不足分)は相続人が負担することになります。
リバースモーゲージの殆どは変動金利型なので、金利が上昇しても返済可能かどうか、返済シミュレーションもしておくべきでしょう。また長寿リスクもあるため、存命中に借入額が融資限度額に達すると融資はストップし、契約期間が終了した場合には元利金を一括返済することになります。
様々なリスクが同時発生しても問題なく返済できるよう、綿密な返済プランを練っておくことが重要です。

リースバックの特徴

老後資金確保のために自宅を売却し、その家に家賃を払いながら住み続けるのがリースバックの仕組みです。
リースバックの場合、自宅の売却後は一括で支払いを受けます。資金の用途について特に制限がないため、生活資金はもちろん娯楽に使うことも可能です。売却後は不動産業者やリース業者、投資家等と賃貸借契約を結ぶので、家賃を払って他人の家に住み続けることになりますが、所有権が移転するため固定資産税や修繕費といった自宅の維持費が不要になります。
自宅を売却してもそのまま住むことが出来るので、売却したことを他人に知られることがありません。リバースモーゲージと異なり年齢制限もなく、保証人や相続人(推定相続人)の同意も不要です。

リースバックのデメリットですが、売却の際は市場価格の70%~80%が相場となっており、また家賃は相場よりも高めになっています。契約更新時などに家賃が見直され、値上がりしてしまう可能性もあるでしょう。リバースモーゲージと同じく長寿リスクもあり、長生きすることで家賃の総支払額が売却額を上回ってしまうこともあります。リースバックでは一定期間経過後に退去することが一般的なので、複数の業者に相談し、プランの内容をじっくり比較検討することが重要です。

リバースモーゲージとリースバックの比較

自宅に住み続けながら老後資金を確保するという点では、リバースモーゲージもリースバックも一緒です。
しかり「融資」と「売却」では内容が大きく異なるため、それぞれの違いを把握しておくべきです。
老後の生活資金 自宅に住みながら資金調達!「リバースモーゲージとリースバック/比較篇」
リバースモーゲージでは推定相続人の同意を必要としていますが、リースバックでは不要です。
しかし子供などの相続人は、「自宅はいずれ引き継ぐもの」という認識なので、リースバックであっても家族間で十分に話し合っておく必要があります。
相続人がいない場合は自宅を残す必要もなく、また死亡後の処分についても考える必要がないため、現在問題となっている特定空き家になることもないでしょう。

またリバースモーゲージ、リースバックともに契約時の内容が継続する訳ではありません。
リバースモーゲージでは、金利上昇や不動産価格の下落等により融資限度額が引き下げられることもあり、定期賃貸借契約の多いリースバックでは死亡時まで住み続けられるかどうか分かりません。
契約時の年齢や融資額(または売却額)から、将来的な返済(または家賃支払い)のプランを練っておく必要があります。

リバースモーゲージが向いている方

リバースモーゲージは以下のような方に向いているといえます。
①死亡時までは自宅に住み続けたい
②リフォームなどの予定がある
③配偶者の住居を確保したい
④自宅の承継者がいない
⑤住宅ローンの返済が負担になっている
リバースモーゲージは死亡時または契約終了時まで自分名義の自宅なので、バリアフリー化といったリフォームも可能であり、契約者の死亡後は配偶者に契約を引き継げるため、配偶者の住居も確保されることになります。既に子供も自宅を購入しており、土地・建物の承継者がいない場合もリバースモーゲージはおすすめです。
また一般的な住宅ローンと異なり利息部分のみの返済となるため、リバースモーゲージへ借り換えることで月々の返済が軽減される場合もあります。

リースバックが向いている方

リースバックは以下のような方に向いているといえます。
①なるべく早くまとまった資金が必要
②老後の生活資金以外にもお金を使いたい
③マンションに住んでいる
④相続財産を現金で残したい
⑤事業用の資金を調達したい
リースバックは一般的な売却よりも早く現金化出来るため、まとまった資金を早めに用意したい方に向いているといえます。資金の用途制限がないため、お金を自由に使いたい方にもリースバックはおすすめです。リバースモーゲージでは取扱いの少ないマンションでも利用でき、相続時には既に売却済みとなっているため、不動産を巡っての相続争いも起きることはありません。
分割の難しい不動産より現金で財産を残してあげたい場合にもリースバックは有効といえます。
リースバックは法人でも利用でき、工場などの売却によって事業資金を確保することも可能です。リース料を払い続けることにはなりますが、将来の業績次第では買い戻しも出来る仕組みになっています(個人も同様)。

リバースモーゲージとリースバック~比較の際に気を付けること

いずれも老後の生活資金を確保する上で便利な仕組みですが、リバースモーゲージは融資であり、取扱いも銀行や信用金庫、国(窓口は社会福祉協議会)なので信頼性は高いといえます。
一方、リースバックの取り扱いは不動産業者が殆どですが、全国規模の業者から地場の業者まで様々です。信頼度でいえば大手ということになりますが、細かな融通では地場の業者が有利な場合もあります。また売却後の自宅は投資家などが貸主になることもあるため、貸主の意向次第で想定外の要求を出されることもあるでしょう。

どちらを利用するか検討する場合、リバースモーゲージは銀行等の扱う「金融商品」、リースバックは「不動産取引」という点を念頭に置いておくべきでしょう。

まとめ

リバースモーゲージ、リースバックともに自宅を手放すことに変わりはありません。
また融資額の返済や賃貸借契約により、債権者や貸主との長い付き合いも始まります。慌てて契約することのないよう、複数の業者などを当たってみることをおすすめします。
また自宅への愛着はご夫婦同様に、子供にも強い思い入れがあるものです。他に資金調達の手段があるかなど、ご家族でじっくり相談するようにしてください。