父の希望は1日葬 でも私たちはそんなに早く別れたくない どうすればいいの?

~年々小規模になりつつある葬儀 その中で納得のいく葬儀を執り行うには~

近年、葬儀において規模縮小、簡略化を希望する方が増えています。
その一つの形式である「1日葬」をご存知でしょうか。
今回は1日葬についてご紹介します。
ご自身やご家族の終活を考える上で、参考にしていただければ幸いです。

父の希望は1日葬…1日葬って?

ある日、80歳を迎える父から子供たちに向けて、老後のことを相談された。
葬儀については「1日葬が希望だ」という。

「お別れまで1日で終わってしまう葬式ってこと?寂しいから嫌だな…」
「お父さんは仕事関係者や友人も多いのに、1日葬で対応できるの?」

「…そもそも1日葬って?」
子供達の間では、戸惑いと疑問が広がった。

そこで1日葬について、改めて皆で調べてみることにした。

1日葬とは?

1日葬とは、通夜を省いて、告別式と葬儀のみ行い、1日で終了する葬儀です。
ワンデイセレモニーとも呼ばれます。近年増えつつある、小規模な葬儀形式の一種です。

昔から行われている、一般葬の流れは以下です。
◆(葬儀前日の夜)通夜・通夜振る舞い→(葬儀当日)告別式・葬儀→出棺・火葬・精進落とし

通夜とは、故人の家族や親しい友人などが語り合いながら、夜通し明かりをつけてご遺体を見守り、別れを惜しむ儀式です。
夕刻から弔問者が訪れ、故人を偲び、遺族は弔問者に軽食などの通夜振る舞いを提供します。

1日葬ではこの儀式が省かれ、その他は一般葬と変わりません。
しかし会葬者は、一般葬に比べ少人数の傾向です。

1日葬の流れ

1日葬の流れは以下の通りです。

①ご遺体の安置
②葬儀準備(書類収集や親族へのお知らせ)
③納棺・葬儀・告別式
④出棺・火葬

順に注意点などご説明します。

①ご遺体の安置
ご遺体を安置する場所を探します。
故人のご遺体は法律上、24時間は火葬が出来ません。

しかし病院や施設には長時間ご遺体を安置することは出来ない事が多いので、自宅、または葬儀場の安置施設にご遺体を搬送します。
その際、医師に死亡診断書を作成してもらいます。

死亡診断書が無いと、ご遺体の搬送が出来ません。

②葬儀準備
葬儀を行うにあたり、死亡診断書と一体になっている死亡届を、管轄の役所に提出します。
その際に役所より、火葬・埋葬許可証が発行されます。

死亡届は、死後7日以内に役所に提出する決まりです。
しかし提出と引き換えに発行される火葬・埋葬許可証がないと、ご遺体の火葬ができないので早めの提出が良いでしょう。

これらの手続きを代行してくれる葬儀社もあります。
次に、親族や関係者へのお知らせ、葬儀に会葬してもらう範囲を決めます。

葬儀社との打ち合わせの中で相談するのも良いでしょう。
葬儀社とは、葬儀場や葬儀の規模、故人の宗教や宗派、価格などしっかり話し合ってください。

亡くなった直後、遺族は慌ただしく気持ちが焦りがちですが、ここで曖昧な契約をしてしまうのはトラブルの元になります。
故人のためにも希望をしっかり伝え、分からないことは遠慮なく聞きます。

③納棺・葬儀・告別式
ご遺体の身なりを整え納棺し、葬儀・告別式と続きます。
1日葬の場合、火葬まで1日で終了するよう時間が組まれるので、葬儀開始時間は10時など午前中早めが多数です。

通夜を行わず日中のみで行うので、仕事や学校などでどうしても会葬できない関係者もいます。
これが全体の会葬者が少なくなる所以です。

最近、1日葬では香典を辞退する家も多いですが、知らずに持ってきてくださった方のために、会葬礼状や礼品を準備しておくと無難です。

④出棺・火葬・精進落とし
一般葬と同様、喪主の挨拶の後、出棺します。
ここで親族以外の一般会葬者は解散しますが、1日葬の場合、会葬者が少ないので全員で火葬場に向かうこともあります。

火葬前には宗派に沿った儀式を行い、火葬します。
火葬が完了するまでの2時間程度は、会葬者は控室にて待ちます。

その後、ご遺骨を骨上げし、骨壺に納めます。
通常ならばこの後、精進落としという食事会が行われますが、1日葬の場合、省略されることが多いです。

また、火葬後すぐに初七日法要を行う場合もあります。
初七日法要は逝去して7日後に行うものでしたが、時代と共に再び親族等で集まるのは困難な場合が多くなり、簡略化されるようになりました。

1日葬のメリット・デメリット

1日葬のメリット・デメリットをご紹介します。

◆メリット
①体力的・経済的な負担軽減
②時間の余裕ができる

①体力的・経済的な負担軽減
1日葬のメリットとして、遺族、参列者共に負担が軽減することが挙げられます。
遺族は、通夜に関する準備に時間が取られず、また通夜の費用が削減できることで、体力的にも経済的にも余裕を持って行動できます。

また会葬者も同様です。
昔は親族同志近くに住み、家系の暮らしやお墓を守るという生活様式が主流でした。

しかし、時代とともにスタイルが変化し、親族が全国に離れて住んでいることが多いです。
一般葬のように2日がかりとなると、仕事の都合をつけ、宿泊の手配や移動など体力的にも負担です。

また、宿泊費や交通費、香典や供花など出費もかさみます。
1日で葬儀関連が終了すると、会葬者の負担も軽減されます。

②時間の余裕ができる
1日葬では、通夜を省くことで時間の余裕ができます。
そのため、比較的故人とのお別れがゆっくりできるという利点があります。

一般葬では、準備や手続き、通夜の弔問者への対応等、次々と仕事が続きます。
「悲しむ間もなく火葬の時間が来た」という方も少なくありません。

その点、1つの儀式を省略することで、そのぶん故人との時間が過ごせます。

◆デメリット
①会葬できない方が多め
②宗派によっては許可が出ない
③会場の費用は抑えられない可能性がある

①会葬できない方が多め
1日葬では、1日で葬儀関係が1日で終了するので、一般葬に比べ最後のお別れが出来ない方が多くなりがちです。
仕事や学業など、日中はどうしても都合がつかない方でも、一般葬では通夜を夕刻から行うので通夜のみ参列し、お別れができます。

1日葬ではそれが叶いません。
最近では利用者の要望に応え、プランによっては夕刻から葬儀など始める1日葬が出てきました。

②宗派によっては許可が出ない
葬儀を執り行う菩提寺などの宗派によっては、1日葬の許可が出ない場合があります。
仏教の教えを踏まえ、故人の供養として、通夜を含めて完全に成立すると考える宗派があるからです。

また、親族の間でも、宗派に沿った一般葬とは違う形式にすることを嫌悪する方がおられ、理解されない場合もあります。

③会場の費用は抑えられない可能性がある
1日葬にしても、葬儀会場の費用は2日間かかることがあります。
ご遺体の安置に葬儀会場を利用した場合です。

昔はご遺体を自宅に安置するのが主流でしたが、生活スタイルの変化により、自宅での安置が難しい家が増えています。
病院や施設での長期の安置は出来ないので、葬儀会場の安置施設を使用することになります。

その際は、使用料が発生する為、一般葬と同じ価格の会場費がかかります。

1日葬とその他の小規模葬儀との違いは?

1日葬の他に、近年主流の小規模な葬儀がいくつかあります。

①家族葬
②直葬(火葬式・荼毘式)

1日葬との違いも踏まえ、ご紹介します。

①家族葬
家族葬とは、基本的には故人の家族親族のみで行う葬儀形式です。
故人とごく親しかった関係者が数人加わる場合もあります。

会葬者は全国的におおむね10人~30人程度です。
1日葬と違うのは、通夜も行う点です。

しかし、家族親族のみの形式なので、弔問者への対応などは少なく、故人とのお別れが比較的余裕を持ってできます。
しかし親しい関係者などはお別れができずに残念に思う場合があります。

②直葬(火葬式・荼毘式)
直葬とは、通夜や告別式をすべて省き、故人のご遺体を直接火葬場へ運び、火葬する葬儀形式です。
火葬場に行くのも、ごく少数の遺族のみです。

火葬前に、僧侶が読経を行う場合もありますが、供養に関する儀式を全て省きます。
メリットは、関係者の体力的・経済的負担を最低限にできることです。

しかし、家族親族でさえお別れの時間があまりとれず、また、供養形式として抵抗のある方も多くいます。

1日葬をはじめとする小規模供養の費用

小規模な供養形式の費用相場は、

◆1日葬…50万円~90万円
◆家族葬…60万円~100万円
◆直葬…20万円~50万円

が、全国的な相場とされています。
これらは会葬者の人数や、食事の有無、また菩提寺へのお布施や戒名のランクなどでも変わってきます。

しかし、一般葬の相場である150万円~300万円と比べても、費用は抑えられることが分かります。

1日葬で気を付けること

1日葬で気を付けることは、周囲の了解を取っておく、ということです。
1日葬をはじめとする小規模な供養形式は、まだ新しい形であり、世間に浸透はしていません。

そのため、特に高齢の方などは抵抗を覚える場合もあります。
また、長年懇意にしている菩提寺があれば、事前に相談しておくことが大切です。

冒頭の家族の父親のように、生前に希望を話しておくのがベストでしょう。

なるべくお別れの時間を取りたい…

冒頭の家族の子供たちのように、1日葬ではお別れの時間が短くなり寂しいと思われる方もいます。
1日葬は、小規模な為、一般葬より余裕を持ってお別れが出来るのは既出の通りですが、もっとゆっくりお別れがしたい場合、家族葬と1日葬を組み合わせるなど、プランを葬儀社に相談するのも良いでしょう。

新しい葬儀形式のため、プランも多岐に渡り、比較的柔軟な対応が可能な場合があります。

1日葬について良く理解し、納得のいく供養をしましょう

1日葬は比較的新しい供養形式の1つです。
遺族にも会葬者にも多数のメリットがありますが、周囲の理解を得ておくことが大切です。

日頃から希望の終活について話し合い、家族みんなが納得のいく葬儀が出来るとよいですね。