お墓の移動(改葬)をしようとしたら、菩提寺とトラブルに!

~改葬の意味と改葬時のトラブルについて詳しく検証します~

お墓が遠方にある場合、居住地の近くへお骨を移す方が増えています。まずは何からすればいいのか、トラブルを防ぐ手続きのコツ、お世話になった菩提寺への対応、合同供養や永代供養のメリット、親族の同意が取れない時はどうする?など、様々な疑問がわいてきます。
今回は、お墓の移動(改葬)で、起こりがちなトラブルとともに、それを回避するための注意点を、ご紹介していきます。

改葬の基礎知識

◆改葬と墓じまいの違い
*墓じまいとは
埋葬されているお骨を取り出し、墓石を取り除いて墓地を平らに戻して、お墓の管理者にお返しすることです。

*改葬とは
墓じまいをしてから、新たな場所にお骨を移動させて、改めて納骨埋葬することです。

*要する期間
最初に計画してから、墓じまいの手続きが全て終わるまでは、早くて1年かかります。平均して1年から3年が多いようです。

◆改葬の方法
改葬の方法は、大まかに見ると二通りあります。
(1)自宅の近くにお墓を用意して、移動させる。
(2)共同で埋葬をする納骨堂や、合同供養をする寺院に移動させる。

◆改葬のメリット
日本では、先祖と同じお墓に入ることが一般的でしたが、昨今の少子化で、その通念を維持することはむずかしくなってきました。
一人の継承者を選び、個々の家系ごとに代々繰り返されてきた、従来の供養。それと比べると、共同納骨や合同供養を選択することは、ドライに感じてしまう方もいらっしゃるでしょう。
しかし、遠隔地にあるお墓を管理するための費用と労力の負担を、次世代に残さない選択肢として、現在のライフスタイルにあったとても良い方法が、改葬なのです。
同時に、管理が行き届かないことで、いつか無縁仏になってしまう不安も、無くなるのです。

◆改葬のデメリット
・先祖代々のお墓が無くなることに対しての、心情的な面。
・再度、改葬を希望しても、遺骨の取り出しが出来ないこと。
・一時的に改葬手続きには費用が掛かる。
・親族との話し合いがうまくいかない場合、揉める可能性がある。

少子化や過疎地の増加で、合同供養のお寺が増えています。そこには、仏花が新しいものを残すように差し替えられ、線香は大鉢などで煙を上げています。
様々な方が手を合わせに訪れ、供養されている日々は、決しておさみしい状態ではありません。
実際に足を踏み入れてみると、ネガティブなイメージが一新された、という声も聞かれます。改葬に迷うときは、見学をしてみるといいでしょう。

改葬が必要な事例

◆継承者が遠くに住んでいる
継承者が、お墓のある故郷から遠隔地に住んでいる場合、日常的にお墓の管理をすることができません。お墓の近隣に、近親者がいたとしても、お墓の管理をお願いすることはなかなか難しいものです。
継承者は、年末年始やお盆、または有給休暇をとり、移動をすることになります。金銭面はもちろん、年齢を重ねるとともに体力面でも大きな負担になるでしょう。
定期的な法事を行うことが難しく、菩提寺とのお付き合いもままならなくなります。

◆子供がいない場合
自分たちの死後、お墓の管理を託す子供がいない場合には、菩提寺に永代供養をお願いする方法もあります。しかし、思い切って墓じまいをし、費用の面で手軽な合同墓地に改葬する方も増えています。

◆墓地の確保が困難な場合
故郷から遠く離れた都心部に住んでいる方が、継承者になることがあります。この場合、都心部に新たな墓地を購入し、今まで通りに家族だけのお墓を希望しても、墓地の空きがなかなかありません。うまく見つかった場合でも、かなり高額な費用が掛かります。

これらの例では、管理が出来ない状態が続くことで、いずれは無縁仏になる可能性もあります。
少子化と、人口の少ない地域が過疎化する昨今、増え続ける無縁仏は、社会問題になっています。
無縁仏になることを回避し、子孫への負担を軽減する改葬。それは、何より、先祖の供養を維持することにつながるのです。

改葬手続きのながれ

まずは、基本的な改葬手続きの流れを、ご紹介します。

① 新たに受け入れてもらう改葬先を決め、先方から【受け入れ証明書】を発行してもらいます
② 現在の菩提寺(お墓の管理者)に、改葬することを知らせて、【埋葬証明書】を発行してもらいます。
③ 現在のお墓がある市区町村に、【受け入れ証明書】【埋葬証明書】を持参し、記入した【改葬許可申請書】と三点セットで提出し、【改葬許可証】を受け取ります。
④ 【改葬許可証】を菩提寺に提示して、作業を具体的に進められる状態になったことを伝えます。
⑤ お墓の墓石を取り除いて更地にするために、石材店を選びます。
⑥ 菩提寺の住職に、墓石の魂抜きのお経をあげてもらいます(閉眼供養)。その場に、石材店も立ち会い、供養後に墓石の撤去をし、お骨を取り出します。
⑦ 現在のお墓を、更地にして、菩提寺にお返しします。
⑧ 改葬先へお骨を持参し、【改葬許可証】を提出します。
⑨ 改葬先の方法に従って、魂入れを行います(開眼供養)。その後、納骨をします。

基本的な流れの中には、トラブルを起こしやすいポイントがいくつかあります。
改葬には、心理的な面が多くあります。そのため、絶対に必要ではないが、行ったほうが良いこと、があるのです。
次の項では、実際のトラブル事例と、トラブルにならないための注意点をご紹介しましょう。

実際のトラブル事例と注意点

継承者の意見だけで進めず、関係者と丁寧に事前調整をしましょう。

◆親族とのトラブル
*トラブル事例①
両親の死後、遠隔地に住む長男(一人っ子)が、自分の居住地に改葬を計画し、手続きがほぼ終わりました。
ところが、父の妹である叔母に改葬を伝えに行ったところ、猛反対されました。

*トラブル事例①の解決策
お墓は、継承者だけではなく、他の親族にとっても、自分の大切な人たちが眠る場所なのです。継承者が、自分の夫婦や親子だけで話し合い、改葬を計画した場合には、注意が必要です。手続きの途中や事後報告のタイミングで親族に知らせた場合、思わぬトラブルに発展することがあります。
親族でも、それぞれ宗教観の違いがあるでしょう。改葬をする前に、家族以外の親族にも、丁寧に意思を伝えます。反対の場合には、今後の管理をどうしていくか、などの話し合いをしましょう。改葬をするくらいなら管理を引き受ける、という親族がいるかもしれません。10年後、20年後も見据えて、お互いに話し合い、理解しあうことが重要でしょう。改葬に着手するのは、その後です。

◆菩提寺とのトラブル
*トラブル事例②
改葬の手順をインターネットで調べ、改葬先の寺社を決めました。そこで受け入れ証明書をもらい、菩提寺に持参したところ、住職に高額の離檀料を請求されました。法的には、払う必要がないと聞いています。今後の手続き費用を考えると、離壇料を拒否したい気持ちもあります。今のところ、まだ埋葬証明書はもらえていません。

*トラブル事例②の解決策
改葬先を決める前に、菩提寺へ改葬の意向を伝えて了解をいただいておくと、結果は違ってきたかもしれません。突然、改葬先の受け入れ証明書を持参された気持ちは、決して心地よくはないはずです。長く檀家としてお付き合いがあったなら、なおさらです。
まずは、事前の相談を欠いたことをお詫びし、ていねいに事情を説明しましょう。提示された金額が高額であれば、お支払できる可能な額を、住職と相談します。それと同時に、今後は檀家ではなくなることを申し訳なく思う素直な気持ちと、今までお世話になってきた菩提寺への感謝もお伝えしましょう。
ご理解をいただくことで、新たな合意点が見つかるかもしれません。
確かに、離壇料を支払う義務は、法的にはありません。しかし、離壇をする際に、今までへの謝礼としてお布施をお渡しする慣習は、一般的に残っています。
昨今の檀家離れにより、寺社の経営は年々厳しくなっている背景もあります。

気持ちよく改葬を進めるためにも、お布施として、離壇料を納めることをおすすめします。目安は、法要のお布施額と言われます。可能であれば、お付き合いの長さも考慮するといいでしょう。

どうしても離壇料の用意が難しい場合、または支払いたくない場合は、改葬に詳しい弁護士などの専門家に、間に立ってもらうことも考えられます。しかし、これは最終手段とし、出来れば話し合いで解決したいものです。

◆石材店とのトラブル
*トラブル事例③
菩提寺に紹介してもらった石材店の見積もりが、想定よりかなり高額でした。そのため、他の石材店数社で見積もりを取ったところ、金額にかなりばらつきがありました。何を基準に決めるべきかわかりません。

その後、菩提寺に見積もりを持参して相談すると、石材店は指定業者に限っているといわれました。高額な見積もりの中には、バックマージンのような寺社への謝礼が含まれていると聞いたことがあります。自分で選んだ石材店で安く済ませるためには、どうすればいいでしょうか。

*トラブル事例③の解決策
墓じまいの費用は、墓石撤去の工事費用で左右されるともいわれます。自由に石材店を決めることが出来るかどうかは、お寺により違います。古いお寺だと、長いお付き合いの石材店を指定している場合もあります。
どうしても他社の見積もりをとりたい場合は、事前に菩提寺から了承をもらうことで、無用なトラブルを避けましょう。

※工事費用について
お墓の撤去費用には、それぞれ墓石の設置状況で、大きく幅があります。墓石の土台が地中に埋まっている深さ、素材などで、工事の難易度は様々です。また、墓石の経年劣化により、適した工事方法も変わります。墓石撤去を専門としている石材店であれば、最善の方法を取ってくれます。

また、見積もりの安さだけで、経験の少ない石材店に決めると、粗雑な扱いにより周囲の墓石を傷つけ、大きなトラブルになることがあります。また、撤去した墓石を不法投棄することで、安価な見積もりにつながっているケースも、実際にあります。
指定業者から、寺社への謝礼が含まれているかどうか、真偽のほどはわかりません。しかし、お世話になった寺社が指定する石材店です。直接、お話をしてみて信頼できそうであれば、お任せすることも賢い選択の一つでしょう。
そこで不信感を感じた場合には、弁護士などの専門家に任せる方法もあります(前述同様、最終手段です)。

まとめ

改葬をするか、それとも今のまま維持をしていくか。お墓の前で、手を合わせてきた年月が長いほどに、改葬は厳しい選択です。しかし、お墓は、亡くなった方を埋葬する場と同時に、生きている方々の心のよりどころでもあります。
変わりゆく社会の中で、残された方々のための選択をしていくことも重要です。
事前に改葬の基本的な流れやトラブル事例を知ることで、もしもの時の供えにしてください。