新しくお墓を建てる時、自由に建てていいの?「墓石篇」

~墓石の種類はどんなものでも大丈夫? そんな疑問を解決します~

新たにお墓を建てるとき、また建替えをするとき、墓石はどのように選ぶべきでしょうか?
石材店にお任せするのもよいでしょうが、一生に一度の買い物になることが殆どであり、また子孫へと残すものであるため、ある程度の知識は持っておきたいものです。
今回はお墓を建てる際の「墓石」について、石材の種類やその特徴、価格などを解説していきます。

お墓を建てる際にまず考えておくこと

●お墓を建てる場所
お墓を建てる際、まず考えておかなければならないのは「場所」です。
お墓を建てる場所は「墓地、埋葬等に関する法律(以下、墓地埋葬法)」によって決められており、墓地や霊園、お寺などに限定されています。
家の建築と同じように考えると分かりやすいのですが、敷地面積すら分からないままデザインや建材を決めることは通常ありません。お墓も同じく、霊園などの場所が決まることで区画面積も分かるため、場所について考えておくことは重要です。

墓地や霊園はよく新聞広告や折り込みチラシで見かけますが、区画面積の表示には注意してください。
区画面積が㎡(平方メートル)や平米で表示してあると分かりやすいのですが、坪数で表示されている場合もあります。墓地の坪数は一般的に使われる坪数と異なる場合があるので要注意です。
一般的に使われる坪数では、一坪は約2畳分となる3.3㎡ですが、お墓の場合は1.8㎡を「一坪」と表すことがあります。
また一つの区画を「一霊地」や「一聖地」と表示していることもあるので、正確な面積や縦横の長さを知りたい場合は直接問い合わせた方がよいでしょう。

●墓地・霊園の環境や気候
墓石は日光や風雨にさらすため、耐久性や吸水性が重要となります。
経年劣化の少ない硬い石、水を吸わない石が理想となり、墓地のある地域の気候も考慮しておくべきでしょう。同じ日本国内でも都道府県別の年間降水量にはかなりの差があり、もっとも少ない長野県と最高値の高知県では4倍以上も降水量が違います(2014年調べ)。
また降水量は同じでも、湿気が滞留しがちな山間部と乾燥の早い都市部では石材に与える影響も違いますし、沿岸部では潮風の影響も考えておく必要があります。

●大まかな相場の把握
お墓を建てる場合、墓地・霊園等に支払う永代使用料や管理費がありますが、今回のコラムでは墓石代に絞って解説します。
実際の墓石代(工事費含む)は50万~200万円が大まかな相場であり、価格差は石の材質や産地、使用量や工事内容によるものです。
石材の価格については、外国産に比べ国産石材が高価となっていますが、希少度(採石量)による違いが殆どであり、外国産だからといって見栄えや耐久性が劣る訳ではありません。

墓石は石材店で購入することになりますが、一般的には文字彫刻や工事費用を含む「墓石工事費」として新聞やネットに料金掲載されています。より詳しいものであれば墓石の付帯品(香炉皿や納骨室など)を含む・含まないといった情報も掲載されています。墓石の写真と料金のみの掲載では何が含まれているか分からないので注意してください。

墓石に適した石材にはどんなものがある?

石材にも色々ありますが、墓石に適したものは300種類を超えるといわれ、国産石材をはじめ中国産やインド産、北欧やアフリカ産など世界各国で産出されています。
国内の墓石によく使われる石材について、それぞれの特徴などを解説します。

●花崗岩(かこうがん)
墓石としてよく使われる石材であり、硬度の高さや吸水性の低さが人気となっています。
花崗岩としてもっとも有名なのは「御影石(みかげいし)」ですが、もともとは神戸市東灘区の御影地区からとった名前であり、石の成分・性質を表すものではないため、閃緑岩(せんりょくがん)など似たような特徴をもつ石を御影石と呼ぶこともあります。
現在、御影地区での採石は行われていませんが、他の御影石と区別するため「本御影石(ほんみかげいし)」と呼ばれています。

墓石となる花崗岩には、香川県高松市で採石される「庵治石(あじいし)」や、愛媛県など瀬戸内海沿岸で採石される「大島石(おおしまいし)」、茨城県産の「稲田石(いなだいし)」「真壁石(まかべいし)」などが有名です。特に「庵治石」は最高級の石材とされ、一般墓でも300万円以上が相場となっています。

●閃緑岩(せんりょくがん)
色が黒っぽく光沢も良いことから「黒御影」と呼ばれる石材です。
岡山県産の「矢掛青石(やかけあおいし)」が有名であり、高級石材の一つとなっていますが、採石量が少ないため中国産の閃緑岩がよく使われています。

閃緑岩は耐久性の高さも特徴ですが、黒系の墓石は変色しにくく、仮に変色したとしても殆ど見分けがつかないため、手入れの手軽さも人気となっています。

●斑レイ岩(はんれいがん)
閃緑岩ほどではないものの黒っぽい色のため、斑レイ岩も「黒御影」と呼ばれています。
墓石も酸化するため年月が経つと錆(サビ)が浮き出てしまい、表面が赤っぽくなります。しかし斑レイ岩は鉄やマグネシウムの含有量が少ないため錆に強く、色褪せの少ない石材として人気です。

国産では福島県産の「浮金石(うきがねいし)」や「中山石(なかやまいし)」が有名ですが、他の国産石材と同じく希少性が高いため、値段も200万円程度と高めになっています。
海外の斑レイ岩ではインド産の「クンナム」やスウェーデン産の「ファイングレー」が高品質であり、廉価なものでは中国産の「山西黒(さんせいくろ)」が有名です。

●安山岩(あんざんがん)
花崗岩とともに墓石によく使われる石材です。
硬度も高く日差し(紫外線)の影響も少ないため墓石に適しており、キメの細かな美しい石材として人気となっています。

国産では神奈川県産の「小松石(こまついし)」が有名であり、本場となる真鶴産の石は「本小松石(ほんこまついし)」としてブランド化されています。花崗岩の高級品「庵治石」は西の横綱と呼ばれ、小松石は東の横綱と呼ばれるほどであり、特に青っぽい色の小松石は人気・価格ともに最高級とされています。

国産と外国産、どちらの墓石がいいの?

国産と外国産の墓石では価格差が大きいため「丈夫で長持ちするのは国産」と思われがちですが、見栄えや耐久性は外国産も引けを取りません。価格差の原因は採石量や流通量の違いであり、また国産石材はブランド化や人件費も価格に大きく反映しています。品質においてはほぼ同等のものでも外国産は安く購入出来るため、一概に「国産がよい」「高価な石材がよい」とはいえないでしょう。

ちなみに外国産の墓石では、インド産のクンナムは硬度の高い黒御影石として人気があり、中国では福建省や黒竜江省産の墓石も年々流通量が増えています。北欧ではスウェーデンのファイングレー、ノルウェーのブルーパールなども人気となっています。

信頼できる石材店の選び方

お墓に関するトラブルや苦情は意外に多く、国民生活センターに寄せられた相談件数は下表のように推移しています。
新しくお墓を建てる時、自由に建てていいの?「墓石篇」
出典:国民生活センター(http://www.kokusen.go.jp/soudan_topics/data/sougi.html)

2015年は1,500件近くあったので減少傾向のようですが、相談に至らなかったものもあるため、現実にはまだ多くのトラブルが潜在していると考えられます。

●見積もりや相談は数社に依頼してみる
お墓の良し悪しや価格相場は分かりにくいため、相談や見積もりは数社に依頼することをおすすめします。
相談の際には要望や意見、不明な点を明確にし、一つずつ聞いてみてください。親身になって対応してくれるお店は信頼度が高いといえます。2~3社を回れば雰囲気や相場も掴めてくるでしょう。
また、担当者が質問や要望をしっかりとメモしているかどうかもチェックしておきましょう。もちろんご自身でも回答内容を記録しておかれることをおすすめします。
最初から「あなたにはこの墓石」と決めてかかり、何を聞いても一方的な答えしか返ってこないところは要注意です。契約書と同じく、見積書もきちんと書面で提示してくれるお店を選んでください。

●専門的な知識があるか
石の産地や特徴、墓地の気候に合わせた選び方など、専門的な知識の有無は石材店選びで重要となります。
耐久性や吸水性、色褪せや錆などについて質問した際、石材ごとの特徴・性質を正確に教えてくれるお店を選んでください。また墓石以外にも、外柵などの付属品や工法についても詳しく聞いてみましょう。

●サンプルや実物を見せてくれる
墓石のサンプルや実物(現地見学)を見せてくれるかどうかもポイントとなります。品質に自信のある石材店であれば、自社施工のお墓で数年経過したものを見せてくれるでしょう。現地見学する場合、墓石とともに基礎部分もよく確認してください。建物建築と同様に地盤の状態に合わせた工法が必要となるため、基礎についても色々質問してみることをおすすめします。

●アフターサービスがあるかどうか
石材や工法に問題があったとしても、ある程度時間が経過しなければ判明しないため、アフターサービスの有無は重要です。アフターサービスがある場合、適用期間や適用条件など詳しく内容を聞いておいてください。また保証についても条件等をきちんと聞いておき、利用する場合は必ず保証書をもらうようにしてください。

霊園・墓地では石材店を選べないことも~指定石材店制度

霊園や墓地には指定石材店制度という仕組みがあり、霊園などが指定する数社の中から石材店を選ばなければならないことがあります。
指定石材店は民営の霊園や寺院墓地にある制度であり、指定店の殆どは優れた石材店ですが、中には希望する石材や工法がないこともあり、指定店以外との相見積もりが出来ないため価格も割高になりがちです。
反面、トラブルがあったときの対応は素早いため、一概に悪い制度とはいえません。
公営の霊園・墓地には指定石材店制度がないため自由に選べますが、お墓を買えるかどうかは抽選の場合が多く、当選までに何年もかかってしまうこともあります。
民営・公営の違いにより、石材店選びの自由度も変わることを把握しておいてください。

まとめ~墓石や石材店選びは慎重に

墓石は安いものでも数十万円であり、長期に亘って使うため慎重に選びたいものです。
良い墓地と石材を見つけることが何よりですが、日常的な買い物ではないため信頼できる石材店選びも重要です。建てた後の耐震補強や修理、リフォームが発生する場合もあるため、店舗や墓地に足を運び、長く付き合える石材店を見つけることが良いお墓づくりの第一歩といえるでしょう。