自宅リフォームで介護保険の改修補助金を得る方法とは

~介護保険は三年に一度見直されます。最新情報をもとに賢く利用しましょう~

要介護者の筋力が衰えることで、立ち上がれない、手すりにつかまれない、など自立を妨げる要因は、増えていきます。要支援や介護にまつわる目的で自宅リフォームを行った場合、介護保険を利用することで、上限18万円までの改修補助金を得ることができます。
改修補助金を得るには、いくつかの条件があります。
・介護対象の方が、要支援または要介護認定を受けていること
・リフォーム内容が介護目的であること
・工事に取り掛かる前に、申請を行うこと
これらの条件を中心に、介護保険の改修補助金を得る方法や、手続きのコツをご紹介します。

介護保険の改修補助金とは

介護を目的、または介護状態になることを予防する目的で、自宅リフォームを行う場合、介護保険の保険者(=市町村と特別区)から、被保険者へ改修補助金が支給されます。支給の上限額は、工事費用の9割、最大18万円です。
【例】工事費用20万円(支給限度基準額)=支給18万円+自己負担2万円
改修補助金を受け取るのは、工事後に手続きを行ってからになります。そのため、いったん工事費用を全額、工事事業者に支払う準備が必要です。また、工事に着工した後の申請は、無効です。必ず事前に申請を行ってください。工事費用の上限20万円までは、複数回の工事でも支給されます。その都度、申請しましょう。

介護保険で改修補助金を得る条件

自宅リフォームで改修補助金を得るのは、「介護保険の被保険者が、その居住地において、介護を目的としたリフォームを行うこと」が条件です。
▼介護保険の被保険者
・65歳以上の、要支援または要介護認定(すべての区分が対象)を受けていること。
・40~64歳で、リウマチ(関節)などの老化が原因の疾病、または末期癌で、要支援または要介護認定(すべての区分が対象)を受けていること。
要支援、要介護認定の申請:市区町村の窓口で行います。30日以内(原則として)に、認定の審査が行われ、通知が来ます。約一か月かかるため、早めに申請を行いましょう。
▼居住地の家屋
介護保険を利用してリフォームを行う場合、介護保険の被保険者(=要介護者)の居住地が対象です。
一時的に滞在する居住地の家屋は、改修補助金制度の対象にはなりません。引っ越しをした場合には、住民票を移しましょう。
▼リフォームの目的は被保険者の自律支援・介護
・介護状態になることを予防する。
・要介護者の自律を支援し、リスクを軽減する。
・介護をする側の困難を軽減する.

改修補助金の対象になる具体的な工事内容

自宅リフォームを行う場合、100万円以上の費用が掛かることも珍しくありません。しかしながら、持ち家の方と、賃貸住宅にお住いの方では、リフォームの自由度に大きな差があります。介護保険からの受益をなるべく公平に保つためには、規模が小さな工事に限定し、改修補助金の上限額を抑えざるを得ない事情があります。
▼改修補助金で行う工事内容とは?
・玄関の段差を無くすためのスロープを設置する。
・手すりを取り付ける。
・トイレを和式から洋式に変える(配管工事や壁の修繕などの必要な付属工事も含める)。
・浴室内の転倒を防止するため、床材の張替えをする。
・開き扉を、折り戸やアコーディオンカーテンに変える。
対象外の例:ベランダの落下防止手すり(介護目的ではないため)。老朽化して付け替える手すり。他の場所に移動させて使用できるスロープ(固定する工事をすれば対象になります)。浴室に床マットを置き、可動式だと対象外になるからと接着剤などで貼り付けても対象外です。工事による設置が必要です。
▼改修補助金がリセットされる時
要介護の区分が3段階以上あがった場合、または引っ越しなどで居住地が変わった場合には、既に利用した補助金の受給額はリセットされ、改めて自宅リフォームの改修補助金を申請できます。

自宅リフォームで最初に行うこと

▼ケアマネージャーに相談
まずはケアマネージャーに、自宅リフォームの検討をしていることを伝えましょう。要介護者の状態や建物ごとに、必要な内容は違います。ケアマネージャーの知識と経験から、事情に合った必要な工事のアドバイスをもらえます。また、工事内容が介護目的と認められるかどうかを判断しながら、プランを作成していきます。こうすればよかったと後から思わないためにも、気がかりな点や要望をしっかり伝えましょう。

全体的な手続きの流れについて

▼改修工事業者を決める
自宅リフォームを行うことが決まったら、改修工事業者を決めます。ケアマネージャーがお勧めの、改修工事に適した業者があるかもしれません。ここでもまず、相談しましょう。
▼下見と打ち合わせをして見積もりをもらう
改修工事業者に下見に来てもらい、打ち合わせをします。その後、改修内容について具体的なプランと見積もりを出してもらいます。
▼工事の着工前に申請をする
居住地の保険者(=市町村と特別区) へ、自宅リフォームの工事申請をします。自宅リフォームのことを、公的書類では、住宅改修と表記されています。
必ず、工事の着工前に行わなければなりません。
※例外的な処置:やむを得ない事情で、工事の着工前に申請が出来なかった場合は、住宅改修後に、支給申請書と理由書を提出することができます。あきらめる前に、保険者に相談してみましょう。
【工事申請時に提出する書類】
・住宅改修の補助金を申請する書類(支給申請書)
・住宅改修が必要である理由を記載した書類(理由書)
・工事費用の見積書
・改修工事が完成した状態が確認できる、写真や簡単な図などの資料
提出した書類の審査が終わり、介護保険の住宅改修として認定されたら、通知が来ます。
▼改修工事に着工→完成
▼改修工事費用の支払い
▼保険者へ住宅改修補助金の申請をする
【補助金申請で提出する書類】
・改修工事で支払った工事費用の領収書
・領収書の具体的な内訳
・改修工事の施工前の状態と、施工後の状態が確認できる書類、写真(撮影日がわかるもの)
・改修工事をした家屋の所有者による承諾書(改修補助金の利用者が、家屋の所有者ではない場合のみ必要)
▼住宅改修の支給額決定→受給
保険者は、事前に提出された改修工事の申請内容と、工事終了後の補助金申請時に提出された書類、そして実際の工事内容を照らし合わせ、正しく行われたかどうかの確認作業を行います。その上で、住宅改修補助金の支給対象として改めて判定を行い、認定された後に改修補助金の支給が行われます。
自宅リフォームで介護保険の改修補助金を得る方法とは
引用文献 厚生労働省ホームページ 平成28年7月
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000130771.pdf

自宅リフォームの実情とコツ

住宅改修を受ける工事業者の選び方や、支払い方法、ケアマネージャーとの連携とその重要性について、実情を踏まえたコツをご紹介します。
▼介護保険制度は国の社会保障制度
現在の介護保険制度は、平成12年(西暦2000年)からスタートした、国の社会保障制度です。それまでの福祉サービスは、地域の自治体(市区町村)が行い、利用者にサービス提供を行っていました。
以前のものと比較すると、多岐にわたる内容が盛り込まれています。自宅リフォームの改修補助金も、その一つです。
▼住宅改修の工事業者
工事業者には、介護保険の対象になる改修工事を行うための登録義務は、ありません。どの業者でも、介護保険が定めた条件を満たせば、補助金対象になります。(介護保険で改修補助金を得る条件)
そのため、施工水準を一定に保つことが難しく、平成25年には、厚生労働省も改善すべき課題として、社会保障審議会の資料にも明記していました。要介護者が移動するときに必要な寸法、ドア開閉などの生活動作、部屋ごとに改修すべき配慮が異なることなど、有意義な住宅改修には、様々な知識が必要です。工事業者とともに、積極的にケアマネージャーなどの専門家と連携して進めましょう。
自宅リフォームで介護保険の改修補助金を得る方法とは
▼工事費用の支払い方法二通り
【償還払い】利用者が、工事費用を全額支払い、後で補助金を受け取る。
【受領委任払い】利用者が、工事費用の自己負担分だけを支払う。

通常は、工事終了後にいったん全額の支払いを済ませてから、改修補助金を受け取ります(償還払い)。しかし、全額の支払いが困難な場合には、改修工事業者が改修補助金を、被保険者の代理で受け取ることを条件に、実際の支払いを自己負担額だけにできます(受領委任払い)。受領委任払いを利用できるのは、登録事業者に、改修工事を委託した場合のみです。
▼登録事業者とは?
自宅改修を行う事業者の一部は、保険者に登録されている登録事業者です。登録事業者は、支援や介護を目的とした住宅改修について、講習を受けています。小規模経営の大工さんでも、手続きすれば、登録できます。また、登録事業者を利用した場合のみ、受領委任払いが可能になります。
▼手続きの一部代行
登録事業者を利用して、住宅改修を行うと、支払い方法以外にも、もう一点利点があります。それは、工事前後に行う申請手続きを、一部代行してもらえることです。ただし、ケアマネージャーなどによる理由書がいるので、全てを代行してもらえるわけではありません。

まとめ

登録事業者でなくても、介護保険の住宅改修の補助金対象になり得ることは、ご理解いただけたと思います。懇意にしていて信用できる工事業者がある場合は別ですが、住宅改修についての講習を受けた登録業者をお勧めします(もちろんケアマネージャーさんの意見を第一に)。前述した施工水準のばらつきを解消するためにも、事業者の登録を積極的に行っている保険者(市区町村)もあります。受領委任払いが利用できる点も、魅力です。
ただし、どのような場合も、保険者(市区町村)によって、多少は解釈の違いがあるようです(介護の専門家として活躍中の方に確認したところ、そのような生の意見をいただきました)。

▼介護保険の今後
介護保険の内容は、厚生労働省により三年に一度、見直されます。
令和2年(西暦2020年)現在、介護保険の自己負担割合は、原則1割です(高所得者は2割もしくは3割の負担)。前回の見直しは、2018年に行われました。その際の最大のポイントは、介護保険の負担割合が、最大2割だったところを、3割まで引き上げられたことです。
次回の2021年見直しでは、1割負担が2割負担に引き上げられるのか、他のサービスの拡充がどうなるのか、などが注目されています。
最新の情報をもとに、さらに居住地の保険者に確認をして、介護保険全体を賢く利用していきましょう。