手元供養の種類と注意点について

~手元供養で将来起きそうなトラブルについても解説~

「手元供養」という言葉は、2000年代に入ってから聞くようになった新しい供養法です。その名の通り、自分のそばや自宅に遺骨を置いて供養するものです。最近では、お墓を継承する人がいない、田舎から離れた所に住んでいる、などの理由からお墓を持つことは負担になるという背景もあります。愛してきた人の遺骨やその加工品を身近に置くことで、心のよりどころとなり、故人を偲び語りかけ、故人との絆を再確認する自由な新しい形の供養と言えるでしょう。この手元供養の種類や注意点について紹介します。

手元供養とその種類

(1) 手元供養とは
手元供養とは、故人の遺骨の一部を小さな骨壺や専用のアクセサリーに入れるなどして身近なところに保管し、供養をすることをいいます。何よりも、身近な方が亡くなった寂しさや喪失感から、離れがたい、そばにいて欲しいといった気持ちの人に選ばれているのが、手元供養です。

手元供養を自宅供養と言う場合もありますが、自宅供養は、自宅にすべての遺骨を安置して供養することを言う場合もあります。手元供養では遺骨全部を手元に置く場合と一部を分骨して置く方法があるとするのが一般的です。

(2) 手元供養を選ぶ理由
手元供養を選ぶ理由には、次のようなことがあげられます。

①故人を身近に感じられる。
家族が突然旅立ってしまった場合はもちろん、余命が分かっていた場合でも、遺族は気持ちの整理がつかないものです。身近なところに遺骨を置くことで、故人を身近に感じられ心が癒やされます。

②お墓から遠い場所に住んでいて、頻繁にお参りに行くことができない。
地方から都会に出てきたという人では、故郷のお墓参りには年に数回行けるかどうかという人がほとんどではないでしょうか。手元供養であれば、自宅に遺骨があるので、日々の生活の中でお参りができます。

③経済的な理由、承継者の不在などの理由から、お墓を建てられない
先祖代々のお墓に一緒に入らず、新しく墓石を建てようとすると、かなりの費用がかかりますが、手元供養ならば予算を抑えることができます。また、承継者が不在なためお墓を建てても、お墓を継ぐ人がいない場合に手元供養を選択するケースがあります。

④無宗教なので、戒名やお墓は不要との考え
戒名やお墓は不要という人も近年増えているようです。この場合、従来の遺骨の供養の方法ではなく、手元供養というかたちを選ぶケースもあります。

⑤墓の維持などの負担を掛けたくない。
お墓の承継者がいる場合であっても、少子化に伴い子孫が墓を維持していくことがだんだん難しくなってきています。そのため、お墓の維持のために費用や手間を掛けたくないということがあります。

(3) 手元供養は法律的に問題ないのか?
遺骨を自宅に置き続けることは違法ではありません。
お墓や遺骨については、「墓地、埋葬等に関する法律」で定められ、行政が経営を許可した墓地以外に遺骨を埋葬することを禁止しています。家の庭にお墓を作って遺骨を埋葬すると違法になります。遺骨は墓地や霊園に埋葬しなければなりません。
これは、自宅の庭や所有地または他人の所有地に勝手に遺骨を埋葬することを禁止している法律であり「焼骨を自宅で保管する事は、本条に違反するものではない」と言う行政の見解が示されています。

(4) 手元供養の種類
手元供養で遺骨を手元に置いておくには、すべての遺骨を自宅に保管する「全骨安置」か、お墓や納骨堂などへ納骨したうえで一部を分骨して手元に保管する「分骨安置」の2種類があります。
①全骨安置
全骨安置は、遺骨をすべて手元に置いておくため、骨壺のまま保管するかパウダー状(粉骨)にして普通の骨壺よりも小さなミニ骨壺に入れ自宅に保管します。

②分骨安置
分骨し一部を手元保管します。パウダー状の遺灰をアクセサリーなどにする場合もあります。アクセサリーにも様々な種類があり納骨型と加工型があり、納骨型はネックレスやブレスレットに少量納めることができます。 加工型の場合は、遺骨を石の成分としペンダントやプレートにし文字を印字することもできます。
a. 納骨型
手元供養の定番品として人気があります。遺骨や遺灰、遺髪などを入れるタイプで、ファッション性の高いものもあります。

b. 加工型
遺骨中に含まれる炭素を取り出し、人工的に高温高圧にかけることで製造され、それらを合成した物でできたアクセサリーなどのことです。

(5) 分骨について
分骨してよいかですが、手元供養のため分骨し、保管することに法律上の問題はありません。
法律上では、「墓地、埋葬等に関する法律施行規則」第5条によって分骨に関する内容が定められています。
・墓地等の管理者は、他の墓地等に焼骨の分骨を埋蔵し、又はその収蔵を委託しようとする者の請求があつたときは、その焼骨の埋蔵又は収蔵の事実を証する書類を、これに交付しなければならない。
・焼骨の分骨を埋蔵し、又はその収蔵を委託しようとする者は、墓地等の管理者に、前項に規定する書類を提出しなければならない。
*墓地、埋葬等に関する法律施行規則埋葬 第5条

分骨自体は法的に認められており、手元での保管自体も法的規制はありません。

(6) 分骨の時期
分骨を行うには次のような時期があります。

①火葬場で分骨する時(焼骨を分骨する時)
「分骨証明書」あるいは「火葬証明書(分骨用)」を火葬場で発行してもらいます。

②お墓の遺骨から、一部だけ分骨する時
「分骨証明書」を墓地管理者に発行してもらいます。

③お墓を閉じる時
この場合は「改葬」にあたるため、「改葬許可証」を市町村に発行してもらいます。

(7) 手元供養品のタイプ
手元供養品のタイプには次のようなものがあります。

①遺骨を納める容器タイプ
a. ミニ骨壷
ミニ骨壷は、自宅で遺骨を少量保管できる容器です。部屋のキャビネットや仏壇の空いたスペースに飾りたいという要望から、片手で持てる程度の小さなサイズが中心です。デザインや素材など工夫を凝らした様々な商品が販売されています。

b. 遺骨を入れられるペンダント(遺骨ペンダント)、遺骨アクセサリー
遺骨ペンダントは、ペンダントトップの中が空洞になっており、遺骨を直接納められる構造になっています。一見して遺骨ペンダントとわからないような、普段使いできるおしゃれなデザインが多数出ています。また、ブレスレットタイプや指輪のタイプも発売されています。

②遺骨を加工するタイプ
アクセサリータイプでは、遺骨に含まれる炭素を抽出し、人工的にダイヤモンドを製造するものや、遺骨を樹脂で硬化し地金に取り付けるものなどがあります。その他、遺骨を粉骨し、金属化する粉末と混ぜプレートにするタイプのものもあります。

手元供養の手順と注意点

手元供養の手続きや流れでは決まったものは必要なく、親族などに了解を得たうえで実施することになります。手順については次のようになります。

(1) 手元供養の手順
①家族、関係する親族に確認・了承を取る。
家族、関係する親族がいれば手元供養を行いたい旨を説明します。お墓に入れない理由などが中心となります。

②遺骨をどのくらい手元供養にするか決める。
遺骨すべてを手元供養とするか、それとも一部とするかを決めます。分骨する場合は後の分をお墓に入れるかなどを検討します。

③手元供養品をどのような形態にするか決める。
手元に残す遺骨(遺灰)の量が決まったら、手元供養品をどのような形態にするかを決めます。
全ての遺骨を手元供養とするなら骨壺を探します。少量であれば小さな骨壺でも対応できます。一部の遺灰だけでも良い場合はアクセサリーも可能です。

④業者を探し依頼します。
インターネットで探したり、仏具店に行ったりして手元供養品を依頼する業者を探します。製作の段取りや製作日数、費用を確認します。

⑤製品の完成
製品が完成したら、手元供養を実施します。

(2) 手元供養の注意点
a. 手元供養品をどこに置くか、どのように飾るのか。
手元供養品の置き場所を考えておかなければなりません。リビングに置くのか、クローゼットに納めておくのかなどです。
飾り方では、骨壺の場合は線香立、花立て、お鈴なども検討します。

b. 手元供養の費用の目安
手元供養の骨壺、アクセサリーなどの平均費用は、3万円から10万円程度です。

c. 業者選びのポイント
手元供養品は、手元供養専門のお店から買ったほうがいいでしょう。
店などで商品サンプルを確認できればより確実です。
手元供養品については、品質保証などのアフターケアも重要です。

d. 骨壺の管理
骨壺は寒暖差で結露すると内部に水がたまるので、直射日光の当たらない場所に保管します。また、カビの危険性から湿気が多い押し入れや水回りには置かないようにします。

手元供養で必要なのは家族や親戚への説得

(1) 手元供養の問題点
手元供養の問題点には次のようなものがあります。

①手元供養に抵抗のある家族の説得
家にいつまでも遺骨を置いておくことに抵抗のある家族がいるかもしれません。家族を説得できなければ、手元供養はできないでしょう。

②分骨に反対する親族への説明
遺骨の分骨自体を、あの世で故人が迷うといって嫌う年配者もいます。説明が必要となります。

③将来的に遺骨をどうするか?
配偶者や親などの遺骨は手元供養するとしても自分が死んだらどうなるのかも考えておかなければなりません。自分が死んだら、誰が遺骨をどう扱うのかを決めておかなければなりません。家で供養してくれる人がいなくなれば、いずれは遺骨をどこかに収める必要があります。合同供養塔などが検討対象となります。

手元供養をするための準備

(1) 配偶者の死とお墓の現状の検討
手元供養する場合が多いのは配偶者の死です。自分自身が家のお墓を継ぐ立場であれば家のお墓に入れることが考えられますが、そうでないならば自分と配偶者のお墓を新たに考えなければなりません。子供にお墓のことで迷惑を掛けたくないとした生前墓も選択の1つですが、配偶者の死の段階では手元供養とする場合もあります。

(2) 配偶者を手元供養した後、自分の死を迎えたら2人の遺骨を、誰が、どうするのか?
子供や他の親族の誰が、夫婦の遺骨をどのようにしてくれるかです。子供も2人の親の遺骨を自宅で手元供養するとなると子供の家族の理解が必要です。また、遺骨のスペースも必要になってきます。手元供養を止めるとすれば合祀墓などへの納骨が必要なってきます。結局その手間は子供か親族にかかってきます。

手元供養の種類と注意点-まとめ

(1) 手元供養とは、故人の遺骨(遺灰)を小さな骨壺や専用のアクセサリーに入れるなどして身近なところに保管し、供養をすることをいいます。

(2) 手元供養を選ぶ理由は、故人を身近に感じられる、お墓から遠い場所に住んでいて頻繁にお参りに行くことができない、経済的な理由承継者の不在などの理由からお墓を建てられない、無宗教なので戒名やお墓は不要との考え、墓の維持などの負担を掛けたくない、などがあります。

(3) 手元供養で遺骨を自宅に置き続けることは法律的に問題ありません。

(4) 手元供養の種類では、全骨安置と分骨安置があります。

全骨安置は、遺骨をすべて手元に置いておくもので、分骨安置は分骨し一部の遺骨を手元供養するものです。

(5) 手元供養品のタイプでは、遺骨を納める容器タイプと遺骨を加工するタイプがあります。

遺骨を納める容器タイプでは、ミニ骨壷や遺骨を入れられるペンダント(遺骨ペンダント)、遺骨アクセサリーなどがあります。
遺骨を加工するタイプでは、遺骨に含まれる炭素を抽出し、人工的にダイヤモンドを製造するものや、遺骨を樹脂で硬化し地金に取り付けるものなどがあります。

手元供養の3つのポイント

(1)遺骨を手元に置くこと自体は法律的には問題なく安心して行えます。

(2) ただし、家族や親族の理解がないと手元供養を続けるのは難しい問題があります。

(3) 親や配偶者の遺骨を手元供養した後、自分が死んだら自分の遺骨とそれまでにある遺骨をどうするかを考えて準備しておかなければならないこと。

子供や親族に始末してもらうのであればそれらの人の理解と協力が不可欠です。

手元供養は短期的にはお墓が不要となり費用も手間もかかりません。また、愛する人との対話も日常的に行えます。しかし、自分が死んだら自分で葬儀も納骨もできないわけですから家族や親族の理解、協力が不可欠です。かえって迷惑をかける場合もあります。長期的将来的にどうするかをあらかじめ考えておくことが必要です。