「位牌分け」のタイミングや手順について

~位牌分けがどんな時に必要なのか詳しく解説~

位牌を分けるということはどういう意味か分からない場合も多くあると思います。言葉の違和感もあるかもしれません。そもそも位牌と向き合う機会も減ってきているのではないでしょうか。位牌と向き合うのは故人の命日やお盆、法要の時などでしょう。しかし、親などが亡くなった場合には位牌分けの問題も重要になってきます。位牌の持つ意味や、位牌分けの理由、タイミング、手順などにつき紹介します。

位牌分けとは

(1) 位牌
位牌とは、故人の戒名が書かれた木牌(ぼくはい)のことです。位牌は故人の霊魂が宿っていると考えられ大事な物です。
位牌は仏教の生誕地のインドでは元来なく、発祥は中国と言われており中国の儒教の影響を受け、宋代に中国仏教(禅宗)に取り入れられ、日本には鎌倉末から室町期に禅僧を通じてもたらされたとするのが通説です。

日本において位牌は仏教の葬送儀式とともに十六世紀には庶民の間に広まり、江戸時代に入って広く普及しました。

(2) 位牌の役割と必要性
位牌は仏壇の中に置かれます。仏壇は、本尊をお祀りするためと、位牌を安置して先祖を供養するためがあります。本尊は仏壇の中心的存在、位牌はそのそばに置くものとされています。
位牌はそういった霊が宿る依代(よりしろ)としての意味合いが強く、位牌がなければ宿るところがなくなってしまうので必要とされています。ただし、浄土真宗では教義が異なります。

(3) 位牌の種類
位牌には、仮の位牌の白木位牌と本位牌があります。
白木位牌とは葬儀で使用するもので葬儀までに用意するいわば仮の位牌です。葬儀の際に仮の位牌に故人の魂を宿し、四十九日の法要の時に経を読んでもらうことで魂を本位牌に移すとされます。
本位牌は四十九日までに用意します。
本位牌には、戒名や没年月日、俗名や享年を記します。白木位牌から本位牌に故人の魂が移された後は、仮位牌を残しておく必要はなく、処分可能です。仮位牌は通常のごみとして処分できますが、捨てにくい場合は寺院でお焚き上げをしてもらうこともあります。

(4) 位牌分けとは
四十九日法要後、本位牌を複数作ることを「位牌分け」と言います。
地域によっては昔からある慣習です。お墓に納骨する際遺骨を分けるのを分骨と言いこれも行われています。遺骨と同様、位牌も分けることができます。
一般的に、位牌は故人1人に対して1基準備し、本家の跡取りである喪主の家にある仏壇に祀られますが、故人に複数の子供がいた場合、子供それぞれが自宅に位牌を持ち帰り供養する場合などです。

(5) 位牌分けは一部地域の習慣だったが、現在は位牌分けが広く行われるように。
もともと位牌分けは中部地方(特に長野県、山梨県、静岡県)や北関東地方(特に群馬県)などで古くから行われている習慣でした。そんな位牌分けの習慣ですが、最近では核家族化や、故郷を離れて都会で暮らす人が増えたこともあり、広く行われるようになりました。

現代における理由としては、以下の点があります。
①お墓を継いだ人の家から遠いところに住んでいる。
位牌が祀られているお墓を継いだ人の家(本家)から遠いところに住んでいるため、頻繁に行けず自宅で親の供養を行いたい。
②家のお墓からも遠くに住んでいてお墓参りにも頻繁に行けない。
家のお墓からも遠いのでせめて家で子供として親の供養を行いたい。
③心の支えにしたい。
心の支えとして、親の位牌を手元に置きたい。
これらの、親の供養を行いたいという気持ちは大切なことです。

(6) 位牌分けの宗派による相違
位牌分けに関しては、基本的に浄土真宗以外の宗派であれば行うことができます。浄土真宗では位牌は必要としていませんので、位牌分けという慣習もありません。
浄土真宗で位牌を作らない理由は、浄土真宗では、人は阿弥陀如来の導きにより、浄土に往生し仏となるという教えがあります。阿弥陀如来を信じて奉ると決めた時点で、誰もが仏になれることが約束されているという教えです。つまり、故人の魂は亡くなってすぐにこの世を離れ、成仏していると考えるため、魂が宿った位牌を仏壇に置いて供養していく必要がありません。

なお、他宗派では、位牌を分ける上での細かい決まりがある場合があり、菩提寺に確認が必要です。

位牌分けの手順について

(1) 位牌分けのタイミング
位牌分けを行うタイミングとしては本位牌を作る時です。多くの場合は四十九日の法要の時に位牌への開眼法要(魂入れ)を行いますのでそれまでに必要分の位牌を用意します。
それ以後の位牌分けも可能ですが、再度開眼法要を住職に依頼する必要があります。

(2) 位牌分けの手順と費用について
①位牌の準備
位牌分け用の位牌を人数分準備します。全ての位牌に同じ文字を記します
②開眼法要
四十九日法要の時に菩提寺などの住職に行っていただきます。なお、白木位牌の閉眼供養(魂抜き、性根抜き)も行います。
③位牌の持ち帰りと自宅での安置
子供それぞれが位牌を持ち帰ります。その後、それぞれの家庭で安置しお祀りします。

(3) 位牌分けの費用
既に仏壇を設置している場合には仏壇の購入は不要ですが、仏壇を持っていない場合は、仏壇および仏具一式を購入することになりますので、以下の費用の他に仏壇・仏具購入の費用も掛かります。

位牌分けにかかる費用では、
①位牌代金
1万円台~。位牌の大きさや材質によって価格が変わってきます。
②戒名入れ
数千円~。入れる戒名の文字数や宗派によっては位によってお布施の金額が変わってきます。
③開眼供養のお布施
相場は1万円~3万円程度です。
自宅で行う場合は、お車代として相場5千円〜1万円が必要となってきます

(4) その他、位牌分けの慣習
地域的に異なりますが、下記のような点があります。
①故人の子供たちは、男女、実子、養子、婚出・分家などを問わず、平等に祀り手となることができます。ただし、未婚者は資格がありません。
②婚姻している場合、夫方の両親、妻方の両親の位牌が祀られます。
③一家の仏壇には、その家の先祖である父系的位牌と分与された母方系位牌が祀られます。

位牌分けの今後どうなるか

(1) お墓の承継者がいない現代の位牌分けの意味は?
お墓の承継者がいなくなる現代では位牌分けはどうなるのでしょうか?

①生涯独身者、子供のいない夫婦の場合
生涯独身者はお墓の承継者はすでになく、お墓を作っても誰も承継せずお参りする人も親族の一部以外にはありません。そのため位牌を作る意味もありません。子供のいない夫婦では、位牌は作っても残された配偶者が手元に置く以外には意味がありません。配偶者が亡くなったら位牌は不要となってしまいます。
家のお墓を継ぐ人は自分の代まで家のお墓に入るかもしれませんが、位牌を作っても祀る人はいません。いずれも位牌分け以前の位牌そのものの必要性が乏しいと言えるでしょう。

②兄弟姉妹が複数いて親などの位牌分けを希望する場合
兄弟姉妹にお墓を継ぐ立場の人(長男など)がいて、他の兄弟姉妹で親などの位牌分けを希望する場合は、親などの入るお墓のある菩提寺の流れも受け継ぐ形になります。親の位牌は菩提寺の宗派の戒名を付けたものとなります。

a. 仏壇の用意
自宅に位牌分けを受けた位牌を置く場合、まず仏壇の用意が必要です。仏壇はいわば自宅におけるお寺です。仏壇に祀るのはその宗派の本尊などです。

本尊とは、本尊とは信仰の中心として祀られている仏像などで、宗派によってそれぞれ異なります。本尊の形式には、仏像や絵像の掛軸、曼荼羅などがあります。
本尊は、仏壇の中心である須弥壇(しゅみだん)の上に安置します。より丁寧な場合は、その両脇に脇掛(わきがけ)という、宗派で定めている祖師像などの掛軸を安置します。

宗派による本尊は下記の通りです。
・天台宗:阿弥陀如来、釈迦如来
・真言宗:大日如来
・浄土宗:阿弥陀如来
・浄土真宗:阿弥陀如来
・曹洞宗:釈迦如来
・臨済宗:釈迦如来
・日蓮宗:大曼陀羅、日蓮上人像

これらを確認し仏壇店で仏壇と本尊、仏具などを購入します。

b. 自分のお墓をどうするか
家のお墓を継ぐ立場ではないので、自分と配偶者、子供のお墓は別途考えなければなりません。現在は子供にお墓の面倒を掛けたくないという人が増え、生前墓を購入する場合が多くあります。

生前墓の購入では、自分の親が納骨されている菩提寺の宗派を継承するかどうかが1つの課題です。例えば子供の代まで考えてお墓の承継が難しくなってくると考える場合、お墓の形態では納骨堂などが増えています。納骨堂でも寺院運営の場合は宗派が関係してきます。家の菩提寺の宗派を引き継いでいきたい場合はその宗派の納骨堂を選ぶと良いでしょう。

また、仏教自体についても宗派についてもさほどの信仰心もなく、納骨堂の選択を場所や価格などで選び、結果として家の菩提寺とは変わり、新しい宗派の納骨堂を選ぶ場合もあるでしょう。その場合は、親の位牌分けを受けた自分の家の仏壇の宗派・本尊と自分の生前墓の宗派・本尊が異なることになります。
自分が死んだ後子供は親や祖父母の宗派の異なる位牌の扱いに困るのでないでしょうか。

(2) 位牌分けまでしなくても親を偲ぶことはできる。
位牌分けは仏教の葬式儀礼の1つです。仏教と関係なく、親を偲ぶだけならば位牌に関係なく、故人の遺影の写真を飾り供養することはできます。お墓を継ぐ立場にない子供などで位牌そのものを必要としていない場合も多くあります。

位牌分けの注意点

位牌分けを受ける立場からは次のような点を考えておく必要があります。

(1) 親などの位牌分けを希望するかどうか
自分が家のお墓を継ぐ立場にないが、菩提寺には遠くお墓参りにも頻繁にはいけないなどの理由で、自宅での親などの供養がしたいと思い、その手段として位牌分けを望むかどうかを考えます。

(2) 位牌分けを希望する場合は、四十九日までに喪主と菩提寺と相談すること。
位牌分けを行うのは四十九日法要の本位牌を作る時がタイミングになりますので、故人が亡くなったら早めに喪主と菩提寺の僧侶に相談します。

(3) 位牌の準備
本位牌を作る時に合わせ戒名を入れた位牌を作成し準備します。

まとめ

(1) 位牌分けとは
一般的に、位牌は故人1人に対して1基準備し、本家の跡取りである喪主の家にある仏壇に祀られますが、故人に複数の子供がいた場合子供それぞれが自宅に位牌を持ち帰り、供養する場合があります。四十九日法要後、本位牌を複数作ることを「位牌分け」と言います。

(2) 位牌の種類とタイミング
位牌には本位牌という本来の位牌があり四十九日法要までに用意します。葬儀から四十九日までは仮の位牌の白木位牌を置きます。葬儀の際に仮の位牌に故人の魂を宿し、四十九日のときに経を読んでもらうことで魂を本位牌に移すとされます。

(3) 位牌分けの理由
位牌分けの理由は、位牌のあるお墓を継いだ人の家から遠いところに住んでいる、お墓も遠く墓参りにも頻繁に行けないためせめて自宅で親の供養を行いたい、心の支えにしたいなどです。

(4) 浄土真宗では位牌自体がなく当然位牌分けもないこと。
浄土真宗では位牌は作りません。浄土真宗では、阿弥陀如来を信じて奉ると決めた時点で、誰もが仏になれることが約束されているという教えがあり、故人の魂は亡くなってすぐにこの世を離れ成仏していると考えるため、魂が宿った位牌を仏壇に置いて供養していく必要がありません。

(5) 位牌分けの手順
位牌分けを行う場合は、次のような手順で行います。
①位牌の準備―位牌分け用の位牌を人数分準備します。全ての位牌に同じ文字を記します
②開眼法要―四十九日法要の時に菩提寺などの住職に行っていただきます。なお、白木位牌の閉眼供養(魂抜き、性根抜き)も行います。
③位牌の持ち帰りと自宅での安置―子供それぞれが位牌を持ち帰ります。その後、それぞれの家庭で安置しお祀りします。

位牌分けのタイミングや手順の3つのポイント

(1) 位牌分けのタイミング
白木位牌は四十九日の忌明けまでです。四十九日の法要で白木位牌から本位牌に変わります。位牌分けのタイミングもこの時になります。

(2) 位牌分けの手順
位牌分けの準備では、全ての位牌に戒名など同じ文字を記します。四十九日法要の時に菩提寺などの住職に開眼法要してもらい、合わせて、白木位牌の閉眼供養(魂抜き、性根抜き)もしてもらいます。

(3) 位牌分けでは、位牌だけでなく仏壇、本尊、仏具などの用意も必要なこと。
位牌は位牌だけでそのまま置いておくものではなく仏壇に安置します。仏壇は自宅における寺院のようなもので本尊を祀ります。親などの位牌を置く仏壇は菩提寺の宗派の流れをくみその宗派の本尊をお祀りします。

位牌分けの言葉にはあまりなじみはないかもしれません。しかし意味は分かりやすいものです。しかし、仏教にもいろいろな宗派があり、宗派による慣習の相違もかなりあります。また、地域性もあります。社会的には家制度はなくなりましたがお墓にだけは家制度が残っており、お墓を管理する菩提寺が葬儀と戒名、位牌をもつかさどる流れとなっています。