高齢化の中で選ばれる墓地霊園について

~終活の中で直面するお墓の対策を詳しく解説~

高齢社会を迎え、団塊の世代の後期高齢者化がまもなく到来する現在、お墓の問題はより顕在化してきました。地方にお墓がある人でお墓を継ぐ必要のある人では、都会で働いている場合自分が住んでいる場所との距離が問題になります。墓じまいや改葬の問題に突き当たる場合もあります。また、家のお墓に入らない人では自分で生前墓の購入を検討する必要が出てくるでしょう。子供に面倒を掛けないためです。その場合はどのような墓地霊園を選んだら良いのかが課題になります。高齢になり終活の中で直面するお墓の対策を紹介します。

1.高齢化の中で選ぶ墓地霊園とは

自分の立場によりお墓の選択が分かれてきます。

(1) 家のお墓を継ぐ人
長男などで今までの家のお墓を継ぐ立場の人は、家のお墓の場所と自分の住いの場所との距離が問題になります。都会に勤め住み、お墓が地方の実家近くにある場合などです。
自分がお墓を継ぐ立場からは自分もそのお墓に入ることを考えますが、次のような点につき考慮しなければなりません。

第1に、配偶者との関係でどうするかを考えなければなりません。まず、配偶者が先に亡くなった場合どうするかです。配偶者である妻の場合で、夫の実家のお墓には入りたくないという場合があります。特に嫁姑と嫁の関係なども反映します。家のお墓を継がずに別途お墓を購入し配偶者を祀るなどの方法があります。

第2に、子供のことを考え、子供が今までの家のお墓を継いでいけるかどうかを考えます。まず子供がいない場合、いても女の子だけの場合は自分のお墓自体の承継が難しくなります。家のお墓を自分が継いでも子供がお墓を承継しなければ家のお墓は終わります。そのため、家のお墓を自分が継ぐのも止め、墓じまいと住まいの近くへの改葬の方法もあります。改葬では、子供がお墓を承継できないことがはっきりしている場合は樹木葬などの合祀型のお墓を選ぶ方法もあります。

(2) 家のお墓を継がない主として男性の場合
次三男などで家のお墓を継がない人は、配偶者と相談し自分たちのお墓をどうするかを決めます。多くの場合は生前墓を購入します。子供がいても子供にお墓の面倒を掛けないためです。どのようなお墓を購入するかを検討します。

(3) 家のお墓を継がない主として女性の場合
自分が結婚し嫁の立場になれば多くの場合夫のお墓に入ります。夫が家のお墓を継ぐ場合と継がない場合で対応は変わります。継がない場合は夫と相談して決めます。

(4) 家のお墓を継がない生涯独身の場合
自分のお墓を作ってもお墓を承継する人はいません。生前に合祀型のお墓や自然葬・海洋散骨などを検討します。

2.高齢化の中で選ぶ墓地霊園の現状

家のお墓に入る人は新たなお墓の選択はありませんので、自分が新たにお墓を求める場合の選択について考えます。家のお墓の墓じまいと改葬の場合も、新たなお墓を求めるので同様です。

(1) 生前墓の購入
新たなお墓の選択に関して、生前墓の購入では、次のようなものがあります。
・霊園、寺院の一般墓地
・納骨堂
・樹木葬
・自然散骨
・手元供養

①霊園、寺院の一般墓地
a. 運営主体
運営主体から言えば、地方自治体などが運営する公営霊園、民間霊園業者が運営する民営霊園、寺院が運営する寺院墓地などがあります。どのような宗教信者でも不問が原則です。
公営霊園、民営霊園とも宗教自体とは関係ありません。寺院墓地は仏教の宗派による運営で今までの宗教宗派については不問とされても、新たに寺院の属する宗派の檀家になることが条件です。条件としない場合は例外的と言って良いでしょう。

b. 一般墓地の費用
一般墓地の費用は永代使用料、年間管理費、墓石料があります。
(イ) 永代使用料
永代使用料とは、永続的に区画を使用する権利を得るための費用です。所有権ではなく利用権です。墓地・霊園の墓地の場所代として、基本的に子孫などの承継者がいる限り無期限で使用できるものです。また、他人に譲渡、転売することはできません。承継者がいなくなり管理費が払われなくなると無縁墓となり使用できなくなる場合もあります。

費用では、面積が1㎡程度の区画の場合、標準的に10万円~150万円程度ですが、土地代を反映するために都市部では高くなります。

(ロ) 年間管理費
年間管理費とは、毎年お墓の管理維持にかかる費用です。共有スペースの維持費、清掃費なども含まれます。公営霊園の管理費は、各自治体の霊園によっても異なりますが、年間2,000~10,000円程度で、民営霊園では年間1~2万円台でしょう。寺院墓地は民間霊園に準ずるものなど様々です。

(ハ) 墓石料
墓石の規模、石材の種類、彫刻の字数などにより異なります。全国平均で120万円~175万円ほどです。彫刻料は字数により異なりますが新しくお墓を作る場合は10万円以上、墓誌への彫刻は3万円~5万円程度です。

c. 納骨堂
大都市部で最近最も人気の形態です。スペースの小さい都市部の寺院などで多くあり、また不動産業者が寺院と提携する形で実質的に寺院の新事業として行っている場合もあります。価格は1基(1人分)30万円~90万円程度で、平均50万円です。複数人入れる家族方式になると価格もアップし100万円以上となります。

d. 樹木葬
10万円~80万円程度で標準は20万円台です。人気の場所では倍率が高い場合もあります。

(2) お墓を持たない方法
a. 海洋散骨
船をチャーターする形態の場合は、およそ約20万円~30万円程度です。船に乗らずに代行業者一任の場合は5万円程度からあります。

b. 手元供養
自宅に置いておく方法です。ただし、自分が死ぬときどうするかの問題が先送りされます。

3.高齢化の中で選ぶ墓地霊園の今後

お墓の承継者がいない時代に対応した新しい形態が有名寺院で行われ始めています。合祀型のお墓の展開で、低価格30万円台で販売しています。ブランドによる精神の安定とお墓の承継者がいない時代の合祀、そして、低価格が特色です。

(1) 伝統有名寺院による合祀型のお墓の展開

①築地本願寺合同墓の例
東京の有名寺院の築地本願寺合同墓についてポイントを紹介します。
・伝統寺院の安心感
800年続く浄土真宗本願寺派の直轄寺院です。築地本願寺の永代供養となります。
・個人単位での生前申込み
「代々の墓」を持たない、お墓を継承することが困難である、ご家族に心配をかけないよう生前に自身の埋葬について意思表示したい、という人向けのお墓です。
・年間管理費不要
年間の管理費は必要ありませんので、家族に負担を残すことはありません。
・他の人のお骨と混ざることはありません。
遺骨は個別に骨袋に入った状態で収蔵します。尚、合同区画に収蔵する前に個別区画にて一定期間収蔵することも可能です。
・過去の宗教宗派は問いません。
申込みにあたって過去の宗教宗派は問いませんが、築地本願寺倶楽部への入会が必要です。
お申込み後からは浄土真宗の教義を尊重していただき、お亡くなりになられ、お骨をお納めする際の法要、納骨後の法要・読経は浄土真宗本願寺派の儀礼にて行なわれます。
・礼拝堂の回廊に名前が刻銘されます。
申込み時には法名を持たない人が多いと思われるため、俗名にて統一されて刻銘されます。
・費用は30万円以上
低価格でのお墓の購入が可能です。

②金剛峯寺 高野山中之橋霊園の例
・世界遺産や歴史的価値の高い史跡が居並ぶ高野山
和歌山県高野山、真言宗本山の金剛峯寺のお墓です。
・合葬墓
子孫や継承者を必要としないお墓です。合祀供養塔へ遺骨を直接、合葬形式で納骨します。
子孫等の継承者がいない人、継承者に負担をかけたくない人向けです。
※法要は総本山金剛峯寺にて行なわれます。
・料金 30万円
合葬料・管理料・納骨料・法要料(納骨)込み
・管理料等不要
申込時の30万円のほかに、管理料等は一切かかりません。

4.高齢化の中で選ぶお墓の準備

(1) 家族、配偶者との相談
まず自分の家族とお墓をどうするかを相談します。家のお墓を継ぐ立場の人は家のお墓について説明します。

(2) 親族との相談
家のお墓に関わる親族がいれば、今後の家のお墓の承継について誰が墓守をしていくのか相談します。

(3) 生前墓の購入などの検討
新たにお墓を求める場合に、どのようなお墓が良いのかを検討します。特に自分の家族のお墓の承継者がこれからもいるのかがポイントになります。ただし、公営墓地などでは生前墓を認めない場合があります。

(4) 生前墓の購入などの時期の検討
生前墓を購入する場合いつ頃が良いのかを検討します。

5.まとめ

(1) お墓の選択では、家や親のお墓に関する立場によって相違があります。
家のお墓に入る人、家のお墓はあるが入らない人、家のお墓を墓じまいして改葬する人、生前墓を購入する人、生涯独身で合祀墓を検討する人など多様です。自分の現状に合わせて最適なものを選択します。

(2) 生前墓の購入の検討
自分が高齢であるため、自分が入る生前墓を検討する時期の人が多くいます。新たなお墓の選択に関して、生前墓の購入では、霊園・寺院の一般墓地、納骨堂、樹木葬などがあります。

(3) お墓を持たない考え方もあります。
お墓を持たない自然葬としての海洋散骨、手元供養の方法もあります。特に海洋散骨は一定の拡大を示しています。

(4) お墓の承継者がいなくなる時代では、合祀型のお墓の形態に関心が集まっています。
納骨堂で将来的に合祀墓へ移動する形態や、最初から合祀墓での樹木葬などの形態があります。また、合祀型でも納骨堂型の場合は遺骨を他の人と一緒にしないなどの形態もあります。樹木葬でも同様の形態があります。

(5) 合祀墓では年間管理費などの継続的な費用はありません。
最初の購入費だけで年間管理費は不要なのが通常です。

6.高齢化の中で選ぶ墓地霊園3つのポイント

(1) お墓の変化と多様化について調べること。
お墓の選択肢が広がっています。特にお墓の承継者がいない時代に対応した形態が増えています。自分の現状に合った生前墓の購入と生前墓の種類について調べておくことが必要です。

(2) お墓の低価格化が進んでいること。
今間での地上のお墓というと平均価格で200万円台という認識が一般的ですが、納骨堂や樹木葬などの新しい形態で合祀型のものを探せば数10万円程度まででかなり販売され、低価格化が進んでいます。

(3) お墓は代々守るものと言いう考え方自体を変える必要も
お墓を代々守っていく自体が難しくなってきています。孫の代までは見通せません。お墓は自分と配偶者の1代で考えるか、子供までの2代で考える時代かもしれません。家や先祖のお墓を守るという考え方自体に変化が迫られているのかもしれません。

お墓の考え方については世界を見渡せば宗教による相違が大きくあります。キリスト教では土葬が中心です。死後の復活を信ずるので火葬はしないということでしょう。日本は仏教式のお墓が中心ですが、火葬後のお墓の形態では多様化してきています。樹木葬は公営霊園でも寺院墓地でも活発に販売されています。納骨堂は寺院墓地中心に都市部で活発に開発され販売されています。有名寺院でも開発は進んでいます。