もし自分が生前葬を望む時、どのような準備をしておけばいいの?

~もしあなたが生前葬を行うとき、どうしたいですか?~

生前葬というものはいわばバーチャルな葬儀で、仮の死の儀式や体験を通して、むしろ今後の人生を模索するためのものだと言えます。また、生前葬は有名人ではない一般人にとっては無縁とも思われています。そこで生前葬は、何のために、どのようにして行うのか、またどのような準備が必要なのかについて紹介します。

1.生前葬について

(1) 生前葬とは
生前葬は普遍的な葬儀ではなく定義も確立していません。用語そのまま意味では、「本人が生存中に自ら主催者となって行う葬儀形式のもの」と言えるでしょう。しかし、本来の葬儀ではなく、葬儀形式を行う目的から言えばさらに要素を付け加え、「本人が生存中に自らの死と向き合い、それまでの人生に決別し、新たな人生を送るための転機とする儀式」と言えるのではないでしょうか。

(2) 生前葬の目的
生前葬を行う目的では、前述したように、生存中に自らの死と向き合い、それまでの人生に決別し新たな人生を送るための転機とする、などがあります。
作家や芸術家では、今までの自分の作風と何らかの転機により決別し、新たな作風を模索するなどの宣言と言えるでしょう。この場合は、その宣言を外部にも公表する意図があるのでしょう。

また、自分が死と向き合う過程がともない、周囲の人々への感謝の念が生まれる意義もあります。

(3) 生前葬を行うタイミング
今までの人生に区切りをつける何らかの転機があった時期になります。一般人では、がんなどの思い病気をわずらって死を考えた時、会社が倒産して死を考えた時、その他人生の終焉を見据えて行う時などを契機とした時期があります。

2.生前葬の現状

現状では、生前葬を行う人では作家や芸術家や社会的に有名人が多いようです。作風の変化や主張の変化、活動の仕方の変更を社会的にもアピールする意味があるからでしょう。そのため、生前葬にも身近な人などを招いて行います。

(1) 生前葬の流れ
生前葬には、こうしなければならないという決まった流れはなく、個々の生前葬の目的によりその趣旨が反映されたものとなります。基本的には宗教儀式の要素はありません。また、個人規模では本人が主催者となります。

①司会者 開会の案内(本人が兼ねる場合もあり)
②主催者(本人)開会の挨拶
主催者としての挨拶と会の主旨の説明。
③乾杯(乾杯は行われないこともあります)
今後の参列者の発展を願う意味で乾杯を行います。
④自分(主催者)の主張などの説明
主催者の今までの活動、人生などを紹介し今後の方向性、人生について考え方などを説明します。
⑤参列者スピーチ
⑥主催者(本人)挨拶
主催者として感謝の気持ちを述べます。
⑦司会者 閉会の挨拶(本人が兼ねる場合もあり)

(2) 主催者あいさつのポイント
・生前葬開催の意図を明確にすること。
主催の気持ちや今後の方向性に関する理解が得られます。
・参列者へこれまでの感謝の気持ちを伝えること。
本人を支えてくれた参列者への感謝の気持ちを伝えることです。
参列者にも関係する思い出の話しがあれば、参列者の共感も得られて、良い雰囲気づくりに繋がります。
・前向きな気持ちになる内容であること。
参列者にとっても前向きな気持ちになるような内容が望ましく思われます。

(3) 生前葬を開く際の費用
生前葬に定まった形式はなく内容は自由であり、どのような内容で生前葬を行うかによって費用は大きく変化します。
生前葬の多くは、ホテルなどでセレモニーと食事会を合わせたスタイルで行われます。費用の内訳としては、会場費、飲食費、案内状や記念品にかかる費用などです。
費用の総額は、招待する人数や準備物によって異なります。
ホテルなどの宴会場などで行う場合で、人数が10人~20人程度であれば1人1万円~2万円の予算で20万円から程度が目安です。会費制とすれば1人1万円会費でオーバー分は主催者負担とするなどの方式です。

・生前葬の香典
生前葬は会費制で行うことが多く、会費を支払う場合、香典は不要とされます。
生前葬を主催する場合は、お客様が困らないように、会費はいくらか、香典は受けないなど、案内状を出す際に明記しておく必要があります。

(4) 生前葬での服装
基本的には生前葬では喪服は着用しません。生前葬の案内状に「平服でお越しください」などを案内します。

3.生前葬の今後

(1) 人を招かない一人生前葬のすすめ
生前葬を行う目的では、何らかの人生の転機があり、ある時は死を考え、今までの人生を総括し、その結果として新たな人生の方向性を見出すことにあります。
このことはあくまでも個人的なことです。個人的なことであれば、個人で行うことで完結しても構いません。周囲の人まで呼ぶ必要もないでしょう。

①一人生前葬の方法
一人生前葬の方法には何の決まりも当然ありません。
仏壇の前で般若心経の経を読んでも構わないでしょうし、また、座禅を組んで行っても良いでしょう。大河の前でイメージとしてわが身を投げるのも構わないでしょう。過去を捨てる気持ちになることです。

生前葬の手法を定年退職前の社員研修で使う方法があります。今までの会社員人生とは全く異なる人生を歩むための事前教育で、自分の死を考えさせ、葬儀のイメージを連想させ、今までの人生と決別し、新たな人生を模索する手法です。

②何に誓うのか
今後の人生を何に誓うのかという問題です。自分の信ずる神がある人は神に誓うのでしょうか。特定の宗教がなければ天に誓うのでしょうか、それとも自分自身に誓うのでしょうか。
自らの信ずるところに何らかの他のものに誓うことにより自分の心の弱さを支えます。

(2) 生前葬を行った人が、その後実際に亡くなったときはどうするのか
本人の意思を尊重するのが第1です。本人は遺書などでその旨を伝えます。
生前葬は広く浸透し理解されているものではないため、遺族は世間体の面から実際の死後には通常の一般的葬儀を行うのが一般的です。
通常の寺院による宗教的な葬儀や、規模の小さい家族葬などの形態で行うことになります。本人の意思で葬儀を行わない火葬のみの選択もあります。

4.生前葬の準備

(1) 自分自身の生前葬の目的を考える。
生前葬を考えるキカッケから生前葬を行いたい目的を考え整理します。

(2) 家族や親族と話し合う。
人を招く場合には、参列する予定の家族や親族の意見を聞きます。自分勝手ではないかなどを検討します。

(3) 仕事関係、社会活動関係の知人友人の協力で行う場合は関係者の意見を聞く。
仕事関係、社会活動関係で基盤のある人は、これらの知人友人が発起人となって生前葬を主催する場合もあります。この方式の場合は関係者の意見を聞きます。

(4) 一人生前葬を検討する。
参列する予定の家族や親族の意見が自分の考えと異なる場合、理解されない場合などで、人を招かなくても良いならば自分一人で行う一人生前葬を検討します。

(5) 生前葬の内容、時期、呼びたい人、費用などの検討
生前葬の内容、時期、呼びたい人、費用などを検討します。一人生前葬では内容、時期などを検討します。

5.まとめ

(1) 生前葬とは
生前葬とは、本人が生存中に自らの死と向き合い、それまでの人生に決別し新たな人生を送るための転機とする儀式です。
多くの場合、無宗教式で行われます。

(2) 生前葬は社会的に普遍性を持ったものではなく、現状ではまだ少ないこと。
生前葬を行う人は著名人ではたまにありますが、一般人ではまだ少ないものです。そのため、生前葬を行うには事前によく検討することが必要です。特に参列者を招く場合には、参列者にとって参列がどのような意味があるのかを考える必要があります。参列者が参列する動機を持ちにくい場合は主催者の自分本位な限界があります。また、生前葬は現状で行われることが少なく、理解されづらい点があります。

(3) 生前葬の目的に関する原点は、自分自身が死と向き合い、生の意味を考え直すことにあります。
人生の転機に関して今までの人生を総括し今後の人生のあり方を模索するものです。
大きな病気をして死を考えた人、交通事故で半身不随になった人、会社経営で倒産を経験した人などはいずれも大きな人生の転機を経験した人です。その転機に際して、人生を見つめ直し現在からの新たな人生の再出発を模索します。

(4) 生前葬の決まった内容や形式はなく、自分の考えで自由に行えること。
自分が生前葬を行う目的により、内容、形式、時期、参列者などを自由に決めます。

(5) 人を招かない一人生前葬もあること。
自分の今までの人生を総括し今後の人生のあり方を模索することが目的であれば人を招かなくても可能です。いわば一人生前葬です。
一人生前葬であれば、人に迷惑を掛けずに、自分の納得する方法で、自分自身の気持ち本位で可能です。場所も自由で、富士山に登り行っても、人生の最後に行ってみたい観光地で行っても、終の棲家の自宅で行っても良いでしょう。行う時期は全く自由です。

6.自分が生前葬を望む時の3つのポイント

(1) 何のために生前葬を行うのか
自分自身の生前葬のキッカケ、目的を考えます。また、参列者を呼ぶ場合は参列予定の家族などの意見を聞きます。

(2) 生前葬をどのように行うのか
生前葬の内容、形式、参列者、規模、費用などを検討します。

(3) 生前葬の内容に従い具体的な準備を検討
ホテルなどの会場を借りて行う場合は予約などを行います。会場などの必要な費用を調べ、参列者を呼ぶ場合は会費方式にするか、会費はいくらにするか、すべて自分の費用で行うのかなどを検討します。

生前葬とはとかく自分本意になりがちです。また、生前葬を行う人は多くはありません。認知度も低く、家族や親族の中には、生前葬は有名人が開くものと考えている人もいるかもしれません。参列者を呼ぶ場合は、周囲の理解を得るまでには時間と労力がかかるかもしれません。