意外と知られていない「喪主と親族の間で生じやすいトラブル」について

~トラブルが生じるポイントを詳しく解説~

人が亡くなってから葬儀が終わるまではさまざまなことが起こります。
葬儀に関しては映画が一本できるほど、すんなりスムーズに進むわけではなく、トラブルも生じます。
人の死という非日常的な場に年代も様々な親族が集まるわけですから、揉めるのも頷けます。
そこで、喪主と親族の間で生じやすいトラブルとそれを避けるための方法についてお話ししたいと思います。

トラブル①遺産相続に関するトラブル

人が亡くなると、すぐに通夜や葬儀の打ち合わせが始まり、通夜や葬儀、火葬を執り行います。
早ければ葬儀の打ち合わせの段階から遺族や親族が集まり、その後も何度も顔を合わせます。

式典中は私語を慎みますが、通夜の開始を待つ間の控え室や式典後の会食の時間、火葬場へ移動する車中などでは親族同士が私語を交わすこともあると思います。

葬儀の合間や会食中にはだいたい故人が亡くなったときの状況や、晩年の様子、故人の思い出話などが話題に上ることが多いものですが、故人にまとまった資産がある場合は、遺産に関する話題が上ることもあります。

葬儀の場は故人の法定相続人が集まる場でもありますし、遠方に住む親族も来ます。
こんなにたくさんの親族が一堂に会することはあまりありませんので、遺産について話すにはちょうどいい機会とも言えます。

ただ、遺産に関する話題はとかく揉めがちです。

遺産に関しては法律で配分が定められていますが、故人との間柄が遠くても家が近くて故人の日常生活の手助けをしていたり、介護を手伝ったりしていると、法で決められた配分では納得できないと感じることがあります。

親族の中に「あの人にこんなに多くの遺産が渡るのは腑に落ちない」と言われている人もいるかもしれません。

遺産に関して話し始めると、そういった不満が噴出するおそれがあります。

親族がみんないますので、遺産の話をしたり、自分の言い分を主張したりするにはいい機会と思うかもしれませんが、葬儀はあくまでも故人を送り出すための大切な儀式の場です。
親族は故人を見送るために集まったはずです。

そんな大切な場で遺産の話をして、しかも遺族や親族が揉めるなんてもってのほかです。
遺産相続に関する話は、後日、別に場を設けてするようにしましょう。

もし、話題が相続に関する方向に向かっていたら、喪主や遺族は故人の思い出話へと誘導するようにします。
故人のお金の話になったら、その財を築くためにどんな苦労があったのか故人のきょうだいにきいてみたり、故人の所有する土地の話になったらその土地は今どのように活用されているのかきいてみたりして、話をそらしていきましょう。

年長者は昔の話が好きな人が多いものです。
喪主や遺族は思い出話にシフトさせると、故人の知らない一面がたくさん見えてくるかもしれません。

トラブル②葬儀の費用に関するトラブル

葬儀の費用に関しては喪主が負担し、葬儀の内容も喪主が決めるのが一般的だとされています。
ただし、喪主が一人で全額を負担するのが難しい場合は、きょうだいや親族で分担することもあります。

葬儀の費用を分担することになったときに、誰がどれぐらい負担するのかなどで揉めることがあります。金銭に関するトラブルは揉めやすく、後々まで尾を引くことも多いものです。

また、葬儀の内容に関して「この程度の費用は出すべき」「これぐらいの規模にするべき」と親族から口出しされることもよくあります。

葬儀は、規模や内容によって費用が大きく変わります。
みんなの言うことを聞いていると、やたらと豪華な葬儀になったり、逆に簡素すぎる式になったりします。

また、親族と揉めてまで喪主の独断ですべてを決めることはできません。
どの程度の規模の葬儀をするかなどのイメージは、事前に親族と話をして了解を得ておく必要があります。

喪主が故人の子供の場合、故人の兄弟姉妹つまり喪主にとっての叔父や叔母(もしくは伯父や伯母)のほうが年上で発言力が大きいことがあります。
年長者のほうが葬儀に関するしきたりに詳しいことも多いでしょう。
そのため、喪主とほかの親族の間柄によっては、年長者の意見に従った方が丸く収まることがあります。

喪主自身に葬儀に対するこだわりがあまりない場合は「喪主はお金を出すだけ」と割り切って、葬儀に詳しい親族に内容などをすべて決めてもらい、金額はすべて喪主が負担するようにするのも良いでしょう。

自分の死後、喪主と親族が揉めないようにするためには、自分で葬儀の内容や規模を決めて親族に伝えること、エンディングノートに書き残すことも良い方法です。
そして、葬儀にかかる費用をあらかじめ喪主に渡しておくか、何らかの形で残しておくかすると喪主はとても助かると思います。

トラブル③オリジナル葬でのトラブル

最近は、葬儀も自分や故人らしく執り行うことが増えてきて、オリジナルの葬儀を営んだり、小規模な家族葬を行ったりすることも増えてきました。

オリジナルの葬儀は、従来の葬儀では考えられないような明るい雰囲気のなかで故人を見送り、立食パーティー形式をとることもあります。
また、家族葬は遺族と限られた親族だけで執り行う、小規模な葬儀です。

親族のなかにはオリジナル葬に対して抵抗を感じる人もいると思います。
大勢の人に参列してもらい、読経と焼香をして、しめやかに静かに執り行うものと思う親族にとっては、明るい葬儀は受け入れがたいものだと思います。
その気持ち自体を否定することはできませんし、不謹慎だと感じる年長者がいても不思議はありません。

また、家族葬に呼ばれなかった親族から後からお叱りを受けることもあるでしょう。
「自分も見送りたかった」という気持ちは理解できます。
葬儀に参列して見送ることで気持ちに区切りがつくこともありますので、参列できないままだと気持ちがモヤモヤすることもあると思います。

オリジナル葬や家族葬をしたあと、親族の強い要望に従ってもう一度葬儀を執り行ったというケースもあります。
何度も葬儀をするにはお金もエネルギーも使いますが、そうしないと丸く収まらないこともあるのです。

自分の葬儀をオリジナル葬や家族葬で執り行いたい場合は、喪主になる人と家族や親族にきちんと話をしましょう。
従来の葬儀を否定しているわけではないこと、死を軽く扱っているわけではないこと、パーティーのような葬儀だとしても不謹慎だとは思わないでほしいこと、などを話して納得してもらうことが大事です。

また、家族葬に呼ばない親族がいる場合も事前に了承をしてもらう必要があります。
遠方だったり故人との間柄が遠すぎたりすると、葬儀に参列するかどうか迷うこともありますので、事前に参列しないことがわかっていることで気が楽になる親族もいるかもしれません。
家族葬に呼ばない親族には、故人の死を伝えて香典やメッセージだけを受け取るという形にするなど事前に決めるほうがお互いにスッキリすることもあります。

トラブル④親族の取り扱いに関するトラブル

葬儀では親族の序列のようなものが大事になる場面がいくつかあります。

座る順番、焼香の順番、会食での席順、移動するときの車の座席の位置、など、基本的には葬儀会場のスタッフの指示に従いますが、親族の間で「なんであの人のほうが私より先なの!?」という声が上がることがあります。

続柄だけで判断できることだけではないこともあるものです。
親族間で不満が出ないように、親族間の空気感で判断する必要も出てきます。
喪主ひとりで決められない場合は、年長の親族に意見を仰ぐことも大事になります。

また、「子供一同」「孫一同」などの名前で花やお菓子を供えることもあると思いますが、この名前で揉めることもあります。
故人の娘が結婚している場合、その娘の名前で供花を出すと「娘の夫の名前で出すべきではないか」と言われることがあります。
どちらが正しいというわけではありませんが、「結婚したら夫を立てるもの」という考えが根強い親族がいると揉める元になります。

親族の順番や席順、供花の名前なども揉める原因になりますので、喪主ひとりで決めずに他の親族とも話をしながら決めていきましょう。

トラブル⑤葬儀の風習や慣習が異なる

葬儀では出身地や暮らしている地域が違う親族が集まります。
地域ごとに葬儀の風習や慣習が異なりますので、葬儀の内容や進め方によってはトラブルになることがあります。

通夜で遺体に一晩付き添う夜伽の作法や、焼香の手順などは地域によって違います。
自分の地域の風習で行なったときに親族から「そのやり方は違う」と言われる可能性があります。

一般的には葬儀を行う地域の風習に従うのが一般的ですが、年長の親族がいる場合はそちらの指示に従った方が丸く収まることもあります。

喪主のほうが年下の場合は年長者の意見を聞きながら葬儀を進めることが大事なときもあります。

喪主と親族間のトラブルを回避するためには?

喪主と親族が揉めるのは、喪主よりも親族のほうが年上で立場が上の状態のときに起こることが多いものです。
小さい頃から面倒を見てきた自分の甥っ子が喪主となった場合、心配であれこれ口出ししたくなる親族もいると思います。

また、年長の親族にしてみたら年下の喪主が一人で何もかも決めてしまうと面白くないこともあるかもしれません。

葬儀に何度か参列していても、喪主となると、することも多く戸惑うことがたくさん出てきます。
初めて喪主を務める人にとっては年長の親族に意見を仰ぎたくなることもあるでしょう。

喪主がひとりで何もかも負担しようとして、頑なになりすぎると他の親族の反感を買うこともあります。
ひとりで判断できないことや、ひとりでは決められないことがあったら、どんどん周りの親族に相談してみましょう。
ひとつの葬儀をみんなで考えて作り上げるなかで、年長の親族が年下の喪主を見守る構図ができることが理想だと思います。

葬儀は故人と最後のお別れをする大事な儀式ですので、その場で親族同士が揉めるのはとても悲しいことです。
静かに故人の死を悼むことができるように、親族同士で揉めないように、話し合って折り合いを付けながら葬儀を進めていくことが大切です。