亡くなってから葬儀が終わるまでにかかるお金

~自分に合った葬儀をお金の視点から考えてみましょう~

はじめに

この10年ほどのあいだに終活という概念が一般的になり、自分や親の葬儀について考える人が増えています。ひと昔前は死や葬儀に関することはタブーとされ、あらかじめ形式を決めておいたり、家族で話し合ったりするものではありませんでした。

しかし昨今、自分の葬儀やお墓の希望をエンディングノートに書き残したり、予算に合わせた葬儀プランを事前に調べたりするのは、当たり前になっています。 自分の死後のことは誰かに託すことになり、葬儀に対する希望があれば、かかるお金は大きな問題です。

この記事では、亡くなってから葬儀を終えるまでに発生する費用について、詳しく解説することにします。

葬儀にかかるお金の内訳

亡くなってから葬儀が終わるまでにかかるお金

葬儀にかかる費用は、①葬儀一式費用、②飲食接待費用、③宗教者への御礼、の3つで成り立っています。

①は葬儀の施行にかかる費用の総額で、葬儀社への支払いの大きな割合を占めます。

②は、葬儀に参列した人に対する接待費用です。参列者の人数、料理や品物のランクにより差が生じます。

③は仏式では「お布施」、神式では「ご神饌料」、キリスト教式では「献金」といわれるものです。これらは謝礼ですので、葬儀社への支払いには含まれません。また謝礼という性質上、定価もないため、金額がわからないときには直接尋ねても失礼にはあたりません。

では、それぞれに含まれるものと金額を順番に記載してゆきます。

① 葬儀一式費用

* 葬儀基本セット:20万円~100万円ていど(上限は特にない) 基本セットに含まれるものは以下のとおりです。 会場祭壇/枕飾り一式/棺用布団/白木位牌/仏衣・装具一式/受付事務用品/受付設備/焼香設備/式場内外看板一式/式場案内看板設置/自宅飾り(忌中灯、玄関飾り、室内幕飾り)/儀式運営係員(1名)/枕花用生花1対/火葬用生花1対/お別れ花/ドライアイス10㎏/自宅・会場用ろうそく、線香 * 棺桶:3万円~50万円 (基本セットに含まれる場合もある) * 遺影写真:2万円~5万円 (基本セットに含まれる場合もある) * 車両 寝台車・霊柩車:2万円~(走行距離、車両タイプ、時間帯で変動) マイクロバス:4万円/台 ハイヤー:3万円/台 * 火葬費用 火葬代:無料~数万円(公営)、5万円~(民営) 待合室使用料:5,000~ (自治体、火葬場により異なる) * 収骨容器(骨壺):1万円~5万円 (基本セットに含まれる場合もある) * その他追加となるもの(オプション) 祭壇供物:1万円~ 受付セット追加:5,000円~ テント:4万円/1張 メイン看板:1万円~ 案内看板:5,000円~ 冷暖房費:5,000円~ プロ司会者:5万円~ 湯灌:5万円~ ドライアイス追加:8,000円~

② 飲食接待費用

* 通夜後の会食(通夜ぶるまい):3,500円~/1名 * 葬儀後の会食(精進おとし):3,500円~/1名 * 飲み物:500円~/1名 * 配膳人:1万円程度(料理代金に含まれる場合もある) * 火葬場待合室での飲食代:1,500円~/1名 * 返礼品:500~1,000円 * 即日返し:2,000円~3,000円 * 会葬御礼状:8,000円~/100枚

③ 宗教者への御礼

* お布施:10万円~100万円 * お車代:1万円~

以上が葬儀にかかる費用のあらましになります。葬儀基本セットは、葬儀社により「プラン」や「パッケージ」の名称でランクわけされることもあります。注意点は、セットのなかで使用しないものがあっても、割引の対象にはならないことです。

したがって、パッケージ型かフリーチョイス型か、どちらが適正なのかは、葬儀を挙げる人の判断になります。 パッケージ型は、含まれる品物やサービスが多く、使用されるものが高級であるほど料金は高くなります。依頼の際には、基本セットの内容をじゅうぶん検討し、どのセットが適切かを決めるようにしましょう。

葬儀の形式

亡くなってから葬儀が終わるまでにかかるお金

昔は葬儀といえば、家族、親族はもとより、友人・知人、町内会や自治会、仕事関係の人たちなどが参列するのが一般的でした。しかし近年は、お葬式もお墓も簡素化する傾向にあります。少子高齢化や一人暮らしの高齢者が急増していることが背景にあります。

ここでは、現在行われている葬儀を①一般葬、②家族葬、③直葬(火葬式)の3つのタイプにわけて、それぞれの特徴と費用をご紹介します。

① 一般葬 

50万円~上限なし ほとんどの人になじみのある葬儀形式で、会葬者を遺族や親族に限定せず、友人・知人、仕事関係の人、近隣の人たちにも広く知らせます。

よって、人数や会場の大きさで金額が大きく変わります。また、豪華な祭壇を使ったり、特別な花を用意したりすると当然費用は高額になります。参列者が大勢の場合は、自宅と会場、会場と火葬場の移動にマイクロバスなどを依頼することもあり、利用すれば費用に加算されます。 一般葬は50万円台から施行可能といわれますが、費用を惜しまなければ上限はありません。

② 家族葬 

10万円~140万円 亡くなる人が高齢化して参列者が減少したり、地域の付き合いが希薄になったりしていることで、都市部を中心に家族葬が増えています。家族葬は、会葬者を遺族や親族、親しくお付き合いしていた人に限定して行う葬儀です。

ひとくちに家族葬といっても、家族のみ、親戚も含める、友人も含めるなど、お呼びする範囲はさまざまです。共通しているのは、子どもの仕事関係の人などの、故人とは直接かかわりのない儀礼的な参列者を含まないことです。

家族葬の費用は参列者を限定するため、一般葬よりも少なくなります。金額帯の幅は広く、10万円台から行うことができますが、100万円をこえることもあります。中心金額帯は40万円ほどです。 参列者を限定するので、葬儀にかかる費用のうち、特に飲食接待費は一般葬よりも抑えることができます。祭壇や棺桶、骨壺、花などを豪華、高級なものにしたい場合は費用が高くなりますし、家族葬もどのような葬儀にしたいかにより、かかる費用は変わります。

③ 直葬 

10~20万円 直葬は火葬式ともいわれ、通夜や告別式を行わず、親しい身内だけで火葬のみを行うものです。基本的に読経も行いません。近年は従来の葬儀の形にこだわらない人が増え、シンプルで小規模な葬儀を希望する人も多くなりました。 また、亡くなる人が高齢化して、兄弟姉妹や友人も亡くなったり認知症や寝たきりの状態になったりしていることもあり、想定される参列者がほとんどいない場合もあります。

負担するのは火葬にかかる費用のみで、棺、ドライアイス、収骨容器(骨壺)は最低限必要です。火葬場の使用料は、地域により異なります。 火葬式の需要増大に応じ、火葬式料金プランを設定している葬儀社もあります。他のプランと同様、プランに含まれるものをすべて使用しなくても、金額が割り引かれませんので、セット料金と、必要なものだけを個別に依頼する料金とを比較することをお勧めします。 直葬は、葬儀に必要なものが少ないため金額帯の幅も狭く、10万円~20万円と考えておけば十分でしょう。

ちなみに、東京23区の火葬場はほとんどが民営で、公営斎場に比べて10万円前後高くなります。火葬をするだけでも8万円、休憩室代や心づけ、火葬中の飲食代まで含めると12万円ほどになります。地方の公営斎場では無料から1万~2万円程度ですので、大きな差があります。

葬儀社の選び方

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納得のゆく、後悔をしない葬儀を執り行うには、葬儀社選びがもっとも重要です。以前利用したことのある葬儀社が気に入っていれば、同じところに依頼するのもよいでしょう。

事前に葬儀社を決めていない場合には、複数の業者の比較検討を行います。今はインターネットで検索することができますので、候補を絞り実際に電話やメールなどで見積もりを依頼しましょう。

<葬儀社を選ぶ手順>

  1. 「葬儀社 地名」でネット検索する
  2. 3社くらいに候補を絞り込む
  3. 各社から見積もりを出してもらう
  4. セット内容や価格を検討し、疑問点は小さなことも質問して解決しておく

葬儀費用に含まれる、祭壇やお棺、骨壺などは、私たちの日常生活とはかかわりがないものです。また、葬儀を挙げる経験も一生に何度もあるわけではありません。いざ葬儀に直面すると必要なものは数多くあり、それぞれが適正価格なのかを判断するのは、慣れない人には難しいことです。

そこで、複数の葬儀社から見積もりを出してもらうことが大切です。そうすることで、おおよその適正価格や相場というものがわかってきます。見積もりを検討する際はひとりではなく、複数人で行うことをお勧めします。また、葬儀のやり方は地域の風習による差異が大きいため、葬儀社は地元密着の会社を選ぶのが無難です。

葬儀費用を低く抑えるには

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さまざまな事情で、葬儀費用を低く抑えたい場合があります。葬儀の総額を高くするのは容易で、高級といわれるランクの高いものを多く購入すれば自然と高額になります。

ただ、本当にその必要があるのかどうかは、葬儀を挙げる人の価値観によります。ひと昔前のような盛大なお葬式ではなく、コストを抑えながら、しかし必要なものは取り入れたいという人に、葬儀費用を抑えられる方法をいくつかご紹介します。

■会葬者を絞る

会葬する人が多くなると、式場費、飲食代、香典返しの費用が高くなります。大きな規模の葬儀では相応の広さのホールが必要ですし、大きなホールにはふさわしいサイズの祭壇があります。「規模の大きな葬儀」イコール「高額な葬儀」、と思って間違いはありません。会葬者を限定する家族葬や直葬(火葬式)にすることで、葬儀代金の縮小をはかることができます。

■単価を下げる

葬儀費用の内訳は①葬儀一式費用、②飲食接待費、③宗教者への御礼、から成り立つことは先述したとおりです。

①の葬儀一式費用のなかにはホールの使用料や、祭壇、棺、骨壺、花、など価格帯の広いものが多く含まれています。それらの単価を下げることで、総額を抑えることができます。 セット料金(パッケージ料金)の場合はひとつ下のプランに下げてみると、かなり金額が変わります。

②の飲食接待費は1人分の料理の金額を下げる、返礼品のランクを1段下げるだけで、費用が抑えられます。

③宗教者への御礼は、御礼という性質上、本来は価格がないものです。金額を直接尋ねることは失礼にはあたりません。ただ、提示された金額に対して「自分たちの収入に対しては高すぎる」「支払える範囲をこえている」と判断した場合は、交渉することも可能です。

■無宗教葬にする

葬儀費用のなかで、宗教者への御礼は10万円から100万円と金額の幅が大きく、上限近くの額を払うとなると負担に感じる人も多いでしょう。直葬(火葬式)にする、家族葬でも無宗教式にすることで、宗教者への御礼をいっさい省くことができます。

ただし、寺院に墓地がある人の場合は「戒名をつけて葬儀をしないと墓には入れない」といわれるケースがありますので、この方法はあまり勧められません。

■その他

ご遺体の搬送は葬儀社の車両を使うとして、参列者の移動には出せる人が自家用車を出す、僧侶の送迎もハイヤーではなく自分の車で行うなどで、費用を抑えることができます。

要は、自分たちでできることをすれば、総額から費用をカットしてゆくことができるというわけです。

まとめ

50歳代から60歳代になると、そろそろ親の葬儀を視野に入れる人が多くなります。葬儀は参列する側と執り行う立場では違いますが、もし葬儀に参列する機会があれば、少し意識して会場設営や料理などを見ておくと、自分が喪主や喪家となったときのイメージがわきやすくなります。

今は、インターネットでかなりの情報を得られる時代です。普段から葬儀に関するさまざまな知識を得ていれば、いざというときに慌てなくて済むでしょう。葬儀の費用はとてもわかりにくく、葬儀社の基本セット(プラン、パッケージなど呼び名はそれぞれ)だけでは収まらず、追加料金が発生しやすいものです。複数の葬儀社から見積もりを出してもらうことは、最小限必要です。

「終活ライフ」では、他にも葬儀の紹介記事を掲載していますので、ぜひ参考してください。