子どもに負担をかけない墓選び

~子どもとよく話し合うことで解決できるかもしれません~

お墓にかかる費用とは?

子どもに負担をかけない墓選び

昔は、お墓の管理やお参り、お墓にかかる費用などは兄弟姉妹が分担して負担してきました。 お参りや掃除に行けない分お金を多く出したり、順番にお墓の掃除をしたりしていたので、兄弟姉妹が多かった時代は誰か一人だけが大変だということはあまりなかったのです。

しかし現在は、少子化によって負担を分担することが難しくなりました。 お墓を引き継いだ人がお参りと掃除、そしてお墓にかかる費用をすべて負担することもあります。

お墓を引き継いだり、お墓を建てたりすると意外と費用がかかります。 また、お墓を管理するためにはしなくてはいけないこともたくさんあります。 親世代は先祖代々のお墓を引き継いで守ってきましたが、大変なのを知っているために子供世代には負担をかけたくないと考える人も増えてきています。

では、まずお墓にはどれぐらいの費用がかかるのかについて説明します。

先祖から引き継いでいるお墓がない場合、親世代が亡くなったら子供が新しくお墓を建てることになります。

お墓を新しく建てるときには以下のような費用がかかります。 ●墓石代 墓石そのものの値段です。 平均150万円程度で、使う石の種類やサイズによっては200万円を超えることもあります。

●永代使用料 墓石を建てた部分の土地を使用するための料金で、面積や地域によって金額は異なります。 地方だと60万円ほどですが、都市部だと200万円近くかかることもあります。

●管理料 お墓を管理してもらう管理料で、年に数千円~1万円程度です。

●供養代、お布施 お墓に納骨する際、仏様の魂を入れる「開眼供養」という供養を行います。 このときに支払うお布施は3~10万円が相場です。

●その他の費用 ・入壇料:新しく檀家になる場合に支払うお金です。 ・お布施:法要を行う場合に支払います。 ・寄付金:寺院や霊園が募る寄付金です。 必ず支払う必要があるわけではありませんが、今後の付き合いのためには支払ったほうがいいお金と言われています。 ・護寺会費:寺院を維持するためのお金です。 ・お供え:お墓参りに行くときに持って行くお線香やお供えのお花に関するお金です。

これらの費用は親が支払ったり、遺産の中から支払ったりするのが理想ですが、そうでない場合は喪主及び子ども世代が支払うことになります。

子ども世代に兄弟がいる場合は、兄弟で負担をすることもありますが、お金に関わることは揉めることもありますので、事前にきちんと話し合う必要があります。 子ども世代のなかの誰か一人が支払う場合は、他の兄弟はお祝いとしてお金を包むなどして、なるべく平等になるようにすると良いでしょう。

このように、新しくお墓を建てるときは費用がかかります。 また、今あるお墓を引き継ぐ場合も管理費や維持費などがかかります。

親世代に比べると子ども世代は寺院との付き合いが希薄ですので、だんだんお墓やお寺から遠のいてしまうのではないかと不安に感じる親世代が増えています。

また、子どもが結婚しなさそうだったり、一人娘が嫁いでしまったりすると引き継ぐ人が将来的にいなくなってしまうと考える親世代もいます。

お墓を建てるときや維持していくときにお金がかかること、管理していくのにお金も手間もかかることなどを考えると、お墓の在り方を今一度考え直す方も多いでしょう。

子どもに負担をかけないお墓とは?

子どもに負担をかけない墓選び

では、実際に子供に負担をかけないお墓にはどのようなものがあるのでしょう。

お墓を建てることも、お墓参りや掃除に通うことも難しい場合は、埋葬方法や供養の方法を変えることが可能です。

いま実際にお墓があって埋葬方法や供養の仕方を変える場合は、お墓を撤去して遺骨を取り出してから別のところに埋葬することになります。 お墓を撤去することを「墓じまい」と言いますが、墓じまいをするにあたっては供養や撤去に関する費用がかかります。 また、寺院や霊園との手続き、行政手続きなども必要になります。

そして、供養と手続きをしてお墓から遺骨を取り出してから別のところに埋葬しますが、従来のお墓以外の埋葬方法としては以下のようなものがあります。

●子どもが選んだ霊園に埋葬する。 最近、公園や庭園のような霊園が増えてきています。 従来の墓地の「暗い」「怖い」というイメージとは違い、明るく開放的な霊園だとピクニック感覚でお墓参りをすることができます。

ライフスタイルの多様化により、家や暮らし方などを洋風にしている子ども世代は新しいタイプの霊園を選ぶこともあるかと思います。 もし、その霊園のお墓に親世代も埋葬できるとしたら子ども世代の管理の負担は軽減されます。

●永代供養 永代供養とは、寺院や霊園に永代にわたってお墓の管理と供養をしてもらう方法のことです。

墓じまいをしてから永代供養に対応している霊園に埋葬し直して、その霊園に管理料を支払って永代供養をしてもらいます。

ただ、「永代」というのは「永久」ということではなく、一定の期間を経て特別な供養をして、その後は他の遺骨と一緒に埋葬されて合同供養となります。

●散骨、自然葬 散骨とは、山や海、故人の思い出の場所などに粉状にした遺骨を撒く方法です。 そして、自然葬には霊園のシンボルツリーの根本に遺骨を埋葬する「樹木葬」や、専用のカプセルにいれた遺骨をロケットで宇宙空間に放つ「宇宙葬」などがあります。

永代供養や散骨などをするとお墓参りをする必要はなくなります。 ただ、遺骨を撒いてしまうと遺骨を手元に取り戻すことはできなくなります。 また、永代供養でも合同供養になった後は、故人ひとりだけの遺骨を取り出すことはできなくなります。

将来、子ども世代が別のお墓を建ててそこに親の遺骨を納骨したいと考えている場合、今はわからないけど将来的にそうなるかもしれないと思う場合は、永代供養や散骨はおすすめできません。

その場合におすすめなのは手元供養です。 手元供養とは、お墓から取り出した遺骨を自分の好きな骨壺に収めて自宅で保管する方法です。 手元供養に最適な骨壺と小さな仏壇もたくさん売られていますので、好きなデザインのものを選んで自宅の好きな場所に置いて供養を続けることができます。

仏壇を構えなくても、骨壺にお水とお花を供えて手を合わせればそれは立派な仏壇になります。 子ども世代の家からお墓が遠くて通うのが大変な場合は、自宅での供養がおすすめです。

また、遺骨を加工してアクセサリーを作って身に着けるのも手元供養の一つと言えます。 自宅で故人を供養したり、身に着けたりすることでいつでも故人を身近に感じることができます。

手元供養をする人も増えてきていますが、子ども世代が親世代の遺骨を自宅にを置いて供養をする場合は同居している家族の気持ちに配慮することをすすめましょう。 単純に自宅に遺骨が置かれることに抵抗を感じる人がいるかもしれません。 また、子どもにとっては実の親でも子どもの配偶者にとっては義理の親ですので、心情的に受け入れがたい人もいるかもしれません。 その気持ちは否定されるものではありませんので、話し合いをして合意を得てから置くようにすると良いでしょう。

また、手元供養をして遺骨を手元に置いている場合は、管理している人の死後にその遺骨をどうするかについて家族に伝えておくことも大事です。 親の遺骨を自宅に置いて手元供養をしている場合、管理している本人が亡くなったら本人の遺骨と一緒に親の遺骨を埋葬する人が多いようです。

お墓は必要ないもの?

子どもに負担をかけない墓選び

先祖代々のお墓を引き継いだ場合、維持や管理をしていくのは大変です。 子ども一人で引き継いだ場合は、負担も一人で背負うことになりますのでなおさら大変です。

お墓を撤去して違う方法で埋葬したり、管理を寺院に頼んだりする気持ちは決して否定できないものですが、「お墓は必要ない」とも言えないと思います。

私は昔から母方と父方、両方のお墓参りをしてきました。 両方とも和型の墓石で、「お墓」と聞いてイメージするお墓そのもののお墓です。

母方の実家は典型的な田舎で、山沿いにお墓があります。 春は菜の花が咲き、秋は彼岸花が咲きます。 夏にお墓参りをしたとき、墓石にカエルがちょこんと乗っていてそっと水をかけたこともありました。

私は、「お墓参り」と聞くと、ジリジリと暑かったお盆と、少し涼しくなった秋のお彼岸、菜の花の道を歩いていった春のお彼岸など、いろいろな光景を思い出します。 お墓の前で普段あまり真面目な話をしない親戚のおじさんが「この時代にしては洒落たジイサンだったな」とぽつりと言ったことに新鮮さを感じたこともありました。 年々、親戚の中に小さな子供が増えてきて、見よう見まねで小さな手を合わせる姿を見てジーンとくることも増えました。

お墓はいろいろな人の思いとともに日本の行事を引き継ぐものでもあると思います。 維持や管理は大変ですが、だからといって不要なものだとは言い切れないと思うのです。

また、お墓は誰か一人の意見で簡単に撤去できるものでもありません。 親世代は「子どもに負担をかけたくない」と思っていても、子ども世代は負担に感じない可能性もあります。 手を合わせるよりどころとして、お墓は存在していてほしいと願っているかもしれません。

お墓が家の近くにあることに不便を感じている場合は、お墓の墓石をそのまま違う墓地に移動させる方法もあります。 これを「改葬」と言いますが、家から近くて通いやすいと負担が軽減するのなら、この方法を選ぶのも良いでしょう。

今後のお墓の在り方は、親世代の思い込みだけで決めるのではなく、親子で話し合って決めていくことをおすすめします。

まとめ

子どもに負担をかけずに埋葬をしたり供養をしたりする方法はいくつかあります。 埋葬方法や供養の仕方を変える場合は、今のお墓を撤去する必要がありますが、一番大事なことは供養をしたいという気持ちです。 お墓の形は変わっても、それによって供養し続けられるのならそれはとても良いことです。 終活の一環として、今後の供養の在り方について親子でぜひ一度話し合ってみてください。