いまどきのお墓事情

~時代と共に変化するお墓の話~

オリジナリティや自分のセンスが尊重されている現代、お墓事情も大きく変わってきています。
お墓がどのように変わっているのか、なぜお墓事情が変わってきているのか、自分もお墓を変えるとしたらどのようにしたらよいのか、などについてお話しいたします。

今、お墓はどのように変わっている?

日本では、人が亡くなったら火葬して、先祖代々受け継がれてきたお墓に遺骨を納めるのが一般的です。
そして、子孫がそのお墓を守っていきます。
お墓に関する慣習やしきたりは、これからも変わることなく続くと思っていましたが、最近ではお墓事情にも変化が出てきています。
そこには、埋葬の仕方やお墓に対する考え方の変化が関係しているのです。
では、どんな変化が出ているのかについてお話しします。

いまどきのお墓事情

●墓石の形の変化
「お墓」という言葉からイメージするのは縦長で黒かグレーの石で作られた、いわゆる和型のお墓だと思います。
ところが今は和型のお墓ではなく、洋風の墓石やオリジナルの墓石を選ぶ人が増えています。
洋風の墓石は、和型の墓石よりも明るい色の石を使っており、横型で背の低いタイプが多いお墓です。
オリジナルの墓石は、故人の好きだったものをかたどったり、故人のイメージに合った形にしたりします。
和型の墓石とはデザインや形が大きく違い、色や材質も違うため、和型の墓石とは雰囲気が大きく変わります。
洋型のお墓やオリジナルのお墓は、素敵なデザインの墓石がたくさんあるため、自分の好みの墓石を選ぶ人が増えてきているのです。

●埋葬場所の変化
和型ではなく自分の好みの墓石を選んだ場合、従来の寺院にはお墓を建てられないことがあります。
そんなときは、雰囲気の合った霊園にお墓を建てることになります。
今は庭園のような霊園や、公園のような霊園など、墓地のイメージを覆すような明るい霊園が増えてきています。
明るい霊園だと、ピクニック感覚でお墓参りをすることができますので、家族もお墓へ行くのが楽しくなります。
そのため、墓石を選んでから霊園を選ぶのではなく、先に気に入った霊園を選んでから墓石を選ぶことも増えています。

●墓石を建てるか建てないかの選択
墓石があると、残された家族はお墓参りをして墓石をきれいに保ち続ける必要があります。
そのため、墓石自体を建てない選択をする人が増えてきています。
「すでにあるお墓を処分する」「引き継いでいるお墓がない場合はもう新しくお墓を建てることはしない」など、家の事情や管理する人の意志によって墓石を持つか持たないかの選択をします。

●お墓以外に埋葬をする。
現在は、お墓を建てずに埋葬する人も増えてきています。
お墓以外に埋葬する場合は、以下のような方法で埋葬します。

いまどきのお墓事情

①散骨や自然葬
散骨とは、火葬した後の遺灰を海や山に撒くことを言います。
そして、自然葬とは、霊園の中の樹木の根本に遺灰を埋葬する「樹木葬」や、ロケットで宇宙に散骨する「宇宙葬」など、バリエーションは様々です。
散骨に関する法律は特にありませんが、どこにでも散骨していいというわけではありません。
私有地を避けたり、近隣の人の迷惑にならないようにしたりする必要があります。

②手元供養
遺骨や遺灰を好きな骨壺に入れて自宅で供養をする方法です。
自宅で供養する場合は、遺骨ぜんぶを自宅に置く方法と、お墓に納めた後に一部を自宅に置く方法とがあります。
遺骨をお墓と自宅とに分けることに対して、故人の身体がバラバラになるような気がして抵抗を感じる方もいるかもしれませんが、宗教上は問題ないと言われています。
今は、部屋に置けるコンパクトな仏壇や、小さくてかわいい骨壺がたくさんあります。
仏壇も骨壺もデザインが豊富ですので、好きなものを選んで自宅の部屋で供養する方が増えています。
また、遺骨をアクセサリーに加工して身に着けるのも手元供養の一つです。
自宅で供養をするといつでも好きなときにお参りができますし、身に着けることで故人を身近に感じることができます。
そのため、手元供養を選ぶ人が増えてきています。

いまどきのお墓事情

③納骨堂
納骨堂とは、遺骨を納めるための屋内施設のことです。
ロッカータイプ、仏壇式、施設内に墓石を置くタイプなど様々なタイプがありますが、どのように供養をするかは納骨堂によって違います。

お墓の形や供養の仕方を変えるためには?

お墓を引き継ぐ子孫がいない場合や、管理をする人が遠方に住んでいてお参りや管理が難しい場合などは、お墓の形や供養の仕方を変える必要も出てくると思います。
もし引き継ぐ子孫や管理する人がいない場合、誰にも管理されないお墓はいずれ、無縁墓になってしまいます。
そうなると、管理している寺院や霊園が墓石を撤去して、同じく無縁になっている他の遺骨と一緒に合同供養されることになります。
今のお墓を管理し続けるのが難しい場合は、管理しやすい供養方法を選んで今のお墓を処分するか、管理しやすい場所にお墓を移すか、どちらかをする必要があります。

①墓じまい
墓じまいとは、墓石を撤去して墓石が建っていた土地を管理していた寺院や霊園に返すことを言います。
新しいお墓を建ててそこに埋葬をする場合は、今のお墓を墓じまいして新しいお墓に埋葬し直します。
また、手元供にするなど、供養の方法を変える場合も今のお墓を処分して遺骨を別の場所に移して供養を続けます。

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②改葬
改葬とは、今のお墓の墓石はそのままで、墓石を建てる場所を変えることを言います。
いわゆる墓石の移動であり、引っ越しというイメージでしょうか。
今のお墓を管理している人が遠方に住んでいて管理が難しい場合、墓石を管理する人の家の近くの寺院や霊園に移す場合は改葬となります。
どちらも、墓石から遺骨を取り出すときと、新しい墓石に遺骨を納めるときには供養が必要になります。
また、お墓の場所が変わるため、今のお墓の管理者の許可証と新しいお墓の管理者の受け入れ証が必要になります。
そして、遺骨が違う市町村に移る場合は、行政の手続きが必要にもなります。
退出届と転入届のようなものですね。
手続きはいろいろ大変ですが、お墓や遺骨に対する大切な手続きです。

なぜお墓事情が変わってきているのか

では、なぜお墓にまつわる事情が変わってきているのでしょうか。
そこには各家庭の事情もありますが、大きく分けると以下のようなものが考えられます。

●子孫に迷惑をかけたくない
お墓の管理はなかなか大変です。
お参りをしたりお墓の掃除をするほか、寺院や霊園に管理料を支払ったり、その寺院や霊園の管理者との付き合いがあったりもします。
お墓が近いと頻繁にお墓にも行けますが、お墓が遠方だと本当に大変です。
そのため、そのような負担を子供に負わせたくないと考えて、墓じまいをして子供世代が管理しやすいお墓に変えていく方が増えています。

●選択肢が増えている
日本では、亡くなったら火葬をして家族と同じお墓に埋葬するのが一般的でした。
冠婚葬祭の中で「葬」に関するしきたりや慣習は、簡単に変えてはいけないイメージもありました。
しかし、現在は「葬」にもオリジナリティを出せるようになってきました。
そんななかで、自分のライフスタイルや自分の好みに合った供養の仕方を知ったら、その方法で供養したいと考えるのは自然なことだと言えます。

●今のお墓を引き継ぐ人の希望
お墓の管理をしているもしくは引き継ぐ予定の子供の希望によって、親世代が墓じまいをしたり改葬したりすることもあります。
*お墓の管理が大変だから、手元供養にしたい。
*お墓が遠いから、家の近くの寺院にお墓を移してほしい。
*好みの墓石や霊園を見つけたから、そこに親世代も一緒に入ってほしい。
などの理由で、親世代が墓じまいや改葬をすることもあります。

現代のお墓事情に合わせる際の注意点

さまざまな事情から今のお墓を墓じまいをしたり、改葬することもあるかと思います。
その際には、注意する点がいくつかあります。

①家族や親族と相談する。
今の墓石を違う形の墓石に変える場合や、寺院ではなく霊園に改装する場合などは、家族や親族みんなが納得している必要があります。
お寺とのお付き合いがある場合、お寺から霊園に移すとなると親族から反対される可能性があります。
また、墓石のデザインを変える場合も、誰か一人の希望だけで話を進めるのはあまり良くありません。
家族や親族がいる場合は、どういう理由で墓石や埋葬先を変えたいのか、変えるとしたらどのようにしたいのか、などをきちんと話し合って納得してもらうことをおすすめします。

②遺骨が返ってこない可能性がある。
墓じまいをしたあと、お墓から取り出した遺骨を散骨してしまうと、遺骨はもう手元には返ってきません。
また、霊園によっては他の人の遺骨と一緒に埋葬する「合同供養」の形を取っているところもあります。
この場合も、後から故人ひとりの遺骨を取り出すことは不可能になります。
散骨や合同供養など、遺骨が戻らない方法で埋葬する場合は、家族や親族ときちんと話をしておく必要があります。
お墓に関しては、今まで通りのお墓で今まで通りの埋葬先でこの先もずっと引き継がれるものだと思っている親族がいるということを考慮に入れることが大切です。
その話し合いの中で、ほかの親族が管理を引き受けてくれることになるかもしれませんし、ほかの願いや案が出てくる可能性もあります。
誰か一人で全部を決めてしまうのではなく、そのお墓に関わる人がいる場合は、関わる人全員に話をすることはとても大切なのです。

お墓や遺骨は、宗教的な意味合いが大きく、家族や親族の思い入れも強いものです。
お墓自体、簡単に取り扱っていいものではありませんし、残っている人の心情も大切にしていかなくてはいけないものだと思います。

供養は、形ではなくて気持ちが大切なものです。
管理が大変でお墓が放置されて無縁墓になるよりも、形を変えて供養を続けるほうが大切なことではありますが、だからといって他の人の気持ちを無視してもいいというわけでもありません。
その前提も踏まえた上で墓じまいや改装をすることが大切です。

まとめ

「お墓とはこういうもの」「お墓は遠くても行ってお参りするもの」など、慣習に従うものというイメージが強かったのですが、最近では選択肢が増えて多様化してきています。
そんな中で、「うちもこういうふうにしたい」という希望が出てくることもあるかと思います。
もし今のお墓で不便を感じることなどがある場合は、家族や親族と話し合ってみんなが納得する形でお墓を引き継いだり供養の仕方を変えたりしていきましょう。