知っておきたい高齢者の孤独死対策

~孤独死の実態と今から出来る対策について~

はじめに

少子高齢化が進行している日本では、2019年時点で65歳以上の高齢者の数が総人口の28%以上も占めています。

この数字は2025年には30%を超えると言われており、それに伴い介護や保険に関する様々な社会問題が顕在化しつつあります。

その中でも高齢者の孤独死はここ数年で急増している事から官民一体となった対策が必須とされています。

そこで今回は、一人暮らしの高齢者に起こりやすい孤独死の原因や自分で出来る対策について解説していきます。

孤独死とは?

知っておきたい高齢者の孤独死対策

孤独死とは一人暮らしの人が最後を看取られずに亡くなってしまい、その後長期間に渡って死体が放置されてしまう事を指します。孤独死以外にも、孤立死や独居死などと呼ばれる事もあります。

明確な定義や厚労省による統計データなどがある訳ではないですが、1980年頃にマスメディアが取り上げ始め、2005年にNHKで放映された「ひとり団地の一室で」というドキュメンタリーをきっかけとして社会的に注目されるようになりました。

孤独死の増加

公的機関による孤独死の統計はありませんが、東京都の福祉保健局が発表している統計によると2017年に都内23区で確認された孤独死による死亡者数は男女合わせて3,319人となっており、統計作業が開始した2003年から約2.3倍に増加しています。

あくまで東京都内に限った統計なので全国的な傾向とは言えませんが、一人暮らしの高齢者が増加している背景を考えれば、全国的に増加していても不思議ではありません。

孤独死の男女差

孤独死は誰にでも起こりうる事ですが、実際には男性の方が圧倒的に孤独死になりやすいです。上述の統計でも男性の死者数は女性の約2倍となっていますし、この比率は何年も変わっていません。

やはり一人暮らしをしている人の多くは男性ですし、今の高齢者は男性が料理や家事をするという事が一般化する前の世代なので栄養バランスや衛生環境などの面で問題を抱えやすいという事も関係しているでしょう。

孤独死の原因

知っておきたい高齢者の孤独死対策

孤独死は色々な事情が積み重なって起こると言われているので、日常生活や社会との関わり方を一度見直す事が大切です。

社会や他者との関係性

孤独死の一番の原因は社会や他者との繋がりの希薄化です。

60歳になれば定年となり仕事から身を引きます。その際に子供や孫がいたり、趣味仲間がいれば問題ないですが、今まで仕事一筋でやってきた人だと定年退職をした途端に他の人との関わりがなくなってしまいます。特に今の高齢者はバブルの際に現役だったので仕事以外に繋がりの場を持っていない人は多いです。

そのような状況だと自分に異変が起きても誰にも気づいてもらえないので、孤独死のリスクは高まります。

また困った時に誰に頼ったらいいのか、どこに連絡していいのか分からずにそのまま放置してしまい、孤独死に繋がる事もあるので、ボランティアや高齢者向けのサークルでもいいので何かしら他の人と繋がる事が大切です。

体調管理

一人暮らしだと場合によっては食事を全て外食で済ましたり、面倒くさくて掃除をしない人も多いと思います。

そういった不健康な生活を長期間続けていると病気にかかるリスクも高まります。若い内なら病気になってもすぐに治る事が多いですが、体が弱ってくる高齢期だと軽い病気でも重症化してしまい、そのまま自宅で孤独死してしまう可能性もあります。

なので健康的な生活を心づけ、少しでも不調を感じたら病院で診断を受けたり周囲の人に相談するなどしましょう。

公共サービス

65歳以上になると身体の状況に応じて要介護・支援認定を受ける事が出来ます。この認定を受けるとデイサービスやショートステイなどの介護サービスを優先的に利用する事が出来るようになりますが、こういった公的サービスや支援制度の存在を知らずに「自分は介護を受ける事が出来ない」と勘違いしたまま亡くなってしまう人もいます。

こういった事が起きないようにしっかりと普段から情報収集をする癖をつけましょう。

孤独死の問題点

知っておきたい高齢者の孤独死対策

孤独死は自分ひとりの問題ではなく、死後にも大きな影響を及ぼします。

身元確認

自宅で孤独死をしてしまうと遺体の発見に時間がかかり、その間に遺体が腐敗する事によって身元確認が出来なくなってしまう事があります。

身元確認が出来ないと家族や親戚への連絡だけでなく死亡診断書の発行も行えないので、監察医務院などで解剖を行う必要が出てきます。

もちろん自宅であれば遺体の身元は家主の可能性が最も高いですが、殺人などの事件に巻き込まれた可能性も考えられるのでこのような手続きを踏まなければいけません。

住居の清掃

孤独死が発生すると遺体の腐敗や害虫の繁殖などによって住居が汚染されてしまいます。

この場合、賃貸であれば住居を清掃して原状回復をしなければいけないのですが、死体による汚染は非常に強力なので特殊清掃というこういった作業を専門に請け負っている業者でなければ対応出来ません。

特に死亡から遺体の発見までの期間が長いと体液や腐敗臭が床や壁に染み込むので、清掃作業はかなり大掛かりな物になります。

もちろんその作業にかかる費用は遺族や賃貸契約を結んだ際の連帯保証人などに請求される訳ですが、ワンルームでも10万円以上かかりますし、汚染がひどくリフォームが必要な場合だと100万円以上も請求される事があります。

もし遺族が一人もいなかったり相続を拒否した場合は税金から補填されますが、いずれにせよ孤独死のその後の対応は非常に手間と時間がかかるので、高齢者が賃貸を借りるのは年々難しくなってきています。

孤独死の対策

知っておきたい高齢者の孤独死対策

では孤独死をしないために自分で出来る対策にはどのような物があるのでしょうか。現在は自治体だけでなく民間企業でも孤独死対策のためのサービスを提供している所もあるので代表的な例をチェックしてみましょう。

自治体のサービス

自治他によっては孤独死を防止するために様々な取り組みを行っています。

宮城県

宮城県は2012年に「高齢者見守りの取り組みに協力する協定」をみやぎ生協と締結し、みやぎ生協が提供している共同購入サービスなどにおける配達業務の一貫として、高齢者の自宅へ訪問した際に異変を発見した場合はみやぎ生協を通して自治体の窓口に連絡するという取り組みを実施しています。

福島県郡山市

福島県郡山市でも同様の取り組みを行っており、こちらでは生協だけでなく郵便局や水道局などのインフラ事業者とも提携し、新聞のたまり具合や水道ガス電気の使用料の変化から異変をいち早く検知出来るシステムを構築しています。

このように自治体によっては孤独死対策に積極的に取り組んでいますが、実際には高齢者側が援助を拒否する事によって同しようもない場合もあります。援助拒否の背景には住民間のトラブルなど色々な事情がありますが、自治体が強制的に介入する事は出来ないので公的な対策には限界があると言われています。

民間企業のサービス

民間企業の提供しているサービスを活用する事によって孤独死を防ぐ事は十分可能です。

IoT家電や遠隔カメラによる見守りサービス

室内に設置したIoT家電やカメラによって高齢者の状況をリアルタイムで確認する事が可能です。カメラであれば5,000円程度で購入する事が出来ますし、IoT家電も普通の家電にこういった機能が付いてくると考えれば割安と言っていいでしょう。ただ基本的には24時間常に他人に見られたりモニタリングされたりする事になるので、人によってはあまり好ましく感じないと思います。

そのような人にはセコムなどの警備会社が発売している緊急ボタンがオススメです。こういった商品は一回押すだけで警備会社やヘルプセンターに繋がり警備員などが駆けつけてくれるので一家に一台あると安心でしょう。

定期訪問サービス

日本郵便の「みまもり訪問サービス」のように担当員が定期的に自宅を訪問してくれるサービスがあります。こちらの「みまもり訪問サービス」では郵便局員が訪問し30分ほど会話した後、その内容を家族にメールなどで知らせてくれます。料金は月額2,500円程度なのでそこまで負担にもなりません。

またヤクルトも「愛の訪問活動」という名称でヤクルトレディが定期訪問と合わせて安否確認を行うサービスを提供しています。こちらは緊急時の警察や消防への通報にも対応していますが、ヤクルトの商品を定期購入していない場合はサービスを受ける事が出来ません。

高齢者向けスマートフォン

最近ではドコモやauなど各携帯各社が高齢者向けに特化したスマートフォンを発売しています。

世代的にこういった電子機器に強くない人たちに向けて、機能やデザインがより分かりやすい簡素な物になっているので、普通のスマホは難しくて使いこなせない人でも安心して利用出来ます。

こういった機器を持っていれば日常的に家族や友人と連絡を取り合えますし、もし何かあってもすぐに電話が出来るので、もしスマートフォンを持っていない人は一度検討してみるといいでしょう。

まとめ

今回ご紹介した通り少子高齢化や非婚率の上昇などによって一人暮らしの高齢者や孤独死が増えつつあります。

どうしても高齢者は年齢や体力の関係で社会との繋がりが希薄になってしまいますが、そういった事が積み重なると孤独死の危険性も高まるので、自治体や企業が提供している見守りサービスなどを活用して人との繋がりは絶やさないようにしましょう。