知っておきたい仏壇の飾り方

その基本と宗派で異なる飾り方も詳しく解説

知っておきたい仏壇の飾り方

仏壇は、仏教の信仰の場所を自宅の中に置いたものでしょう。しかし、個人にとっては必ずしも仏教や菩提寺の宗派を強く信仰しているわけでもなく、お墓や葬儀、戒名の関係でお寺とつながっているだけの場合も多いでしょう。一般の個人にとっては親や先祖の供養が主目的でしょう。承継者がいないためお墓のあり方が大きく変化している現代、仏壇のあり方も宗派のしきたりに従う必然性は薄れてきています。ただし、基本的な仏壇の飾り方や各宗派の飾り方の特徴は知っておく必要があります。

1.仏壇の飾り方とは

仏壇の飾り方とは仏壇の中に置くものの配置の仕方です。まず仏壇自体には次のようなものがあります。

(1) 仏壇の種類

仏壇の種類には次のようなものがあります。

①台付き仏壇

床や畳の上、仏間や床の間に置く背の高い大型の仏壇です。床に直接置く場合は台付きのものがあります。唐木などの材質のものが伝統的です。礼拝は座って行います。

②上置き仏壇(小型仏壇)

各種のタンスやチェスト、机の上に置くやや小型のタイプのものです。都会ではこのスタイルが多いでしょう。礼拝は立って行います。

③ミニ仏壇

テーブル、机の上などに置く上置き仏壇より更に小型のタイプのものです。礼拝は置く家具により異なり、立って行う場合も座って行う場合もあります。

④モダン仏壇

現代の住宅事情にあわせて、洋室でも合うようなデザインの仏壇です。モダン仏壇、洋風仏壇、リビング仏壇などと呼ばれています。様式は様々です。

(2) 基本的な仏壇の飾り方

仏壇の飾り方は、宗派によって異なる面はありますが、大切なのは仏や本尊、そして、先祖を供養する気持ちでしょう。その意味では仏壇のもつ本質的な意味合いを理解し、宗派に関わらない、基本的な飾り方を知っておきましょう。仏具の説明は後述します。

また、遺影(写真)や手元供養品は、基本的に仏壇の外に置きます。 仏具の飾り方で標準的な、上置き仏壇(小型仏壇)での手順は次のようなものです。

①最上段の中央に本尊をお祀(まつ)りします。

より丁寧にするには、本尊の左右に宗祖名号の描かれた掛け軸をかけます。 宗旨宗派により本尊として安置するものは異なり、仏像や宗教的絵画・掛け軸などの場合があります。

本尊とは一般の人にとって実際には縁遠いものかもしれませんが、信仰の中心として祀られている仏像などのことです。本尊は宗派によってそれぞれ異なるのは、各宗派により宗祖がいて教義などの求め方が違うためです。仏像では木彫仏像や鋳造仏像などがあります。絵像の掛軸では宗祖に関するものなどがあります。掛軸は仏壇の裏板に鋲で留めるか、掛軸台にかけて安置します。寸法は、仏壇内部の大きさに合わせて選びます。

②位牌を本尊が隠れないように本尊より一段低い2段目に置きます。 1つであれば右に、複数であれば左右に置きます。

③3段目に、中央に仏器膳を置いてその上に仏飯器・茶湯器を置きます。その左右に仏具があれば高坏(高月・たかつき)を配置します。

・仏器膳(ぶつきぜん) 仏飯器、茶湯器をのせる台です。 ・仏飯器(ぶっぱんき) お供えのご飯を盛る仏具です。仏器膳の上に乗せ、右側に置きます。 ・茶湯器(ちゃとうき) お供えのお茶や水を入れるための湯呑みです。仏器膳の上に乗せ、左側に置きます。 ・高坏(高月・たかつき) お供物を載せるための台です。半紙を敷いてその上にお供えします。

④最下段には、花立、香炉、火立、マッチ消、お鈴(おりん)などを配置するのが一般的です。

・花立(はなたて) 花を供えるための仏具です。1つだけの場合、左側に置きます。 ・香炉(こうろ) 香(線香など)を焚くための仏具です。三本脚の香炉は、手前に一本脚を置きます。 ・燭台(火立 ひたて) ローソクを立てて明かりを灯す為の仏具です。お線香に火をつける為にも使いますが、火を灯して供養するのが本来の意味です。燭台は右側に置くのが基本です。 ・線香差 線香を差しておくものです。 ・マッチ消 火をつけ終わったマッチを入れます。 ・鈴(りん) 経をあげる時の始めと終わりの合図に使いますが、仏様をお呼びする仏具です。仏壇の前、もしくは下の中央に置きます。鈴をたたく棒を右手に置きます。 ・鈴台 鈴を置くための台です。

(3) 仏壇に飾る最低限必要な仏具数

①3具足(みつぐそく)

仏壇に飾る最低限必要な仏具は、香炉・花立・燭台の3種類となります。3具足と言います。

②5具足

一般的に必要な仏具数は5具足となります。より丁寧な飾りと言えます。 香炉・花立・燭台に、仏飯器・茶湯器を加えたものが5具足となります。上記の基本的な飾り方はこの5具足に基づきあげました。

2.仏壇の飾り方の現状

仏壇の飾り方では菩提寺との関係で宗派別の形式があります。特に本尊に関しては顕著です。本尊の左右に脇掛(わきがけ)を置きます。
脇掛は脇仏、脇侍(きょうじ)とも言います。

〇宗派別の本尊と脇掛
・天台宗 本尊 釈迦如来、阿弥陀如来 脇掛 右 天台大師  脇掛 左 伝教大師 釈迦如来を祀(まつ)りますが、阿弥陀如来を祀る場合もあります。
また、寺院により薬師如来、観世音菩薩、不動明王、毘沙門天などを祀ることもあります。菩提寺によります。

脇掛 右に天台大師像、左に伝教大師像となりますが、脇掛を祀らないこともあります。

・真言宗 本尊 大日如来 脇掛 右 弘法大師 脇掛 左 不動明王 真言宗は分派も多いので、仏壇の飾りかたはさまざまです。また、地域によっても違いがあります。


・浄土宗 本尊 阿弥陀如来 脇掛 右 善導大師 脇掛 左 法然上人 仏壇もしくは厨子の前に戸張を垂らすこともあります。

・浄土真宗本願寺派 本尊 阿弥陀如来 脇掛 右 親鸞聖人 脇掛 左 蓮如上人 浄土真宗本願寺派の特徴として、位牌を置かないのが原則となっています。

・真宗大谷派 本尊 阿弥陀如来 脇掛 右 十字名号(帰命尽十万無碍光如来) 脇掛 左 九字名号(南無不可思議光如来) 原則として、位牌は置きません。

・臨済宗 本尊 釈迦如来 脇掛 ※脇掛は各派によって異なります

・曹洞宗 本尊 釈迦如来 脇掛 右 承陽大師(道元) 脇掛 左 常済大師(瑩山)

曹洞宗の場合、中央に本尊、右に高祖承陽大師道元禅師、左に太祖常済大師瑩山禅師を配置して三尊仏形式として祀ります。

・日蓮宗 本尊 曼荼羅(十界曼荼羅)、釈迦牟尼仏、三宝尊のいずれかを祀ります。 脇掛 右 鬼子母神 脇掛 左 大黒天

3.仏壇の飾り方の今後

(1) モダン仏壇の普及

住宅、生活スタイルの洋風化でモダン仏壇が増えています。モダン仏壇は小型でスペースが限られているため、従来であれば一対(2個)で飾っていた仏具なども1つのみで飾ることもあります。

また仏具を減らすことも多くあります。簡素化の傾向は今後も変わらないでしょう。 飾り方では基本的に、仏壇の1段目の壇には、本尊を飾ります。

脇掛、軸があれば左右に配置します。壇の2段目の壇には、右から位牌と仏具の茶湯器と仏具の仏飯器を飾り、位牌が複数ある時は一番左にも位牌を飾ります。

1番下の壇には、右から鈴と仏具の前香炉と線香差しと燭台と花立などを飾ります。順の決まりはありません。線香差しや燭台や鈴なども絶対この位置に飾らなければいけないなどの決まりごとはありません。

(2) 菩提寺との関係の希薄化と、菩提寺を持たない状況の拡大 菩提寺との関係はお墓、葬儀、戒名で現れます。

家のお墓に自分が入らない場合は、生前墓の購入が増えています。生前墓では、お墓の承継の難しさで納骨堂や樹木葬の形態が増えています。

寺院墓地の納骨堂の場合は、菩提寺との関係を新たに結ぶことになりますが緩い形態でしょう。一般霊園であれば菩提寺を持たない関係になるでしょう。

ただし、戒名があれば宗派に属する僧侶から授けられている形態になっているため宗派のしきたりはある程度影響は受けると言えますが希薄化はしていきます。

また、樹木葬であれば菩提寺を持たずに戒名も不要であり仏壇も形式的には不要となります。

少子化でお墓の承継が難しくなってきた現代では、仏壇においても徐々に本尊を祀ったりする信仰の場所の意味が薄れ、故人を偲ぶ目的を主とする形態が拡大する可能性があります。

4.仏壇を飾る準備

​(1) 位牌の確認

おまつりする親や祖先の位牌を準備し布などできれいに拭きます。

(2) 菩提寺の宗派の確認

菩提寺がある場合は親などに宗派の確認をします。お墓を生前に購入した場合は自分で確認します。お墓が一般霊園で寺院墓地ではなく菩提寺を持たない、檀家ではない場合は宗派の形式にこだわる必要はありません。

(3) 仏壇、仏具購入の予算検討と購入

仏壇、仏具の購入にどの程度の費用を掛けるのか、仏壇店などを見て検討します。仏具をどの程度用意するのかも検討し購入します。

(4) 遺影、手元供養品の準備

写真は見るものであって拝むものではありませんので、故人の写真は仏壇の中には飾らず仏壇の外で近くに置いた方がよいでしょう。仏壇の手前や横などです。

(5) 仏壇の置き場所

仏壇を安置するのに最も適した場所は、家族が毎日お参りしやすい場所ですが、湿気が少ないところ、直射日光が当たらないところ、直接冷暖房の風が当たらないところがよいでしょう。小型の仏壇であればどの家具の上に置くかも決めます。 仏壇を安置する方角について吉凶はありません。

5.知っておきたい仏壇の飾り方―まとめ

(1) 基本的な飾り方

最上段には、本尊を置きます。また、脇掛という宗祖や本尊以外に祀る仏の絵図などがあれば配置します。2段目に、位牌を置きます。本尊が隠れないように、右側に置き複数の場合は左右に置きます。 3段目に、中央に仏器膳を置いてその上に仏飯器・茶湯器を置きます。

また、仏具があれば高坏(高月・たかつき)を配置します。 最下段には、花立、香炉、燭台、マッチ消、鈴などを配置します。

(2) 仏壇に飾る最低限必要な仏具数

①3具足(みつぐそく、さんぐそく) 最低限必要な仏具は、香炉・花立・燭台の3種類となります。3具足と言います。

②5具足 香炉・花立・燭台に、仏飯器・茶湯器を加えたものが5具足となります。3具足より丁寧な飾りと言えます。

(3) 宗派による本尊の違い

宗旨宗派により本尊として安置するものは異なり、仏像や宗教的絵画・掛け軸などの場合があります。 

(4) 位牌を置かない宗派もあること。

浄土真宗では位牌を置かないのを原則としています。

(5) 仏壇のお参りの仕方

・仏壇にお参りをするときには、まず本尊に対して一礼します。

・お供えがある場合には、お供えします。

・マッチでろうそくに火をつけ、ろうそくから線香に火をつけます。先端が赤くなった状態で線香に火が移った状態です。

・線香を片手で持った状態で、もう片方の手で扇いで火を消します。

(息を吹きかけて火を消すのはよくありません)

・線香を香炉に立てます。 (立てる線香の本数は宗派によって異なりますが、天台宗と真言宗は3本で他の宗派は1本ですが必ずしも厳格なものではありません)

・読経をする人は行います。経を読む場合は、前と後に鈴を鳴らします。

・合掌してからろうそくの火を消して、最後に再び一礼します。

6.知っておきたい仏壇の飾り方3ヶ条

(1) 仏壇の本来の意味を理解し、配置の仕方を知ること。

仏壇は菩提寺との関係から宗派に関する信仰の場所の意味があり、そのため第1に仏・本尊を祀っています。

そして、次に位牌が祀られます。仏具は仏・本尊を祀るための道具です。仏壇内に配置するものの順位は、最上段本尊他、2段目位牌他、3段目仏具で主要な物、4段目仏具でその他のものとなります。

(2) 菩提寺、宗派との関係を考えること。

菩提寺があるかどうかは、お墓と葬儀、戒名で影響されます。家のお墓に入っている親や祖先を祀るには、まず寺院墓地に入っているかどうか、戒名があるかどうかで判断できます。

人墓地に入っていて戒名があればその宗派に沿ってそのしきたりにより仏壇も飾ることになります。

お墓が寺院墓地ではなく一般霊園であれば菩提寺はないことになりますが、戒名があれば宗派ごとの戒名の付け方がありその宗派のしきたりに準じます。

寺院墓地でなく、戒名がなく俗名であれば仏壇を持つ・持たない、および、その形式は自由です。

(3) 遺影は祀るものではなく、個人を偲ぶもので、仏壇の内ではなく外に置くものであること。

仏教自体が葬式仏教化した現代では仏壇は必ずしも信仰の場所とは言えないでしょう。本尊への信仰というよりも親や祖先の位牌を祀ることの意味の方が大きいでしょう。

そして、位牌と並べて遺影も飾りたいというのはある意味で現世の人間としては当然なことかもしれません。

しかし、仏壇とは祀るもので言わば信仰対象です。一方、遺影は個人を偲ぶものです。故人の現世の姿を思い起こすもので、祀る対象ではありません。仏壇の外に並べてなど置くのが本来の位置づけです。

仏壇の配置が出来てもお参りしないのでは意味がありません。親や祖先の命日はしっかり覚えておきお参りしたいものです。

仏壇を生きたものにすることでしょう。親のお参りする姿を見て子どもも意味は分からないでもそれに倣(なら)い伝わっていくものでしょう。