知っておきたいデイサービスの探し方

家族の負担を軽減するためにも地域の施設をチェックしましょう

知っておきたいデイサービスの探し方

はじめに

高齢化社会が進み、介護の問題はもはや他人事ではなくなりました。2018年の日本人の平均寿命は女性が87.32歳、男性が81.25歳で過去最高を更新しています。前年に比較し女性は0.05歳、男性は0.16歳寿命が延び、過去最高の更新は女性で6年連続、男性で7年連続となりました。長寿は喜ばしいことなのですが、介護を必要とせず自立して生活できる健康寿命との間には、大きな開きがあります。健康寿命は女性が74.79歳、男性が72.14歳で、介護を必要とする高齢者は今後も増加するものと予想されます。

デイサービスの勧め

デイサービスは通所介護とも言い、自宅から通うタイプの介護サービスで、施設に入所することなく日帰りで受けられる手軽さで人気があります。利用者自身は他の通所者やスタッフと交流ができ、機能訓練、レクリエーションなどのプログラムをこなすことで心身を健全な状態に保つことができます。
また、介護を担っている家族にとっても、デイサービス利用者が一定時間家を留守にすることで休憩したり他の用事を済ませたりするなどのリフレッシュタイムとなり、介護の負担を軽減することができます。
この記事では、介護保険で受けられるサービスのひとつである「デイサービス」の利用までの流れ、デイサービスを提供する施設の探し方について解説していきます。
現在、介護サービスを受けたほうがいい状態の方やそのご家族の方、まだその段階ではないが近い将来必要になるかもしれない方々に読んでいただきたい内容になっています。

デイサービスの利用には要介護認定が必要

65歳になると、市町村から介護保険の加入者であることを証明する「介護保険被保険者証」が郵送で交付されますが、この被保険者証の提示だけでデイサービスの利用ができるのではありません。市町村に要介護認定の申請を行い、どの程度の支援や介護が必要かを判定してもらう必要があります。それが、デイサービス利用の第一歩になります。

・申請

申請は市町村の窓口で行います。自治体により介護保険課、高齢者支援課など窓口の名称が違いますので確認してください。申請書の記入は本人、または家族が行いますが、地域包括支援センター、指定居宅介護支援事業者、介護保険施設の職員に代行してもらうことも可能です。申請は無料です。
申請には以下のものを用意します。
①申請書(窓口でもらうかインターネットでダウンロードして印刷する)
②介護保険被保険者証、40~64歳で特定疾病の場合は健康保険被保険者証
③主治医の情報がわかるもの(診察券など)
④マイナンバーがわかるもの(個人番号カード、通知カード)
⑤提出代行者は印鑑、委任状、身元確認ができるもの

・訪問調査

デイサービス利用のために要介護認定の申請を行うと、市町村の認定調査員が申請者の日常生活や心身の状態に関する調査を行います。調査は自宅に訪問して行われることが多いのですが、入院中に申請を出した場合は入院先の病院で行う場合もあります。
注意:入院中は医療保険の適用となるため介護保険のサービスは利用できません。ただし退院後すぐに介護サービスを利用したい場合、入院中に申請を出しておくことが可能です。

調査票の内容は、次の三部構成となっています。
①概況調査(氏名、性別、生年月日、住所、連絡先の基本情報と現在受けているサービスがあればその内容と利用施設)
②基本調査(麻痺や拘縮の有無、歩行や立ち上がりの身体機能、食事摂取や排泄、着替え、外出などの生活機能、認知機能、精神状態、社会生活への適応)
③特記事項(上記項目に当てはまらないこと、調査員が選択に迷う状況、追加記入が必要な状況など)

訪問調査の際に注意が必要なのは、調査員の前では実際にはできないことも「できます」「大丈夫です」と返答をしてしまいがちなことです。自分をよく見せたいという心理はどのような場面でも働くのが自然ですが、この調査においては決して本人のためになりません。要介護度を実際より軽く評価されることにもなりかねませんので、家族やケアマネージャーが同席してフォローすることが大切になります。認知機能に関わることなど、本人のプライドを傷つけそうな内容は後から調査員に伝えたり、紙に書いて渡したりなどの工夫をします。

・主治医の意見書

申請を受けた市町村は、申請書の主治医欄に記入された医師に、主治医意見書の作成を依頼します。この意見書は全国一律の様式となっていて、介護の手間がどの程度になるかを医学的観点から判断するものです。作成するのは申請者の現在の状況をよく知っている、かかりつけ医が適任とされます。かかりつけ医がいない場合は、市町村が紹介する医師の診断を受けて作成してもらいます。要介護申請は病気やけがをきっかけに出されることも多いので、その際の担当医を主治医とすることもできます。

・一次判定(コンピューターによる判定)

調査員による認定調査と主治医意見書の結果をコンピューターに入力、分析し、仮の要介護度を出します。客観的かつ公平な判断のために導入されています。

・二次判定(介護認定審査会による判定)

一次判定の結果をもとに、市町村の介護認定審査会が、要支援1~2、要介護1~5、または非該当を決めます。この介護認定審査会は保健、医療、福祉に関する学識経験者で構成されています。

・認定結果の通知

原則として申請から30日以内に、市町村から要介護認定通知が届きます。認定結果は以下の非該当、要支援1~2、要介護1~5の7区分のいずれかになります。
 非該当:介護保険のサービスは受けられませんが、市町村で行う地域支援事業によるサービスを利用できます。
 要支援1、2:介護予防サービスを利用できます。
 要介護1、2、3、4、5:介護サービスを利用できます。

・ケアマネージャーの選定

デイサービスを含む介護サービスを受けるためには、「介護サービス計画(ケアプラン)」を自治体に提出する必要があり、このケアプランの作成に携わるのがケアマネージャーです。ケアマネージャーは2000年の介護保険制度のスタート時に生まれた新たな専門職であり、正式名称は「介護支援専門員」で、「介護保険サービスの利用を円滑にするための支援を行う専門員」ということができます。
ケアマネージャーは今後の介護サービス利用において、非常に大切な役割を担う人であり、家庭内のプライバシーにも関わるお付き合いをする人ですので、人柄や能力、経験などを考慮して選ぶようにしますが、大切なのは相性です。実際会ってみて、「話しやすい」「信頼できそう」という印象を持った人が一番です。
また、ケアマネージャーは、保健、医療、福祉の分野で5年以上の実務経験を有する人が受験資格を得られます。したがってケアマネージャーの前職が何かにより、得意分野が違ってきますので、参考にしてもよいでしょう。
ケアマネージャーの紹介は市町村の介護保険課や地域包括支援センターで行っています。

・デイサービス先を決める

要介護認定もおりて、いよいよデイサービスに通う準備が整いました。ここからは、具体的なデイサービス先を決める際のポイントを解説していきます。

① 本人の希望

「仲の良い近所の人や友だちが通っているので、一緒に行きたい」という施設があれば候補に入れます。利用しようとしている本人が、様々な場所で情報収集をしていることもあるでしょう。地域の人や友人、知人の評判も参考にします。

② ケアマネージャーに相談

ケアマネージャーはデイサービスを提供する事業所の特徴をよく知っていますので、ぜひ相談してみてください。デイサービスの各事業所では、工夫にとんだレクリエーションプログラムを用意しています。どのようなレクリエーションが好みかをケアマネージャーに伝えておきましょう。また、人気の施設は空きがない場合もありますし、曜日によっても空き状況が違ってきます。施設の情報についてはケアマネージャーが詳しく、利用者が疑問に思った様々な問い合わせもしてもらえます。

③ 自宅からの距離を考慮

デイサービスでは、原則として施設の車で利用者を送迎しますが、数人が乗り合わせる車両を使っている施設が多く、何件かの利用者の家を回る送迎ルートになっていることがほとんどです。施設が遠すぎると送迎にかかる時間も長くなり、高齢者の身体に負担になることがあります。また、利用者が滞在中に体調不良に陥ったときに、家族に迎えに来てほしい旨の連絡が入ることがありますが、そのような場合にも、施設が近いいと便利です。

④ 見学や一日体験

利用者本人や家族、ケアマネージャーとで話し合い、ある程度の施設を絞り込んだら、実際に見学をしたり体験利用をしたりすることをお勧めします。デイサービスで提供する、すべてのプログラムを丸一日体験することが理想です。見学の際には、以下の点をチェックしてみましょう。
・利用者の表情や雰囲気:実際にデイサービスを利用している人たちが、笑顔で楽しそうに生き生きと過ごしてしていることが、もっとも大切なことです。
・スタッフの対応:表情や言葉遣いが明るく優しいか、説明がわかりやすいか、質問には快く的確に答えてくれるかを確認します。
・プログラムの内容:事業所によって機能訓練やレクリエーションの内容が異なり、その施設の特徴をよく表しています。好みに合ったプログラムがあるかどうかを確認します。
・施設の環境:バリアフリーはもちろん、清掃が行き届いて清潔感があるか、非常口の場所、災害時の避難誘導は的確にできるか、プライバシーに配慮した空間があるかどうかも確認します。
・食事:温かく食べやすいものが提供されているか、必要な場合は病人食に対応しているかを確認します。

デイサービスに行きたがらない人への対応

さて、デイサービス利用の手順を、要介護認定を受けるところから解説してきました。デイサービスは介護が必要な人にとっても家族にとってもメリットが非常に大きいのですが、デイサービスに抵抗を示す人がいることも確かです。
自宅介護をしている人に、施設利用はしないのかと尋ねると「自分は行って欲しいのだけれど、本人が嫌がっている」という回答が返って来ることがよくあります。
ここからは、介護の必要な人が最初からデイサービスに難色を示している場合、または通っていたのに「もう行きたくない」と通所拒否をする場合、周囲の人たちはどのような対策をとれるのかを考えてみましょう。

・無理強いしない

「家族にも都合があるのだから行ってもらわないと困る」などと、追い詰めるような言い方をしないようにしましょう。ますます頑なになってしまいます。誰でも新しい環境には不安を覚えるのが普通ですので、一度勧めてみて気が乗らないようならばあっさり引き下がり、日を改めて勧めるようにしましょう。

・よく話を聞く

デイサービスに行かない理由を、はっきりと口にできる人ばかりではありません。プライドが邪魔したり羞恥心があったりで、本音が話せない場合もあります。問い詰めるような聞き方をせず、普段の会話の中で本当の理由を見つけるようにしましょう。

・トラブルの有無

今まで行っていたデイサービスを急に拒否するようになった場合、施設内で何かトラブルはなかったか本人やスタッフに確認しましょう。その場合も言葉に配慮し、本人が言いたがらない場合は別の機会にします。
ある男性利用者の例で、「女の人たちの声がうるさい(ので行きたくない)」という人がいたそうです。確かに女性の声は甲高く、大声で笑ったりして騒がしいと感じることもあるでしょう。ささいと思われることでも施設の責任者やスタッフに相談して、対応してもらうようにしましょう。

・スタッフに任せる

デイサービスのスタッフは、実は「行きたくない」という人にとても慣れています。あんなに嫌がっていたのに、スタッフのちょっとした声がけで態度が変わり、出かけて行ったという例はたくさんあります。

まとめ

2000年に施行された介護保険法は3年ごとに見直しが図られ、必要に応じて法改正が行われてきました。介護サービスに関する情報は、常に最新のものをチェックするようにしましょう。情報収集先としては以下のところをお勧めします。ぜひ参考にしてください。

・厚生労働省の介護事業所・生活関連情報検索サイト「介護サービス情報公表システム」
・都道府県や市町村のホームページ
・市町村の介護保険課窓口
・地域包括支援センター
・ケアマネージャー

デイサービスは、介護が必要な人とその家族の生活を豊かにするものです。上手に利用して健やかな老後を過ごしたいものです。